想いがあって
教室の中、閉鎖された空間。
四角の願ってもいない箱庭に閉じ込められている僕達はどうして、どうして。ここでずっと息を吐くのだろう。
誰かに助けてと勇気を出し信号を振るわけでもなく、僕はただ、行動するのを躊躇っているこれも全て、全て━━
全てただの詭弁だ
考えを鈍らすように雨の匂いが鼻をこする。
猫の鳴き声が聞こえてくる。些細なことだけどそんな雨の日は少し特別だ。
「亮太。次の体育の授業、体育館に変更だってさ」
「あぁ、うん。そうだね」
「西田、明るいね」
「そういうお前は暗すぎるんだよ」
「暗いのも悪くはないと思うけど」
「そうやって、考えているところがダメなんだよ」
「俺みたいにこう。ハッキリとな」
「でないとそんなのじゃ古谷さん振り向いてくれないぞ」
西田は先日。古谷さんに告白をした。
あの日……
誰も居なくなった空き教室に男と女が二人だけの会話を交わす。
日が落ち景色が夕焼けに焼き付く中。必死にこの心の中にある思いを伝えに行ったのだ。
乾く喉をなんとか鳴らせて、吐き出す。
熱い鼓動、全身に冷たい汗が纏わりつく。
暗闇に飲み込まれるまでその気持ちは止められなかったんだと思う。
もうこれ以上。
もう、止まれない――
そう彼は勇気を出したのだ
「西田くん。今日はどうしたの?」
「日直の仕事もう終わっているよ」
「古谷さん。俺ずっと俺が幸せにするから俺と付き合ってくれ」
驚く古谷さん。その綺麗な肩まである髪の毛が風に誘われなびく。そんな動作でも時間を作っているかのように感じるほど、この一日を長く感じさせた。
「そうか。西田くんは心の中の気持ちちゃんと伝えられたんだね」
「あぁ。伝えた」
「ならちゃんと返さないとね」
持っていたほうきをそっと床に置き、彼女は振り返り窓の外。額縁から外れた背景を静かに眺めていた。
鼓動の音とこの熱さだけが「ここは夢じゃない」とそう確かに感じさせてくれる。
直ぐに分かる低い身長に肩まで伸びた黒髪。
白くて繊細で綺麗な肌。華奢な体と一言で済ませてしまえるがそれを許さない何かが古谷さんにはあった。
窓の外を眺め彼女はこう告げる
「ごめん。その告白OK出せないや」
「私もね。まだ思いを伝えられていないんだ」
「思いを伝えられていないって。誰、亮太」
「それは秘密」
彼女にその気がなかった。気持ちの解釈が違った。些細な理由。それだけだ
せめてもの親友への手土産として尋ねたが、
この問いは一蹴されてしまった。
「わかった」
舌を噛み震える肩を抑え、教室の外へ出る。出て直ぐ西田はどこか遠くへ。誰も居ない遠くの場所へと走り出した。
そんな西田の帰りを待っている僕はずるい。
ただ待つだけの傍観者だ。
あとがき
まずはありがとうございます。この物語を読んでくれて、ありがとう。スランプ続きで書けないことが多くって現在小説を原稿用紙に丸写しして描き方を練習している自分が居ます。恥ずかしいです。凄く恥ずかしいです。
自分の文章に自信が持てません。自分はダメです。他の有名な方見たいな皆が喜ぶ文章はまだ書けてません。
この物語はショートで四話のうちの一話が終わりました。完成させたいな(笑)見て欲しいな。感想欲しいな。そう自身を持ってキラキラと言える自分になれるよう頑張っていきます。
応援よろしくお願いします。