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ヒマな魔王様はヒマが欲しい  作者: さんごく
5章・魔王誕生、その二。

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レクターレ動乱。【古典魔法】と、【精霊魔法】

「ぐは!」城の跳ね橋の上で【太陽神ネファー】の信者達と戦っていた、ブ厚い筋肉で体を覆っている【第三軍】百人隊長ルドロフ・ドムスの胸が。見えない何かに切り裂かれた。

「ドムス百人隊長! どうなさったの?」発達した胸筋から鮮血を流して、右片膝をつくルドロフ・ドムス。

 そこへ金切り声を発して、棍棒で襲いかかる中年女性。

「邪魔をしないでくださいまし!」そう言って癖の強いブロンドの髪を持つ、ロクサーヌ・アルク百人隊長が。愛用のレイピアで、その中年女性の喉を引き裂く。

「【精霊】だ」ルドロフは、左手で胸に出来た傷を押えてそう呟く。

「【風の精霊】に切られた」そう言うとルドロフ・ドムス百人隊長は立ち上がろうとする。

「アッお待ちなさい、止血ぐらいはして置かないと!」そう言って、ロクサーヌ・アルクはとりあえず血管の再生を施す。

「あぶねえ!」そう叫ぶとルドロフ・ドムス百人隊長は、ロクサーヌ・アルク百人隊長に覆いかぶさる。

 その瞬間四十本の【炎の矢】が、敵味方の関係無く降り注ぐ!

〔汗臭い男に覆いかぶさられた上で、【炎の矢】で焼き殺させる。何という屈辱!〕同性愛者ロクサーヌ・アルクは、不思議と冷静にそんな事を思いつつ。降りそそいで来る【炎の矢】を見つめていた、味方もそして啞然と見上げている敵も。


 その時、頭髪を剃り額に持つ第三の目を持つ一人の男が。城の中から歩み出て【呪文】を唱えた。

【濃霧】天候制御系魔法の中でも、もっとも簡単な魔術。だが今ここでは絶大な【防御魔法】であった。

 水の張られた堀から霧が昇り、あっという間に視界が【霧】で見えなくなる。

 焼かれた木炭を水に突っ込む様な音が、暗灰色の空から聞こえる。

【霧】は何事も無かったかのように、まさしく霧散して消えた。

「出てこいスターク・ロン! 貴様が【火の小精霊】を使ったのだろう!」

【風の精霊】による【不可視化】の【魔法】を解いて、手足がひょろ長く背の高い。短く金髪を刈った男性が現れる。

「貴様、ハル・ラムズ! あの【小精霊】を使役出来るようになるまで、どれほどの時間をかけたと思っているかぁ!」

 そうスターク・ロンが叫ぶと、【狂った風の精霊】が敵、味方関係無く切り裂いて行く。

「狂った【精霊】で自分の身を守るか、お前にはそれこそがお似合いだ。【狂った精霊使い】」

 第三の目だけで身の回りを観察するハル・ラムズは、そう言ってスターク・ロンを蔑むが、緊張感は消していない。スターク・ロンはそれ程の脅威だからだ。

【狂った精霊使い】そう呼ばれたスターク・ロンは、激昂してこう叫んだ!

「俺の事を【狂った精霊使い】などと呼ぶなぁ! その口、二度と【呪文】を唱えられぬように引き裂いてくれるわぁ!」

「全員、堀の中へ飛び込めぇ!」これからここで、【魔法戦】行われる! ソレを見続けるのは自殺行為だ。そう思ったルドロフ・ドムス百人隊長は、そう叫んで水堀の中へ飛び込む。

「ああ、もう! 水泳にはまだ早いわよ!」そう言いつつも、男装の麗人ロクサーヌ・アルク百人隊長も水堀へ飛び込んだ。


 ハル・ラムズは、味方の居なくなった城の跳ね橋の上で思った。

『さすがアルテア様の率いる【第三軍】は、こういう時を良くご存知だ。これで思いっきり戦える!』

 ハル・ラムズの手の中で【空気の温度】が高くなって行く。


【特殊能力〔スキル〕、熱変動】これこそ【精霊魔法】や、【神聖魔法】の【術者】から。『古典的』『非効率的』と呼ばれているが、【魔導師】と呼ばれている者どもが目指す、【目標】となっている【魔法体系】である【古典魔法】の【術】だった。

【特殊能力〔スキル〕】の獲得は、一朝一夕では手に入らない。しかも【特殊能力〔スキル〕】ひとつだけでは、思ったような効果は出せない。

 例えば右手の人差し指で相手を狙い、ただ一言【火よ】と【呪文】を唱えれば。火は付くだろう、【呪文を唱えた人物の指に!】

【古典魔法】にはその【魔法】を使うのに正確な【呪文】そして複数の【特殊能力〔スキル〕】が必要になる。

 その為により簡単に【魔法】を使う目的で編み出されたのが【精霊魔法】であり、そして【神聖魔法】であった。

『これからの【魔法体系】は、【精霊魔法】か【神聖魔法】になる』そう言っていた者達は、“比較的”簡単に〔少なくとも【古典魔法】よりは、だったが〕強力な【魔法】が使える【精霊魔法】か【神聖魔法】を使うようになったが。【古典魔法】の持つ圧倒的自由度には【精霊魔法】や【神聖魔法】では、ついに追いつけなかった。

 結局、【古典魔法】の次の時代を見る事の出来なかった【精霊魔法】と【神聖魔法】だったが、それでもなおこの【二つの魔術】は【古典魔法】よりは覚えられやすく。【魔術】をより一般市民に近づけるきっかけになった。


 スターク・ロンは腰から下げている、“鉄製”の筒の栓を抜いて【命令】する。

【鉄の筒の中に閉じ込められたく無かったら、俺の為に戦え!】筒から【大精霊】が出る。


次回、お楽しみに。

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