表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒマな魔王様はヒマが欲しい  作者: さんごく
5章・魔王誕生、その二。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

145/242

レクターレ動乱。アウグストス。

 王都レクターレで内乱発生。その報告がアルテア・アトラウス・アウグストスのもとに届いたのは。スーラートでリリシア・アウグストスの父親、アレク・アウグストス伯爵との会合の席上での時だった。

 アウグストス家の人間のみ受信出来るように設定された、その特別な【魔道具】から放たれる【強力な念話】は。鉄の鎧でも付けていなければ、どのような【魔術的防壁】も突破すると言われている。

「あぁ、何と言う事か!」まだ三十歳になったばかりの、アレク・アウグストスは大いに慌てるが、ガラスの割れる音で我に返る。

 アルテア・アトラウス・アウグストスの左手に持っていた、ワイングラスが握り砕かれていた。

 その左手から滴る液体は、赤ワインかそれとも血か。

 アルテア・アトラウスの視線の先に在るのは王都レクターレ。

 誰も何も言わなかった。いや、言えなかった。会合と共に行われていた舞踏会、その窓際で行われていた、二人のアウグストスのたわいの無い会話。その中に突然飛び込んで来た、とんでも無い情報。慌てふためく分家のアウグストスと、更に血の薄まったアウグストスを名乗る事も出来ない貴族達。その中でただ一人の本家のアウグストス。

 こんなにも違うのか? そう思わせるアルテアの佇まい、アルテアは、アルテア・アトラウスは。


 アルテア・アトラウス・アウグストスは、静かに激怒していた。


 シン、と静まった舞踏会場で貴族達と、侍従や執事は思う。

「本家の人間とはこれ程、我々が知っているアウグストスとは違うのか! 一体どこの馬鹿者か。アレをここまで怒らせてしまって、誰が責任を取ると言うのか!!」


 アルテア・アトラウスのお付きの侍従だろうか、膝まであるウェーブのかかった青い髪の毛を持つ。十二歳位のエプロンドレスを着た少女が、左手に包帯を巻きつける。

「失礼します、アルテア・アトラウス・アウグストス様。たった今【念話】が【軍部】から届きまして、その…」

「分かっている、わたしのところにも今来た」その言葉に兵士は頭を下げる。

「それではわたしはこれで失礼します」

 そう言ってアルテアは会場を出て行った。皮肉にもアルテアが今夜着ていたのは真っ白な軍服だった。

 その軍服に付いた赤い染みが、これから流される数万の血を想像させた。


ううう、じれったい。

頭の中の情報を、そのままデータで送れないモノか!

それでは、次回。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ