表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒマな魔王様はヒマが欲しい  作者: さんごく
4章・ドラゴン殺し

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

114/242

戦い。門番。

 大門の南側、そこから真っすぐ八百メール(約八百メートル)程先にある林の奥から火の手が上がる。

 林のあちこちに上がった火は、あっという間に炎となって林全体に燃え広がる。

「鐘塔へ行って鐘を鳴らせ!」茫然とその光景を見ている二十代の同僚に、ガン・オンは命令をする。

「……え……」呆気に囚われていた同僚は、ガン・オンが放った初めての“命令”を聞き返して来た。

 ガン・オンは右手で同僚の襟首をつかむと、混乱している二十代の青年に大声で叫ぶ。

「鐘塔へ走って行って、鐘が壊れる位に打ち鳴らせと言ったんだ!!」

 同僚は思わず上官に行う様な敬礼をして、命令通り鐘塔へと走り出した。

 走り去って行った青年の後ろ姿を見た後、ガン・オンは険しい顔をして燃え上る林に視線を送る。

 あそこに居るのはおそらく、あの時の……。

 それは燃える林の中からゆっくりとその姿を現した。

「でかい……」ガン・オンのとなりで、同じく燃える林を見ていた一人が、思わずそう口に出す。

 全長十五メール(約十五メートル)はあろうか。その巨体を強靭な後ろ脚で支え、その前脚は、若干後ろ脚より短いモノの、充分に筋肉が発達しており。四本の指の先端からのびる巨大かつ、強靭な爪は、岩ぐらいならば簡単に砕いてしまいそうだった。

 こげ茶色に赤いまだら模様をした、ゴツゴツとした皮膚は全身を覆い、背中から生えた一対の翼は、差し渡し四十メール(約四十メートル)はあった。

「やはりアイツだ……」ガン・オンはそうつぶやいた、何故なら左前脚。その脚首から先が千切れていたからだった。

 この町の近くで最後に目撃された、五十人の【戦士】を殺して左脚を残して消えた、ドラゴン。いや。

 グレータードラゴン。

 そいつが今またこの町にやって来たのだ。前回は五十人の【戦士】が命を落として押しとどめた、その中にガン・オンはいなかった。

 彼はこの町の片隅で震える事しか出来なかった。

「今回は逃げない」ガン・オンは小さく、そして重くつぶやいた。

 逃げない。いや、逃げられない、あんなみじめな思いはもう御免だ。

 それに、オレはもうこの町の住人で、この町の安全を守る【門番】だ!

 鐘の音が町中に響く。

 あの時から止まっていた時間が、ガン・オンの中でまた動き出した。


ガン・オン。思わず指が滑って、カッコイイ男になってしまった。

……どうするべきか。

次回に会いましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ