レクターレ動乱。【ミリアン軍】作戦会議。
翌朝、カロリーは高いが質素になってしまった朝食を食べた【参謀官達】は、ミリアン・アウグストスのもとへ呼び出される。
「遅いぞ、諸君」
そう言ったミリアンは【司令官】としてはこれまた、質素気回り無い朝食を食べ終えたばかりだった。
「今日は【一般兵】と同じ朝食を食べてみたが、これはひどい! このような物を食べていたとは知らなかったぞ!」
そう言ってミリアンは、口直しにワインを飲む。もちろん酔う事の無い量ではあったが、【一般兵】にはそれすらも許されない事に、ミリアンは気づかなかった。
指令室。と言ってもこの【急造要塞】にもともとあった、大きな部屋に地図や書類などを持ち込んだだけの、頑丈な部屋の中には。ミリアン・アウグストスのほかに、三人の人物がすでに椅子に腰かけていた。
一人目は、細長い腕と足を持つ【精霊術師】スターク・ロン。
二人目は、黒い髪を持つ【魔法騎兵隊隊長】スラス・コクトー少将。
三人目は、太りぎみの体に薄い髪を持つ【ミリアン軍副司令官】パトリック・アース中将。
この三人と、ミリアン・アウグストスが【参謀官達】の来るのを、待っていたのだ。
「おはようございます! ミリアン・アウグストス【司令官】そしてお三方!」
【参謀官達】が慌てて四人に敬礼する。
「目は覚めたか?」
パトリック・アース【副司令官】が、八人の【参謀官達】に聞く。
「勿論であります! パトリック・アース中将!」
「そうか、ではこの【要塞】を破棄しての、敵【アルテア軍】への『総攻撃案』を検討する。よろしいですか? 【司令官】」
「あぁ、よろしく頼むよ。パトリック・アース」
ミリアン・アウグストスはうなずくが【参謀官達】は大慌てになる。
「待ってください、急造とは言えせっかくここまで作った【要塞】を、放棄なさるおつもりなのですか⁈」
ミリアンはため息をつきながら、【参謀官達】を見るとこう言った。
「あちらはこの【急造要塞】を攻撃目標、とは見ていない。だったらこちらから攻め込むしか無いだろう?」
パトリック・アースは不満そうに息をする。中将にとっても『不本意極まり無い』のだ。
「私としては、やっと本気で戦えるので満足ですね」
スラス・コクトー少将は、満足気にそう言った。【要塞】の中での【騎兵隊】などと言うモノは、正直に言って邪魔者以外の何者でも無いのだから。
さぁて、作戦会議です。
この混乱した、お話しにどんな作戦で挑むのか。
そして僕は如何にして、頭の中の情報を簡単に書けるか。
──ええ、僕の頭の中は大混乱しています。
では、次回にお会いしましょう。




