【太陽神ネファー】と、ロメロ伯爵家。
ミリアン・アウグストスと、【太陽神ネファーの司祭達】との関係は。彼の母親である、ミリシア・アウグストス(旧姓ロメロ)の少女時代まで、さかのぼる事が出来る。
ロメロ伯爵家の長女ミリシアは、前国王グラダス・アウグストスの第二子である。アストン・アウグストスを。
そしてロメロ伯爵家の次女アリアスは、グラダス・アウグストスの第一子。ロスコー・アウグストスに、それぞれ恋をした。
ロメロ伯爵家の当主は、ご自慢の十歳になる双子の娘達を、目に入れても痛くない程溺愛しており。更にロメロ伯爵家の将来も考慮して。二人の娘がこころに描いた未来を、現実のモノとするために、ありとあらゆる事をしようとした。
レクターレ王国の西に広がる冬になってさえ凍る事の無い淡水の海、通称『母なる海』レクターレ王国から見て、その『母なる海』の北西に存在する。
真冬の十日間太陽が昇る事さえ無いほど、北にある国バデン皇国。
そこで信仰されている【太陽神ネファー】の信徒になり、このレクターレ王国の【国教】を【ネファー】へと変えて見せる。そんな途方も無い約束さえしてしまう程、である。
そしてそれは、二人の娘を嫁がせる所までは成功した。だが、そこまでだった。
ロメロ伯爵家の当時の当主が暴漢に襲わせて、無残な死を迎えたのは。二人の娘が嫁いで三日目の事だった。
その為、当時はあちらこちらでロメロ伯爵家の前当主は『露骨に行い過ぎた』とか、『もう少しでこの国の実権を握れるところまで行った恐ろしい男』などと社交界で一時期にせよ話題に上った。
このロメロ伯爵家当主の事件によって、【太陽神ネファーの司祭達】もその活動を自粛するが。内心もっとも喜んでいたのは他ならぬ【ネファー神の司祭達】であり、その功績によって【大司教】の座を手に入れた、ブール・ベルであった。
それから十九年後。アストン・アウグストスと結婚したミリシア・アウグストスは、【太陽神ネファー】へ今日も祈り続ける。
無理もない。国王となったロスコー・アウグストスの元へ嫁いだ、アリアス・アウグストスは、十七年のあいだ世継ぎが生まれず。十八年目で“やっと”生まれた子供は【変異体】だった。しかも【ネファー神の教え】では、けっして許されない【両性具有】だったのだ!
何と恐ろしい(だが何故か妹は嬉しそうに子育てをしている)。
その日から二年が更に立ち、ついに私にも子供が出来た。長かった二十年。──だが、とミリシアは思う。
この子が【変異体】だったら。そう思うと寒気がする。私は、その子を育てられるか? 妹のように。ミリシアは【ネファー神】に祈る、何度でも、何回でも祈り続けた。
たった千文字の為に5日もかかったー。
スッゴイ難産でありながら、スッゴク平凡な内容。
ウーッとにかく重要な部分なので、このまま投稿しました。
アー何かイライラする。
では、次回。




