レクターレ動乱。悲願。
【正当なる王の王冠】
それこそが、ロスコー・アウグストス王が生前。アルテア・アトラウス・アウグストスに託し、アルテアが鳥かごの中に入れて城から持ち出したモノだった。
その効果は、今の王が王位を失った時【次の王位継承者】に、【王位】を継がせるというモノである。
それが何処であっても、例え死臭漂う戦場の最中であっても。【王位継承権】を持つ者がその頭に、【正当なる王の王冠】をのせたその瞬間、その者が【王】となるのである。
【正当なる王の王冠】に対して異議をする事は出来ない。何故なら【正当なる王の王冠】には国民に対して『七つの絶対命令権』と言う、とんでもないモノが付与されているからだ。
『七つの絶対命令権』に逆らう事は何びとにも出来ない! それ程の【呪い】がかけられているのだった。
しかもこの【王冠】は。アウグストスの者にしか扱えない。
三百年前にあらゆる手練手管を使って、【王位継承者】を手に入れた、ロスホフ家の某と言う貴族の男性がいた〔名前は残念ながら伝わっていない〕。
その当時ロスホフ家は、アウグストス家よりも羽振りが良く。
「次の王はロスホフの者がつき、ロスホフ王朝となるだろう」そう公然と、貴族や商人達は口に出して言う程。アウグストス王朝の名は地に落ちていた。
結果から言えば彼らは間違えていた。
戴冠式から二刻もたっていないその日の昼。ロスホフ家の家長をしていた某は、民衆から『石打ちの刑』で殺された。
その日から三日間、レクターレ王国は荒れに荒れた。
特にロスホフ家の分裂と没落ぶりは、目にあまるモノだった。
ロスホフ家は結局四家に分かれ、殺し合い、またたく間に財産を使い切ってしまった。
四日の朝、アウグストスの血が流れるボルトフ・アウグストスが、その頭に【正当なる王の王冠】をのせた事によって。あっという間に『レクターレ王国悪夢の三日』は、まるで噓であったように治まった。
四日前の繁栄ぶりは見るかげも無くなったロスホフ家は、貴族社会から追放されてしまい。いまだに憎しみ合っていると言う。
だがその様な事があっても、一部のロスホフ家の末裔達は。また、男爵位から貴族階級の階段を登りだした。
約三百年の時間をかけて、ゆっくりと、慎重に。
ロスホフの名前を捨てて。
そう、新しいファミリーネーム『ロメロ』を使って!
呪われた一族“ロスホフ”の三百年の悲願、レクターレ王国を手にする為に!!
前回で、ナニをアルテアが持ち出したのか、書き忘れていました。
その、補足、と言う事で書き出したのですが、まさかこんなに書く事になるとは。
で、では次回に、お会いしましょう。




