0ー1
眠気と暖かさが身を包む。
ふらふらと落ちていくような感覚に身を投じて――
「痛っ!」
唐突にやって来た衝撃に驚愕しながら眼を覚ます。
何が起こった?
目の前の確かな現象と、あやふやな意識に理解が追いつかない。
パニックになりながら辺りを見回しすと。
「海岸...?」
砂の上に座り込んでいた。
「海岸に行く用事なんてあったか?」
そんな事を考えながら、ふと昔見たテレビ番組を思い出した。
――誘拐された場合、まず自身の記憶を探る事から始めましょう。
何に役立つんだそんな事、などと思いながら娯楽として見ていたが...
「本当に役に立つとは...」
事実とは奇妙な物である。
さて昨日の出来事を整理してみよう。
やっと休日だ、と喜びながら帰宅した俺はいつも通り風呂に入り、いつも通りベットでゲームをし、いつも通り天辺を過ぎた頃、床についた。
それから...
それからの記憶が無い。
気づけば此処に居て、目が覚めていた。
「それよりも...」
「今は安全を確保するのが先決か。」
いつの間にか感じていた寒さに、冷静になりながら歩き出した。
「そういえば服はいつの間にか普段着になってるな。」
砂浜を歩きながら見下ろせば、普段見慣れたキャラクターが今も変わらず笑顔を浮かべている。