レクターレ動乱。ある【少尉】の日記より。
──五日後──
アルテア・アトラウス・アウグストス【第一王位継承者軍】通称【アルテア軍】は、今日も目立った行動が無かった。
【第三十三高地】から北に約五十キ・メール(約五十キロメートル)の場所に、陣地を作り。その場所から積極的に動こうとはしなかった。──ふざけやがって!
なにが『二日後に戦いましょう』だ‼ その宣言から実に七日間休み無く、戦争の準備をしていると言うのに。【アルテア軍】は大きく動きもしない!
一日に三~五回程【第三十三高地】に陣を敷いている我々の近くまで【騎兵隊】が来る事があっても【弓兵】が弓を使うには遠すぎ。こちらの【騎兵隊】が鉄のチェインメイルを着込んで、出陣の準備が出来た時には、すでに自分達の陣地へ帰った後だったりする。
そのような戦いとも呼べない行為を、毎日繰り返して来る。──毎日だ! しかもいつ来るのかも解らないと来た‼ 朝、日も登らない頃に来るかと思えば。深夜にやって来て【見張り番】の鐘の音で起こされる日もあった!
もう一度言わせてもらう、ふざけるな!
こんな戦いがあってたまるか! このような戦争があってたまるか!
──ある【少尉】の日記より──
「ただいま帰りました。アルテア司令官」アッガス・マルド少佐が、左手に兜を抱えてアルテア・アトラウス・アウグストス達の居るテントに入って来る。
「ご苦労さま。どうだった? 【ミリアン軍】の様子は?」いま来た【第三軍】の補給物資と一緒に送られて来た手紙から、アッガス少佐に視線を移してアルテアは微笑みを贈る。
「ハッ! 連中、かなり殺気立っておりました!」アッガス・マルドは頬を赤らめて、直立不動でアルテア・アトラウス司令官に報告する。
「すまないマルド少佐。本来の君にもっとも相応しくない任務を与えてしまって…」そう言ってアルテアは、表情を曇らせる。
「いえそのような事は、大事な任務でしたら‼」アルテアの重荷にならないように噓を付く。
「うん、大事な任務なのは間違い無いよ。君のおかげでいま、このようになっている」そう言ってアルテアは、先ほどまで読んでいた手紙を渡す。
「──なるほど、私のおこないがこれ程『我らの祖国』に、影響を与えているとは。アルテア様の深慮遠謀、感服いたしました!」アッガス・マルド少佐は、手紙からアルテアに視線を移して感心したようにうなずく。
「わたし一人では出来なかった。みんながわたしを、支えてくれたおかげだよ」アルテアは照れ隠しに頬をかく。
アッガス・マルドは思う『この国の王アルテア様の為なら、私は死すらも恐れない』と。
閑話休題と、言った感じに仕上がりました。
さぁてと、次はどんなお話しにしたものか。
色々考えていると、すでに書いたモノと。
まだ書いていないお話しが、混ざってしまって。
うん、そろそろ戦いが書きたいな。
…書き残していない話しが、無ければ。
では、次回にお会いしましょう。




