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【本編完結】人生に疲れたので人生をお嬢様に捧げます  作者: ミズヤ
第四章 人生に疲れたので友好関係を結びます
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第28話 犬飼朱莉

 どうやら犬飼さんの方から来てくれるらしく、待っていると、到着するなり犬飼さんに俺はこう言われてしまった。


「先に行ってて、今ここにあなたがいると全て台無しになるから」


 そう言われて待ち合わせ場所を決めて追い出されてしまった。でも、それってつまり、俺は邪魔だって事なんじゃないのか? 本当に今回の買い物に同行しても良かったのか?

 しかも、俺はボディーガードとして同行するって話だったはずだ。だと言うのに、ボディーガードが家から一緒じゃなくてどうするんだよ……全く何がしたいのかさっぱり分からない。


 そして俺は暇潰しに近くの自販機で買った缶コーヒーを飲み干して、缶を握りつぶす。

 俺は少し遅い事が気がかりで苛立っていたのだ。もしここに来る最中に何かがあったら俺の責任だからな。もう少し待っても来なかったら来た道を戻って命令に背いてでも探しに行こうと決めて、握り潰した缶をゴミ箱の中に投げ入れた。


 その時だった。遠くにそれっぽい二人組がこっちに来るのが見えた。

 それが見えたと同時に壁に寄りかかっていたのだが、体制を直して、しっかりと自分の足で立つ。


「お、お待たせ〜待った?」


 あぁ、遅かった。と言ってやりたいが、なんだその台詞は……あの定番の台詞を期待しているのか?

 もし言って欲しいなら、彼氏に言ってやれよ……俺はただのボディーガードだぞ……。

 でも、期待を無下にするのも申し訳ないな。仕方がない……乗ってやるか。


「消えろ」

「おぉ斬新な返しっ!」


 なんか喜んでいるようなので、結果オーライのようだ。


「ま、待った?」

「それ程待ってねぇよ」

「な、何その対応の違い!? 差別か! お嬢様差別なのか!?」


 当たり前だろ。使用人にとって主最優先、お友達は多少大事にするが、お嬢様が一番なのには変わりない。

 しっかし、いつも弄られているから少し仕返しをしてやったら、オーバーリアクションで面白いな。これからも定期的に弄ってみるか。

 そこで一段落が着いたので、俺は二人の事を見てみる。どうやら二人とも今朝見たのとは違う服装だから、着替えて来たんだろうな。しかし、着替えくらいでこんなに遅くなることってあるのか?


「で、しゅんくん」

「しゅ、しゅんくん?」

「そう、風魔春人。その名前のしゅんとから取ってしゅんくん。いい名前でしょ?」


 なんて奇天烈なあだ名をつけるんだ……。でもこの人が変人なのはわかっていたことじゃないか……諦めよう。

 それよりなんの用で話しかけたんだろうか。


「しゅんくん、どう?」


 あ、そういうことか……犬飼さんは俺にもう一つ定番の台詞を言わせたいのか……。

 確かに二人の服装は悔しいが、似合っていて、物凄く可愛い。


「く、良いんじゃないのか? 二人とも、似合っている」

「なんで悔しそうに言うの?」

「実際に君を褒めるなんて悔しいからな」

「ねぇ!? さっきから私の扱い酷くない!?」


 でも実際、二人とも素材が良いんだよな。

 お嬢様の綺麗で滑らかな金髪。整った少し幼さが残る顔。こんな容姿に似合わない服なんてそうそうない。

 そして犬飼さんもまた美人だ。少し古沢よりも幼く見えるが、とてもナイスバディーだ。更に、癖はありそうだが、ふんわりとした赤髪。こちらも勿論、似合わない服なんてそうそうあるわけない。


「でも、似合ってるだって! 良かったねゆららんっ」

「〜〜っ!? そ、そこでなんで私に振るのよ!」


 今、二人が何を話していたかは分からないけど、古沢は怒って犬飼さんの胸を叩いている。でも、その暴力的な胸によって全て弾かれているので全く効いていない様子。

 そんな胸を感じて古沢は自分の胸を触ってから敵対心剥き出しにして威嚇し始めた。その様子を見るだけで古沢は何を思ったのかが手に取るようにわかる。


「あ、あはは。それじゃ、早速買い物に行こう!」


 その声とともに犬飼さんが歩き始めたので、後を追うように俺達も店に行くために歩き始めたのだが、なんだか不思議な感じがした。

 今まではこうやって誰かと街を歩くことは無かった。

 しかし、今ではボディーガードとしてだが、俺のお嬢様である古沢、それにその友達である犬飼さんと共に歩いている。

 その事実がなんだか嬉しくなって自然と笑みが零れた。


「どうしたの? 急に笑って……あ、もしかしてデートみたいだなって思って興奮しているのかな?」

「ふ、風魔君!」

「ちげーよ! 犬飼さん、それ以上変なことを言ったらぶっ飛ばすぞ」

「はぁーい」


 犬飼さんのからかいは健在だ。そのからかいに時折、溜息をつきながら二人のすぐ後ろを歩く。

 なんだか、二人一緒に歩いているところを見ると、本当に仲が良いと言うのが伺えてくるのでホッコリとしてしまう。

 犬飼さんは性格に少し問題があるが、古沢を思う気持ちは本物だ。だから安心できる。


 俺と初めて会った時も古沢を思っていなきゃあんな反応にはならない。それに、古沢が俺の事を大切だと言った瞬間、俺への庶民差別はしなくなった。

 あんなからかうのが好きな性格じゃ無かったら、素直で可愛くて友達想いで、完璧な人なんだけどな……。でもそれらを含めて犬飼朱莉って人物なんだもんな。

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