2.能力発表
『爆発せよ!!』
爆音が鳴り響き、振り向いた視界は光で覆われた。
白い構造物は爆発の衝撃を受け、宙に浮いたその巨体を傾かせつつ煙を上げている。
自分に攻撃が及ばなかったことに安堵しつつも、この場を去ることを優先し元来た方向へ走り出す。
あの爆発は五木が何らかの方法で放ったものと思われる。
そしてあの構造物を攻撃したことから、おそらく奴の言うように他を滅ぼす、つまりは殺し合いに参加するつもりはなく、主催側へ反乱を起こしたという事だろう。
だが、頭脳明晰で知られる五木が、一般的には死亡フラグとされるそんな行動を起こすだろうか。
実行した以上は、何らかの勝算があってのことに違いない。
もしくは、状況に冷静さを失っているか、どちらかだろう。
無我夢中で走ったからか、思いのほか早く皆の元にたどり着いた。
だが様子がおかしい。
皆一点を向いて何かの話す内容を聞いている。
切れた息を整えながら輪に入ると、中心にいたのは、いや、浮いていたのは先ほどの構造物をそのまま小さくしたような、バスケットボール大の物体だった。
≪おや、御堂さんも戻られたようですね。≫
物体から不意に名を呼ばれぞっとする。皆はこちらを振り向き、飲み込めない状況にうろたえているのが伺い知れた。
≪では改めて、皆さんの能力を発表しましょう。≫
≪出席番号1番:加瀬さん 能力:夜間に限り、素手で穴を掘り進められる能力≫
≪出席番号2番:河東さん 能力:血液に限り、飲料水に変えられる能力≫
≪出席番号3番:木更さん 能力:意識のある相手に限り、傷を癒すことが出来る能力≫
≪出席番号4番:五味さん 能力:木材に限り、自在に切断できる能力≫
突然のことにあっけにとられる俺だったが、周囲のみんなは真剣な面持ちで、一言たりとも聞き漏らすまいと、それが発する音声に聞き耳を立てている。
気づけば近くにいた前島に状況を尋ねようと思ったが、この雰囲気の中、それは得策ではないと推察出来た。
≪出席番号18番:伴内さん 能力:目の届く相手に限り、思考を共有できる能力≫
≪出席番号19番:別所さん 能力:発声し続けている限り、触れた相手を動けなくさせる能力≫
≪そして遅刻してきた御堂さん≫
物体は光る目玉のような器官でこちらを向く。
≪出席番号20番:御堂さん 能力:1日1度に限り、管理者に何でも1つ質問が出来る能力≫
沈黙が走る。このクラスは全員で20名、すべての能力が告げられた。
≪皆さんにはこの力を駆使して他のクラスの皆さんと殺りあってもらいます。≫
やっぱりか。思ったことはそれだった。
ただ一つこの時点でなぜか、根拠も全く有りはしないだが
『勝てる。』という自信だけが心の中に浮かんでいるのを認識していた。
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次回の更新は今週中、12時の予定です。