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ヒマな魔王様はヒマが欲しい  作者: さんごく
5章・魔王誕生、その二。

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レクターレ動乱。血。

【魔法騎士団長】スラス・コクトー大佐が、王都を現在占領している【第二王位継承者】ミリアン・アウグストス側に就いたのは、レクターレ王国にとってはちょっとした事件だった。

 コクトー大佐は、アルテア・アトラウス・アウグストスの方から。

「もし【魔法騎士団】の第二小隊を作りたいのであれば、ぜひ【第三軍】で作ってもらえないでしょうか?」と言う話を、ある貴族のパーティー会場で、アルテアの方からコクトー大佐にわざわざそんな話をする位。アルテアからその手腕を認められていた人物だったからだ。

『コクトー大佐は絶対アルテア・アトラウス・アウグストス側に就く』

 そのような賭けさえ王都以外に配属された【陸軍軍人達】は行っていた位だった!


 十ヶ月前のある夜、コクトー伯爵家の門の前に一台の馬車が止まる。

 この屋敷の門番ふたりは、バタバタとした足どりで、馬車から降りて来た男性に声をかける。

「このお屋敷に何か御用でしょうか?」十八歳のまだ青年の面影がのこる、一人の門番が質問をして来る。

「私も突然呼び出されたので、要件は解らないのだよ」そう言って男性は被っていた帽子を取る。

「あ! 貴方は?」十八歳の門番はそう言って絶句した。

「スラス・コクトー様にご用ですね、今ご確認いたします」そう言って、二十五歳の男性門番は呼び鈴を鳴らして執事長に連絡した。

 五分後に執事長がやって来るまで、十八歳の門番の青年はピンと背中を伸ばして。その男性の前で直立不動の姿勢を崩せなかった。


 五分後、執事長のお出迎えを受けた男性は、屋敷の中へと入って行き。青年門番は大きなため息をついた。

「何であのお方が、コクトー伯爵家にパーティーでも無いのにやって来るのです?」十八歳の門番がそう言うと。二十五歳の門番がこう言った。

「そうか、おまえはまだ知らなかったのか。コクトー伯爵家のスラス様と、【第三軍弓騎兵千人隊長】サロー伯爵家のレイガス様は、異母兄弟なんだよ」十八歳の門番は、今度こそ卒倒した。


「スラス、そしてレイガス。二人共よく聞いてほしい」スラス・コクトーと、レイガス・サローの実の父親である、ハンス・コクトー当主は七十代の年齢を経ても、しっかりとした足取りで歩きながらこう言った。

「今日より二人は、敵対関係になってもらう」


──と言う設定だったのです。

「解っていましたー」と言う人はたぶん、いないでしょう。

約半年。この設定を晒すのにどれ程時間がかかったか!

では、次回にお会いしましょう。

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