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22話 師匠再臨

 呼び出されたのは俺が今いた喫茶店の向かいにあるファーストフード店。

 そこで待ってろ、とのことだった。

 テキトーに飲み物買って二階に上がる。そこまで混んでもなく、楽にテーブル席を確保できた。

 暫くして相手はやって来る。


「え、はやっ」

「先に着いてるって連絡しただろ」

「いや連絡来たけど、にしても早っと思って」


 七橋は俺の反対側のソファに腰かける。


「駅に居たんだから当然だろ。つーか、あと五秒遅かったら改札通って帰ってたよ」


 これは嘘だが、本当のことはとてもじゃないが言えない。

 遠月と藤宮がこっちの店に来たらヤバいが、流石に梯子はないだろう。


「ふーん。でも私たち最寄り一緒だし、電車乗ってたらあっちで集合するだけっしょ」


 そうだった、俺はコイツと同じ最寄駅だった。

 まあ遠月と藤宮を抜け出してここに来たのは俺だ、七橋の誘いを断ることもできたはずだ。

 もしかしたら師匠と弟子っていう関係性が知らず知らずのうちに気に入ってしまっているかもしれない。


「で、至急って言うくらいだから何かしら重要な話なんだろうな」


 これでどうでもいい話とかなら今すぐ喫茶店に戻ろう。今ならまだ間に合うはずだ。

 七橋はニヤニヤとした顔つきで口角を上げる。


「いきなりだねぇー、弟子よ。うん? そんなに気になるかい」

「じゃあ帰る」


 椅子を引いて立ち上がろうとすると、机の上を乗り出すようにして七橋が止めにかかる。


「うそ、嘘! じょーだんだから聞いてください!」

「おっけー、わかったからあまり引っ張るな。……お前の師匠像、情緒どうなってんだよ」

「師匠は時に冷静に、でも熱く感情的になる。わかった?」


 一ミリもわからん、というかわかりたくない。

 俺は手元にあるはずのドリンクに手を伸ばす……が、スカした。

 落ち着いた様子の七橋はふーっと一息吐いてストローでドリンクを飲んでいる。


「おい、それ俺の」

「あそっか、……飲んじゃったけどいる?」


 間接キスになるじゃねえか。

 も、もちろんそんなこと気にしてないが、わざわざドリンク一杯取り返すほど器の小さい男じゃない。


「あげる、あげるから……早く話をしてくれないか」


 全く話が進んでいない。

 このままだとマジで陽沈むぞ。


「うーん、簡潔に言うと――」


 七橋は朗らかな表情から一変して真面目な顔になる。


「――なんと私が告白されました」

「…………誰が?」

「私、七橋美咲ちゃんです」


 キラッというエフェクトでも付いてそうなビューティースマイル。おそらくこの笑顔で腹立つのは俺だけだろう。


「嘘吐け」

「ずっと思ってたけど、あんた私のこと舐めてるでしょ」

「うん」

「弟子でしょ、舎弟でしょ! もっと師匠を敬ってよ。あんた告白とかされたことないでしょ、私が羨ましいでしょ、ほらほら」


 おそらく彼女は告白されて浮かれているのでしょう。……そうであることを願うばかりです。


「わかったから、告白されたからって何で俺を呼び出すんだよ。返事はしたのか?」

「……まだ」

「まだってことは少なくとも相手のことを好き、というわけじゃないと」


 好きなら即オーケーしてるはずだ。

 目を丸くした七橋がぽつりと呟く。


「なんか早く帰りたがってない?」

「いや、別に。ただめちゃくちゃどうでもいい話を聞かされているな、と思っているだけだ」

「うっ、しょんなつめた……なても」


 ぽろぽろと涙をこぼす七橋、……え、あれ泣くのは聞いてない。


「え、おい七橋?」

「いいじゃん、恋バナくらい付き合ってよ。師匠から恋愛相談されるなんてそうないでしょ」


 そもそも大抵の一般人には師匠できねえよ。

 だけど泣くほど深刻な悩みということなのかもしれない。七橋だからと聞く耳を持たなかった俺が悪い。


「聞かせてくれ、告白について」

「よくぞ聞いてくれた!」


 顔を上げた七橋の目は今日一番の輝きを放っていた。

 ……俺、こいつ嫌い。

読んでいただきありがとうございます。


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