ーー02
メアリーとジョンに誘われて、その後ガンショップに行った。
中古が多くあるガンショップ。中古品売り場でいろいろ見てみた。
「メアリーのタイプのは無いんだね」上杉
「私のは古いから。私達が生まれる前にはもうあのガンは存在していたんだよ。」
「メアリーはね、アンティーク趣味なんだよ」
「違うわよ、、前の持ち主達の感じが、いい感じだったからあれを買っただけ!」
「ふーん、、どんな感じなの?」
「タカは、あれを握った時、どんな感じした?」
「・・・・小さいなー、とか、意外と軽いんだなーとか、、かな」
「・・・ふむ、、タカには無いな」ジョン
「んー、、私はね、、。
あれは、、第二次大戦前にできた拳銃。大戦中も使われたの。主に将校とか、文官とか、スパイとかに。
威力ないのよ。弾が小さいから。だから、他の、例えばドイツとかアメリカの拳銃みたいに、ぶち殺しまくった、ってのはあまりしてなくって、なんか、身を守るためにぶちころしまくった?」
「いや、、まくった、、いや、、、似たようなもんじゃないか?」
「全く違うでしょうよ!!これだから平和な国の男は、、、身を守るために、あのガンの持ち主を殺しに来た者たちを逆に殺したの。それをしないと持ち主が殺されちゃうから。全く違うでしょ!!」
「うん、そうか、そうですね。全く違うか。」
実感ないから今ひとつわからないけど、多分そうなのではないか?とは思った上杉。
あ、
目を引いたのは
Colt Woodsman Sport
と書いてある小さな拳銃。
スライドはなんか中途半端な長さしか無く、でも銃身は少し長く、何よりなんかかっこいい。
でも小さい。
22cal、22口径。
反動は少なく、威力もないので撃ちやすい。何より弾が安いらしい。
「あのさ、撃鉄が表に出ているのと、出ていないのがあるけど、、どうなの?」
メアリーのは出ていない。FN-1910というタイプだそうだ。
「ボクのはリボルバーだから出ているけどね」ジョン
「戦闘で使うのであれば、出ている方がわかりやすくていいんじゃないかな?その程度かな?」
と、メアリー
「うん、多分その程度」
とジョン
「んじゃ、これにしようかな」
価格は250ドル。スタームルガーマーク3。新品に近いらしい。
「、、高いから買えないけど、これもいいよなー」
さっきかっこいいと思ったコルトウッズマンスポーツ。でも価格は800ドル以上になっている。買うのは、とても無理だ。
スタームルガーの方はかなり程度が良いらしい。
「これ、元が安いから中古で使い古しのボロなら100ドルしないんだよね。でもこれは程度いいからなー、この値ででも仕方がないかな。」
ジョンが見るに、ライフリングも減っていないとのこと。ボルトの引手の角や本体の角がすり減っていたりするのは、使うと言うか、持ち出しが多いかどうか。なので、使っているかどうかは、ライフリングとか、スライドもしくはボルトのレールのヘリなどを見ればいいという。
コルトウッズマンはスライドタイプ、ルガーの方はボルトタイプだ。
コルトのほうは、結構使われていたらしい。
価格で当然スタームルガーにした。
弾1箱。ゴグル、イヤーマフ、グローブ、クリーニングセット。全部で400ドル以下だった。
ショップで試し打ちしたけど物足りないのでレンジに戻る。
「早く撃ちましょう!私にも使わせてよね!!」
と、自分の方がワクワクしているメアリー。
「また22口径か、、タカ、そのうちでかいのにしようぜ?」
とジョン。
ションのリボルバーは38口径だけど、シリンダーとかは357マグナムを使える仕様になっているという。
「だから、換えの銃身はマグナム用だ!」
と得意げだ。
「マグナムなんて弾が高いだけだし、音も反動もでかすぎよ、、アメリカ人ってでかけりゃいいって思ってるんじゃないかしら?」
メアリーの言うことも、なんかわかる気がする。
メアリーの銃は38口径。薬莢が違うのでジョンの銃との互換性はない。
こっちに来て2年と少しだが、、納得だな。
ケーキとか、ステーキとか、味を気にしないんだよな?デカさで勝負、みたいなところばかりだった。
だが不思議なことに、
借りて乗ったバイクや車は、雑な作りだがそれなりの味はあった。
多分、自分で所有してしょっちゅう故障しても苦笑いしながら自分で修理するだろう、と思うくらいの味はある。
「これ、、使いやすい!!やっぱ22口径だからかな!この銃のグリップ(銃把)が握りやすいからかな!」
はしゃぐメアリー。
買ってきたスタームルガーで30発くらい撃っただろうか。
「私のは右上に引っ張られるの。でもコレはそこまでじゃない、少し上に?あと全弾撃ち終わったらスライド(ボルト)が開いたまま停まるのがいいわね!!コレ、いいわね!!」
確かに、全弾無くなったらスライドが空いているとわかりやすくて助かるな。このスタームルガーはスライドでは無くボルトだけど。
反動は、、弾以外にも銃身の長さなどでも関係あるのだろうか?
などと思う上杉。
「それではボクが、、」
とメアリーから受取り、マガジンに弾を詰めるジョン。
「あ、タカ、予備マガジン買っておくといいよ。便利だから」
と、弾を詰めながらのジョン。
そうだな、、毎回詰めるよりまとめて方がいいかも。
メンテするのが増えるが、マガジンくらい1個でも3−4個でも同じだろう。
「そうだね、今度行ったら買おう。」
ハマっていく上杉。
実際彼らにはスポーツなのだ。
外人、日本人でさえも、彼らと一緒にいればスポーツと感じるだろう。
後日、ジョンは上杉とメアリーを誘ってロングレンジ、ライフル用のシューティングレンジに行った。
ジョンはライフルを持ってきていた。2丁。
オートマチックの22口径。
ボルトアクションの30-06口径。
ボルトアクションライフルを説明する時のジョンは、なんか得意そうだった。
「これは世界中で最も競技に使われている弾なんだ。僕たちの体格ならば(メアリーは心持ちタカより背が高い)、十分使えるほどだ。勿論威力もそこそこあるので面白い!。」
そこのレンジは屋外で、通常の紙の標的もあるが、遠くにブロックやドラム缶、廃車などもおいてある。みな弾痕だらけだ。
勿論廃車はガラスなどかけらものこっていない様に見える。
標的を取り替えられるのは紙の標的のみ。ワイヤーで手前に引っ張ってこれるようになっているのはハンドガンのシューティングレンジと同じだ。
「今日は、そう遠くないんでスコープは使わないでやってみよう!」
弾を詰め込んであるマガジンを、それぞれ10個ほども取り出して並べる。
「ジョンは、競技に出ているの?」
タカは訊いてみる
「・・ああ、実は、たまにね。地元の草競技だけど。いい成績出せるとうれしいよ!トロフィーとか貰えれば記念になるんだよね」
「へぇ!貰ったことあるの?」
メアリーが興味深そうに訊く
「ああ何度か。だから面白い。記念にならなきゃ面白さも半減だろ?」
たしかになぁ、、
とタカとメアリーは納得。
「どう?出たくなった?」
と訊くジョンに
「拳銃の競技あるの?」
と訊くメアリー、興味を持った様子だ。
「拳銃は難しいよ、上手い人多いからねぇ、、手軽に練習できるから」
・・・・・
「まぁ、とりあえずライフルをやってみればいい」
とジョン
メアリーはライフルの使い方を知っている。22口径の方は有名なM-16、米軍の使っているライフル、突撃銃とも言うタイプ。
メアリーは、同様にボルトアクションライフルも知っているが、弾は22LRしか使ったことがないとのこと。
「少し威力が強いだけだよ」
とジョンは気軽に言う。
M-16はさほど重くないが、30-06のライフルのほうは、木製ストックだし銃身も太いし、、重い。マガジンを装填すると更に重くなる。なにせ弾がでかいから。
ジョンが最初に手本を見せる。
その次にメアリーが撃つ。
それらを見て、タカが使い方を覚え、撃ってみる。
ということでいいだろう?とジョンが言ったが、
「まぁそれ以外無いな」上杉
ジョンは、M16を間断無く撃つ。
反動がほとんど無いのか?銃身がほぼ動かない。
「さて、このようにライフルでの22口径はおもちゃ並みに反動がない。練習用だね。」
とジョンはM16をメアリーに渡す。メアリーは満タンのマガジンを持ってブースに立つ。
銃口を上に向けてマガジンを挿入し、マガジンのケツをバン!と押し込むように叩く。
そしてボルトを引っ張り、放す。
垂直には真っ直ぐに、前にはハスに、左手をレシーバー下部に添え、右肘を水平にしてグリップを握り、ストックに右頬をぴったり充て、立っている。
「かっこいいな・・・」
「ああ、彼女の射撃姿勢はとても良い。」ジョン
パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン、カチ、カチ、、
M16は、最初の弾丸装填にはボルト後部のノブを引くが、その時以外はそのノブは動かない。内部のボルトが行き来してから薬莢を排出し次弾を装填する。
なので、マガジンに弾が無い場合、内部のボルトは後部に留まるが、それは外からは見えない。
「あれ?29発?」
「ああ、ジャム防止に抜いているんだ」
マガジンによっては、満タンにすると動きが悪くなり、弾の自動装填が旨く行かないことが起きる。それの防止に1発抜いておく。
本来あのM16は、NATO弾、つまり、口径は22口径とほぼ一緒だが、装薬量と弾頭重量が段違いで、薬莢が大きく長い。それ用の設計のモノを、とりあえず弾の大きが小さい22ロングライフル用にしてしまっているのだ。
本来は使用弾丸専用に開発された銃器を使うのが、銃における基本だろう。
上杉がM16を持ってブースに入る。
メアリーの仕草を思い出し、そのままなぞる。
パン、パン、パン、パン、パン、パン。・・・・うん、中央に集まっている。流石ジョン、サイトが曲がっているなんてことない。ガンオタクなんだろうな。
パン、パン、パン、パン、パン、パンパン、パン、パン、パン、パン、パンパン、パン、パン、パン、パン、パン、パン、パン、パン、パン、カチ、カチ、
M16をブースの台に置いて、空になったマガジンだけを持って、ジョンとメアリーのところに戻る。
「・・・・・・タカ?やったこと、あるでしょ?」
メアリー、なんだか声に棘があるような、、
「うんボクもそう思う。第一姿勢が良すぎ。第二に、なんだよあの集弾!ほぼ10点だろ?!」
ジョン
「いや、、そう言われても、、、姿勢はメアリーのをそのままなぞったつもりだ。姿勢がよかったからグルービング(集弾)もよかったのではないかな?」
「「むふー!!」」
2人はなんか納得がいかない!と言った顔つきのまま。
「だって、この前のルガーの時は、グルービング全然だったろ?」タカ
「・・・まぁ、そうだったけど、、」メアリー
「うーん、、、ハンドガンだけ初めて?とか?」
「いや、日本じゃライフルも所持したり使ったりするのがほぼ不可能だ」
「「!!!!!!!・・・まじですか?」」
「ああ、事実だよ?」
難しいのは事実で、アメリカ人にしてみれば「不可能にしているのと一緒じゃん!」と言われそうなくらいだという。
ひそひそひそ
んじゃ、どーやって身を守るんだろ?
うーん、カラーティ(空手)とか、かな?
女子供はやられっぱなしか?
そうなんじゃない?だって世界で唯一痴漢っていう犯罪がある国だったんじゃなかったっけ?
なにそれ?
性犯罪を軽犯罪化させてしまう魔法の法律よ、知らないの?
へい!法律までもが?!!
銃が無いから抵抗できなかったんじゃないの?
・・・・恐ろしいな、、
「あー、、俺の祖国についてはどーでもいいだろ?」
「・・・ま、そうだね!」ジョン
「・・言われて見れば、関係ないわね!」メアリー
「じゃ、タカの国で、銃を撃ちたい、シューティングをしたい、って者はどうしているの?」メアリー
「国外に出るだろうな、アメリカに来てるんじゃないかな?」
「「・・・・・・・」」
2人とも、オーマイゴッドのポーズ。
「「ま、いいかっ!!」」
「で、んじゃ、次の大会に出るよな?メアリーとタカ!?」
「まぁ、、用事がなければ」メアリー
「同じく、何もなければ」
「まぁいっか、最初だからな、、そんなもんだろう、、うん、、」ジョン
「というか、大会はあのM16でいいのか?」
とタカは一応訊く。
「あー、、んじゃ、二人とも、30-06のライフルを撃てみようか!」ジョン
「「・・・・・・」」
反動が凄かった。
なまじM16が22LRだったので反動がほぼ無かった分、過激な反動に感じられた。
「ボルトアクションの大口径は、もろ肩にくるなぁ、、」
「まぁ、肩パット付けるけどね」ジョン
「「・・・・・用意しとけ」」
あっはっはっは!笑ってごまかすジョン。
ただ、慣れるもので、ジョン秘蔵の弾丸2箱が空くくらいになると、メアリーもタカも点数圏外に行く弾はほぼ無かった。
「うん、いいね!やっぱ出場可能だな!!」
「やっぱこっちの弾で出るのかよ、、」
「うん、外だからねー、22LRじゃ、厳しいよ。風に弱い。」
「まぁ、、私はどっちでもいいか、、30−06も慣れれば面白い弾よねー」
「だろう?!!」ジョン