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ヒマな魔王様はヒマが欲しい  作者: さんごく
4章・ドラゴン殺し

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戦い。天空の鉄槌。

【魔王】アルテア・アトラウスと違い。空を飛び慣れていないメイ・ハーニスの回りを、泡のような【魔法の障壁】が包み込む。

 何事かと、メイ・ハーニスが理解するより前に彼女を包み込んだ【魔法の障壁】は、とてつもない速度で町の外へと飛んで行く。

 一瞬の出来事の為、思考が追いつけ無かったメイ・ハーニスだったが、自分と同じように運ばれる人々を見て。

「あぁ、自分達はあの地獄から救われたのだ」と理解した。

「さて、これでお前にはもう『人質』に出来る、生きた人間はこの町から居なくなったな」両手を腰にあてて、そう断言するアルテア・アトラウスの口もとには、とても凶暴な『笑み』が浮かんでいた。

 グレータードラゴンの目に、驚きの色が浮かぶ。

 一瞬で、グレータードラゴンの交渉材料が無くなってしまったのだ。

『どうすればいい』グレータードラゴンは自分の命を救う為に考える。いっそ自分の売り込み方法さえ考え始めるが、【魔王】は岩で覆われた天井を見てつぶやく。

「星が綺麗だ」と。


「流れ星!」煤で汚れた顔に笑みを浮かべて、少女がそう言った。

「え…」釣られるようにメイ・ハーニスも、空を見上げてその光景を見る。

 ハルーの町から昇るけむりにも負けない位、大小の流れ星が光りながら降り落ちていた。

 

「もっと近くで見たいとは思わないか?」アルテア・アトラウスは、右手を上げる。


「まさか!」メイ・ハーニスはそうつぶやく、それ程その流れ星の数は異常だった。

「みんな伏せて大きく口を開いて!」アリー・ワンダがそう叫ぶ!

その言葉でメイ・ハーニスは、急いで地面に伏せると耳を手で塞いで口を大きく開く。


【天空の鉄槌!】天に上げた右手を、ドラゴンに振り下ろす! その瞬間十五メール(約十五メートル)の大きな隕石が、天井を突き破りグレータードラゴンを襲う。

 隕石の落下で、ハルーの町を象徴する天井は完全に崩落する。──いやそれだけでは無い。音速をはるかに越える速度で落ちた隕石の衝撃波は、土煙をあげて伝播する!

 衝撃波がメイ・ハーニスや、アリー・ワンダの下へ伝わるのに一秒もかからなかった。

【天空の鉄槌】によって発生した衝撃波は、この町を襲ったドラゴン共の起こした火災をすべて吹き飛ばした。

 だからと言って誰も感謝などしなかったが。


これで第4章も後僅か。

でもこの第4章、オチを考えておりません!

で、では次回。

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