3話 昼食
昼休みになり、いつも通り一人でご飯を食べる。
購買でパンを買いに行く為、立ち上がった。
「ちょっとちょっとどこ行くん?」
すると遠月が声をかけてきた。
「購買だけど……」
「これから皆で学食行くけど、一緒に来てよ」
なんだか嫌な予感しかしない。
皆ってことは遠月が普段接してるような陽キャがいっぱいいるということだろう。そんな集団に混ざれば浮くの確定だし、会話もない。
ただこれが陽キャになる方法だと言うなら、断るのも申し訳ない。一応、協力してもらっているわけだし。
「大丈夫! すぐ慣れるよ」
遠月の自信満々な言葉に、俺は諦めのため息を吐いた。
どちらにせよ陽キャになるというなら、これくらいの障害はすぐに訪れる。
「わかった。行くよ」
「よかったぁ~、オタクの友達がいるって紹介していい?」
「それはやめてくれ」
◇
学食に行くと、予想以上に人でごった返していた。購買もそれなりに混んでいるが、学食に比べれば全然だ。
「あ、あそこだ」
もう既に男女十数人と集まっておりテーブル席を三つほど占領していた。そのうちの一つの席が盛り上がっているようで話し声がここまで聞こえている。
遠月が少し前を歩いてその後ろを俺がついていく。
知り合いと軽い会話をしている遠月の後ろで、俺は何をするわけでもなく時間を持て余していた。
そんな俺を横目でちらりと覗き見る他の連中。
取り敢えず、めちゃくちゃ気まずい。だが邪険にする様子はなく、すぐに談笑へと戻った。
顔と名前が一致してる奴が半分と顔だけ知ってる奴、顔も名前も知らない奴って感じだ。
遠月が座ったのは男と女、二人で座っていた席。
他のテーブルは完全に埋まっていたからここしかなかった、という感じだ。遠月が座った向かいに俺は腰を下ろした。
「舞じゃん、おーっす」
遠月の隣に座っていた男が声をあげた。一年も二年も他クラスだった奴だし、顔も名前もピンと来ない。
「たかちゃん、邪魔するね~」
「あれ、そいつは?」
じろっとこちらを見て訝しむような顔で様子を窺っている。
「遠月と同じクラスの鈴城です」
「へー、よろしく。俺は鵜飼隆弘、野球部」
「鈴城くんとは隣の席だから誘ってみたんだ」
「いつも香奈や美咲と一緒なのに今日は珍しいな。それも男を連れてくるとは……、もしや付き合っていたり」
「違う違う。普通に友達だよ」
確かに付き合ってはないが、ただの友達というにはややこしい関係性ではある。
学食のうどんを食べながら俺は隣に座っている女の子に視線を向けた。
俺と遠月が席に来てから一言も喋ってない。何だか邪魔してしまったみたいで申し訳なさがある。
「どうも、鈴城……で、す」
その女の子はどこかで見たことある、というレベルでは済まされない。簡単に関係性を言うなら、元幼馴染という奴か。
「立花唯香です。あまりこちらを見ないでください。キモイので」
黒のショートカットに凛とした表情、冷たい目をしてこちらを見ている。
邪険の目を向けられ、俺は言葉を失った。
「なにか?」
「な、なんでもないです」
もの凄い威圧感を持っている。話しかけるな、というオーラが駄々洩れ。
俺としても唯香、いや立花さんとの関係性はバレない方が助かる。
「ん、もしかして二人は知り合い?」
無駄に察しのいい鵜飼が声を上げる。
それに真っ先に反応したのは立花だった。
「ぜっんぜん違うから、変なこと言うな」
立花は俺に視線を向け、お前もなんか言え、という目で見てくる。
「知り合いだったらもう少し会話も弾んでるよ」
鵜飼は納得した表情をしてニカっと笑顔を見せた。
「確かに、そうだな」
うどんを啜って俺は心を落ち着かせる。
元幼馴染の立花が隣にいたのは驚いたが、だからと言って何か起こるわけじゃない。
ひとまず難を逃れた、そう思っているとスマホが振動する。
さらに立て続けに振動し、通知は止まることを知らない。
スマホを取り出し、誰かなのか確認する。
『立花唯香 四十六件』
隣を見るとテーブルの下でもの凄いスタンプ連打している幼馴染の姿が。
ようやく通知が止まって最後にメッセージが届く。
『夜、いつもの公園に集合』
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