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ブギィィィィイイイィィイ゛!!!!




大きく吠える野獣は高々と大牙を掲げた


周囲に響かせるように上げた声に足が思わず退く

突進をやめ、その場で振り回される牙は先程よりも恐ろしく見えて、なんとか転げながらも避ける

剣で攻撃するもその大牙で防がれはじかれる

牙は固く、下手に防げば剣が折られるだろう

近づくたびに振るわれる牙が厄介でその大牙は剣を防ぎ、懐は足で踏みつぶそうとしてくるさっきとは違う攻撃に手間取る

隙が無く一歩でも遅れまともに攻撃を受けるとひとたまりもない

繰り出される野獣の牙は剣で受け流し、振り回す足を跳んで避ける

苦戦する俺とは反対に野獣は勢いを増していく

深追いせず待ちの姿勢の野獣はその大きな牙を持って近づく俺を薙ぎ払う

どうにか攻めようとするが防がれる


弾くたびに剣が嫌な音をたてる。きっと刃こぼれもしているに違いない

このままでは近いうちに剣が折れてしまう。そうすれば終わりだ

頭の中が思考で埋め尽くされる

ジンフィードはどれくらいとばされた?

怪我は?無事か?フィオネは?避けれたのか?

もしかしてまともに食らったのか?


フィオネは、



いた!



野獣の影に隠れて見えにくいがいた!


よかったと安堵するも気の取られていた俺に野獣が大牙を振り上げる

間一髪なんとか避けることができた

そうだ、俺もよそ見している余裕なんかなかった

このままずっと避け続けていくのは不可能だ。やがて体力が尽きて、そして…いやそんなことより、ああ、クソもっと警戒しておけば

後悔が頭の中を埋めつくす

ジンフィードがどうなったかもわからない

そしてフィオネのあの様子では立つのもやっとだ

手に持つ剣を支えにして立ち上がっている

足を引きずるようにして立つその姿に逃げろと叫びそうになるが

今は気づいていないが声をかけたことで気づかれたらあの状態じゃ逃げられないという考えが相殺する

どうする

焦る俺に野獣はさらに攻撃を加える

止まることのない猛攻にただ俺は防戦に徹することしか出来なかった

どうする

ジリジリと野獣が距離を詰めてくる

手汗で湿る手を強く握り締め剣を持ち直す

足をもつらせないように必死で踏ん張る

どうする

息が大きく、激しくなっていく

俺がここでするべきことはなんだ

ここを打開できるには、みんなを助けるには


どうすれば



ふと視界に入ったフィオネは


その表情は





「っ、うああああ!!!」




ブギイイィィィィィィイイ!!




野獣が足を振り下ろして硬直したときに目を潰した。

ひるんだ野獣に追い打ちをかけるように叩きこむ

流すのではなく横から打ち下ろすようにして一方へ向ける


剣が持たないそんなことわかっている。そんなことよりもこの場で自分ができることは、最善のことは、


薙ぎ払うように足を振るわれすぐさま後ろに距離をとる

正面に剣を構え佇む

視線は野獣をしっかりと捉える

向かってこない様子に苛立つ野獣は片目を潰されたこともあって俺を睨みつける

フゴフゴと漏らす息は荒い

痺れを切らした野獣が突進してくる

その目は俺しか入っていなかった



「聖なる守護を!"バリア"!!」



助走も早々に光の障壁に阻まれ激突する。ぶつかった衝撃は大きく野獣自身にも反動がきているだろう

頭を震わせ、睨みつける

阻まれた怒りに障壁を大牙で攻撃する

ぶつかる度にギシギシと軋む障壁は何度も何度もやってやっと障壁がひび割れ砕け散る

砕け散った障壁の破片はキラキラとひかり消えてゆく

消えていく障壁は

ひかりの先にいたのは





「焼き斬れ!"フレイムスラッシュ"!!!」





赤い炎の刃だった






炎を纏う剣は大牙を捉え



「折れろやぁぁぁぁ゛!!」



大牙が折れる


そのまま野獣の身体を横に斬り裂く

斬られた傍から焼かれるその傷口から漏れるのは赤い血でなく



赤い炎だった



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