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ヒマな魔王様はヒマが欲しい  作者: さんごく
4章・ドラゴン殺し

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戦い。炎の魔法陣。

 目を覚ましたガン・オンが見たのは、地獄絵図その物だった。

 左前脚首の無いグレータードラゴンは、右前脚だけで大門を引き開こうとするが。重さ十万キ・ラム(約十トン)もの重さの門と、それを運ぶ足だけだが二十体の【ブロンズゴーレム】の脚力には勝てず。幸いにも大門は閉じられた、だが。

 閉じられた大門に対してグレータードラゴンがおこなった事は、開かれていた方がまだ救いのある事だった。

 ドラゴンは大爆発をともなう火炎魔法を大門に放ったのだ!

 鋼の柵を何枚もの木の板で分厚く補強されていた大門は、爆発音と共に外から打ち砕かれ、その破片は爆炎と共に門の内側にあった市場と歓楽街。そして大勢の人々に襲い掛かった。

 ガン・オンは炎と破片の直撃は避けられたが、衝撃波によって吹き飛ばされ、気絶する事となったが、二度目の爆発音が彼を目覚めさせるきっかけとなる。だが、それは絶望を見せつけられる事でもあった。

 そこに広がるのは、元の面影さえ無い燃え広がる廃墟だった。

 地面で黒焦げになっているのは、バラバラになった屋台だろうか。それともバラバラに原型も分からなくなった人間の…。

「うっ!」思わず吐き気におそわれるガン・オン。

 このときになって、自分の左腕がまったく反応しない事にガン・オンは気付く。

 腕は繋がっていたが、どす黒く変色したソレはあらぬ方向へ捻じれており、例え治っても二度と動かす事は出来ないだろう。

 ガン・オンは偶然転がっていた鉄の穂先をもつスピアを手に取って立ち上がる。

 視界にフム・マスが入ったが無視する、どうせ生きて何ていない。何故なら頭から下が見当たらないからだ。

「おおぉおお!」ガン・オンは廃墟の中を走る、奇跡的にも足に大きな痛みは無い。

 あるいは大けがを負っているのかも知れないが“今”は痛みを感じ無い。

 右脇の下に抱えるようにスピアを持ち、グレータードラゴンの後方左後ろ脚へ突撃する。だが、いかに鉄の穂先が【防御魔法】を打ち消しても。その厚い皮膚はボロボロになったガン・オンでは貫けない。

 グレータードラゴンの左目が、ガン・オンを見る。

 ガン・オンは死を確信した、だがそれで良い。生き恥はもう晒す気が無かったからだ。

「さあ殺せ! 殺してみせろ、この化け物!!」ドラゴンの大きな口が開かれて、小さな炎が火の尾を引いて口の中を飛び跳ねる。

 ガン・オンはその火の尾が【魔法陣】を描いているのに気付いたのは、奇跡に近かった。

「あぁ、これで俺もようやく死ねる」ガン・オンは、赤く燃える【魔法陣】を見て思った。


次回、お楽しみにお待ちください。

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