レクターレ動乱。戦いの日。
アルテア・アトラウス・アウグストスは、この世に生まれてから一度も眠った事が無い。
その為アルテア・アトラウスお付きの侍従達は、二十四刻三交代制でお世話すると言う。過酷な仕事となっていた事を、アルテア様お付きのかつての侍従達は笑い話として話した。
あと半年で十八歳となるアルテアの生活リズムも、八歳の時にはすでに決まっていて。夜でもベッドで横になる事は、ほとんど無かった。
幼少の頃のアルテアにとって、昼間の時間は義務としての教育の時間。そして夜は趣味としての勉強の時間だった。
「【陸軍】から間に合ったのは、ヨハス・グダ大佐の率いる八百二十人が、最後のようです」すでに深夜になり、疲れの色のみえる【第三軍】百人隊長ウーク・タムがそう言って。アルテア・アトラウス・アウグストスの前にヨハス・グダ大佐と、その側近四十名を案内して来た。
「……戦って来たのか……」アルテア・アトラウスは、すでに頭に包帯を巻き付けた、大きな鼻を持つその長身の男性を見る。
「ハッ、トークラは一時的に【反乱兵と暴徒】共の手に落ちかけましたが。何とか鎮圧に成功しました。が、予想以上の負傷者が発生してしまい、何とか動ける者達でここに参りました!」ヨハス・グダ大佐はそう言って敬礼をする。
アルテア・アトラウス・アウグストスは、小さく息を吐くと微笑んでこう続けた。
「貴方の忠義、このアルテア・アトラウス心に刻みました。今はよく休み、傷の治療に専念して欲しい」
アルテアがそう言うと、ヨハス・グダ大佐の目に大粒の涙があふれる。
「トークラは制圧出来た模様ですが、ムータルからは連絡すらありません。ムータルは【反乱者共】手に落ちた模様です」
レクターレ王国には大きな街が四つある。スーラート、アトラウス、トークラ、ムータル。
この四つの街と、王都レクターレでこの国の経済はまわっていた〔あと他にバクーと言う城塞都市があるのだが、ここは四人の上王達が統べているので。レクターレ王国の中にあるが、別の国と思っていい〕。
「王都レクターレが取られたのが、痛いですな」東の空が明るくなり。仮眠を取っていた面々が、アルテアの待つ大広間に集まって来る。
いち早く起きて来た、スル・ガーゴン【第三軍参謀総長】がそう言うと。アルテア・アトラウス・アウグストスはこう答えた。
「王都に籠城されなかっただけでもよし。としましょう」アルテアは続ける。
「その手が使われていたら、アウグストスの名が地に堕ちていました」そう言って茶を飲む。
やっとここまで来ましたぁ!
でもまだ説明しきれていない…かも…。
ま、まぁ何とかなるさ!
では、次回またお会いしましょう。




