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Report  作者: キスツス
8/10

7. 懇ろのドラッグ Pregabalin プレガバリン

※警告※

レクリエーション用途を目的とした医薬品等の適応外使用および過剰摂取は本質的にリスクの高い行為であり、使用者に対し死をも含む不可逆的かつ重篤な障害をもたらす可能性があります。医薬品に関しては極力医師および専門家の指導・監督のもと用法用量を守った適切な使用に努めてください。自己判断による摂取は使用者自らの完全な責任の下、十分な情報収集を行い危険な状況を回避するあらゆる予防措置を講じたうえで行ってください。馴染みのない物質の使用は必ず低用量以下から始め、trip sitterを用意する等の対策が推奨されています。また、許可を経ない処方医薬品の譲渡および売買は法律で禁じられています。責任ある薬物使用を十分に心がけてください。

名    :Pregabalin


別称   :3-Isobutyl GABA、β-Isobutyl GABA


作用分類 :鎮痛、抗鬱、抗不安、解離


化合物分類:Gabapentinoid


危険度  :Monitum


●概要

 PregabalinはGabapentinoidクラスの化合物であり、日本では線維筋痛症、神経障害性疼痛等における鎮痛薬として処方されます。作用機序や主観的効果はGabapentinとほぼ同等のものを有します。ただし、Pregabalinは経口バイオアベイラビリティが90%以上であり、最大でも60%程度のGabapentinよりも優れています。各種研究によりPregabalinはほぼ代謝されず、そのままの形で腎排泄されることがわかっています。臨床的にPregabalinの体内への吸収は食物等の影響をほとんど受けませんが、食後すぐの経口摂取ではピークレベルの低下や血中濃度が最高値になる時間が伸びてしまうとされています。当初Pregabalinには依存や耐性の構築がほぼ無いと考えられていおり、現在も処方薬としてや個人輸入などで合法的な入手が可能です。しかし、規定用量以上のPregabalinの摂取はMDMAに匹敵するレベルの他者共感やOpioidに匹敵するレベルの認知的陶酔、幻覚、視覚的解離といった多様な効果をもたらすことが分かり、2020年現在規制に向けた動きが起きています。Pregabalin自体の毒性は非常に低く相当量を摂取しても致死的ではありませんが、他の薬剤とのカクテルやふらつきによる事故などによって致命的な事態に陥ったという報告があります。


●薬理

 空腹時に経口摂取されたPregabalinは約1時間で血中最高濃度に達し、消失半減期約6時間で体外へ腎排泄されます。吸収されたPregabalinは血液脳関門を通過し脳内にある電位依存性カルシウムチャネルのα2δ-1、α2δ-2サブユニット(Gabapentin受容体)に強く結合します。その結果、神経シナプスにおけるカルシウムの流入が減少し、Glutamic acid、Acetylcholine、Norepinephrine等の興奮性神経伝達物質の放出が抑制されることで鎮静や鎮痛をもたらします。また、Dopamine作動性の報酬系に間接的または直接的に作用すると考えられており、陶酔や身体的ハイをもたらすとされています。PregabalinはGABA骨格を有しており鎮静等のGABA様作用をもたらしますが、 GABA-AやGABA-B、Benzodiazepineサイト等のGABA受容体への活性は示さず、また脳内のGABA作動系にも影響を与えないと考えられています。


●投与量

・閾値線量 50mg~

・軽度   100mg~

・中度   300mg~

・重度   600mg~

・深度   900mg~


●摂取方法

オーラル、スニッフ


●効果時間

・知覚 30min~1h

・発症 30mg~1h

・ピーク 2h~4h

・残効果 2h~3h

・作用時間合計 6h~10h


●正の知覚的効果

・鎮静

・睡眠の強化

 -Pregabalinは睡眠の質を向上させ、睡眠時間を延ばす効果があること報告されています。また眠気を増強する作用があると考えられており、深夜などの眠気を感じる時間帯でのPregabalin摂取は気絶するような寝落ちを引き起こすことがあります。

・身体的ハイ(高用量~)

・筋弛緩

 -Benzodiazepineほど強力ではありません。

・鎮痛

・共感性の向上、社交性の向上(高用量~)

 -MDMAのEntactogens的効果に匹敵すると感じる人もいます。

・陶酔

 -低用量であってもOpioidに匹敵する陶酔を感じるという報告があります。

・解離効果(高用量~)

 -高用量以上のPregabalinにはNMDA受容体阻害作用があると考えられています。しかしその効果はDXM等の解離剤と比較すると非常に穏やかです。

・閉眼幻覚(高用量~)

 -Psychedelic物質と比較すると軽度です。

・抗不安


●負の知覚的効果

・食欲増進(中程度~)

 -この作用の発現機序はよくわかっていませんが、個人差はあるもののPregabalinには食欲増進作用があり、人によっては大麻のそれに匹敵するほどに感じるとされています。

・オーガズム抑制

 -高用量では極めて顕著です。性的な興奮を覚えてもオーガズムへ至るのが困難になります。

・食欲抑制

 -人によっては効果中は食欲が抑制されます。

・呼吸抑制

 -BenzodiazepineやOpioidよりは軽度です。

・めまい、目の充血、視界異常(高用量~)

・筋肉の痙攣・緊張

 -個人差があり稀です。

・吐き気(高用量~)


●毒性

 Pregabalinの毒性は比較的低く、単体で高用量未満の使用に努める限り安全とされています。しかし長期間の慢性的な摂取は使用者に抑うつ的な作用をもたらすと報告されています。


●依存性

 Pregabalinは慢性的な摂取によって中程度以上の依存を形成する可能性があります。


●耐性

 Pregabalinの耐性は数か月以上の慢性的な摂取によって徐々に構築されていきます。耐性がついてしまうとこれまでのようなポジティブ体験をするために必要な摂取量が増加していきます。さらなる摂取を行わない場合、約1~2週間で耐性はベースラインに戻るとされています。


●効果終了後、離脱症状

 数か月以上の慢性使用の後突然摂取を中断すると、不安や不眠、異常発汗、寒気、吐き気等の離脱症状が高い確率で発生します。そのため、Pregabalin使用を中断する際は徐々に使用量を減少させていく必要があります。


●禁忌

・Opioid

 -呼吸抑制の増強、過鎮静、意識消失などの可能性があります。

・Alcohol、Benzodiazepine等GABA受容体作動物質

 -これらの物質は呼吸抑制、鎮静の作用を増強するため予期しない意識消失をもたらす危険性があります。そのため、意識消失中に吐瀉物が気管につまり死亡するリスクを増大させます。


●その他特筆事項

・PregabalinはPsychedelic物質摂取時の不安を軽減し刺激による不眠を緩和します。

 -Pregabalinの抗不安と鎮静効果は使用者を落ち着かせ、Psychedelic物質の使用を快適にするとの報告があります。

・Pregabalinは薬物依存の克服に効果があるとの報告があります。

 -PregabalinはOpioid、Alcohol、Benzodiazepines等によってもたらされる強い離脱症状を緩和し、それら薬物の使用中断によい効果を示すという報告があります。


[効果レビュー]


報告日時  :20〇〇年δ月κ日

報告者 :■■ ■博士

被験者 :■■ ■ [Bクラス被験者] 管理No.B-00668


※被験者はPregabalinが処方されるような持病は特にありません。

※実験段階で被験者は特定の薬物依存経験はありません。


18:00 食事


22:00~23:00 仮眠


0:00 シャワー


0:40 Pregabalin 750mg 水 経口


1:55 痺れに似た軽度の鎮静が出現。


2:05 少し寒さを感じる。


2:13 はっきりとした陶酔を感じ始める。


2:18 排尿&排便、特に問題なし。


2:37 軽度の解離を知覚。


2:55 軽い閉眼幻覚が出現。瞼の裏で不定形の光の線がうねうね不規則に動いている。たまに精神を残して体が上にひっぱられるような感覚を覚える。


3:17 背中がぞくぞくするような刺激が走る。心が体から引っ張られている感覚。


3:19 陶酔は強まっている。思わず声を出し惚ける。


3:24 閉眼幻覚は続いている。山脈のようなものを俯瞰するビジョンが見えた。


3:33 夢のようなよくわからない光景が脳内に広がった。


3:35 時折軽いオーガズムに似た体をくねらせるほどの刺激が体を貫く。


3:37 なんとなくまぶしさを感じるため電気を消す。眠気はあまりない。


4:13 ただただ心地よい。


4:20 歩くとふらふらする。ふと鏡を見ると目が乾燥し充血していたため目薬をさす。

   目薬をさして目を閉じたとき花畑のような閉眼幻覚が見えた気がする。


4:29 少し空腹を感じたためお菓子を食べる。


4:53 椅子にもたれかかり目を閉じるとピンクっぽいシーツに覆われた部屋のビジョンが見えた。


5:10 ふわふわと気持ちがいい。


―被験者は気絶するように寝落ちしました


12:20 目覚める。どうやら寝落ちしてしまったらしい。しかしまだ強い眠気がある。


12:30 歯を磨き布団に横になる。


18:53 起床。合計12時間以上近く寝てしまった。


所感

 強い陶酔と弱い解離作用、そしてPsychedelic的な閉眼幻覚などの複合的な作用をもたらすという非常に興味深い結果が得られた。睡眠の強化は著しいようで、追加の実験でも大幅な睡眠時間の増大が確認された。アッパー的作用とダウナー的作用の両方を発現するとは実に面白い。

■■ ■博士


●入手方法

・Pregabalin含有の医薬品は医師の処方によって入手可能です。

・Pregabalin含有の医薬品は個人使用に限り海外からの個人輸入による入手が可能です。

 -個人輸入した医薬品は完全な自己責任であることを認識したうえで使用してください。


●法規制

〇日本

・Pregabalinを含む医薬品には「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」が適用されます。日本国内においてPregabalinの個人使用、所持は違法ではありません。が、Pregabalinを無許可で譲渡・売買することは違法です。

〇日本以外

・Pregabalinは世界のほとんどの国で処方医薬品として扱われています。個人使用の範囲での所持と使用は多くの国で合法です。

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