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Report  作者: キスツス
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3. 和みのドラッグ L-Theanine テアニン

名    :L-Theanine


別称   : L-γ-glutamylethylamide


作用分類 :鎮静薬、向知性薬


化合物分類:アミノ酸


危険度  :Cessabit


●概要

 L-Theanineは白色結晶性の非必須アミノ酸です。自然界ではチャノキと一部のキノコにのみ含有されている成分であり、特にチャノキには全アミノ酸の半分を占めるほど高濃度で含まれています。L-Theanineは水溶性であり緑茶のうまみ成分として作用しています。緑茶1杯には20mg程度のL-Theanineが含まれているようです。L-Theanineは血液脳関門を通過することができ、抗不安、抗ストレスなどの鎮静効果を主とする向精神作用を発現させることが知られています。特に睡眠の質を向上させる効果はよく知られており、起床時のすっきり感や睡眠時間の向上・改善効果がよく報告されています。しかし、睡眠の導入を助ける(眠気を誘起する)効果はあまり大きくはないようです。適量のCaffeineとL-Theanineの併用はそれぞれを単独で摂取するよりも集中力と注意力を向上させることが報告されており、Caffeine:L-Theanine=1:2の組み合わせが向知性薬として扱われることがあります。


●薬理

 L-Theanineの薬理機序はまだ完全には判明していません。L-Theanineは経口摂取後30分~1時間程度で血液脳関門を通過し脳へ到達します。脳内においてL-Theanineは興奮性神経伝達物質であるGlutamic acidと構造が類似していることから、NMDA受容体の弱い拮抗薬として作用することが知られています。L-TheanineはそのNMDA受容体を介することでGlutamineおよびGlutamic acidの再取り込みを阻害します。Glutamic acidはGlutamineから変換されますが、その細胞内取り込みを抑制するために脳内のGlutamic acid供給量が低下します。また、脳内のGABA、Glycine、Dopamineレベルを増加させることで鎮静、集中といった効果をもたらします。L-Theanineは体内で最終的にはGlutamic acidとEthylamineに分解されます。


●投与量


・閾値線量 50mg~

・軽度   100mg~

・中度   200mg~

・重度   400mg~

・深度   500mg~


●摂取方法

オーラル


●効果時間

・知覚  30min~1h

・ピーク 1h~4h

・残効果 2h~3h。

・作用時間合計 5h~7h


●正の知覚的効果

・集中 (軽~中用量)

・鎮静 (高用量~)

・弱い抗不安

・集中力向上

・睡眠安定化 (抗中途覚醒、抗浅眠)

・抗ストレス


●負の知覚的効果

・頭痛 (高用量かつ人による)


●毒性

 動物を用いた研究によりL-Theanineは非常に高用量かつ長期間投与しても不可逆的な毒性を発現しなかったことが報告されています。常識的な量を摂取する限りL-Theanineの人体毒性は非常に少なく安全であると考えられています。


●依存性

 L-Theanineは依存を構築しないと考えられています。


●耐性

 L-Theanineは長期間にわたる慢性的な摂取によって徐々に耐性が構築されていくと考えられています。一度構築された耐性がベースラインに戻るためには1週間程度の期間が必要になります。


●効果終了後、離脱症状

 L-Theanineの投与と効果終了後にもたらされる明らかな負の効果は報告されていません。


●禁忌

 L-Theanineと組み合わせることで致命的な症状をきたすものは報告されていません。が、一般論として多数の薬剤、特に鎮静効果を有するものとの組み合わせは予期せぬ作用をもたらすことがあるので避けるべきです。 


●その他特筆事項


[効果レビュー]


①睡眠改善効果について

■■ ■■■博士の日記より抜粋


20〇〇/10月9日

「――最近特に平日の早朝覚醒がひどい。目覚ましを8時にセットしても5時か6時くらいに目が覚めてしまう。まぁそこからまた寝れるからまだいいのかもしれんが気持ちのいいものではないし二度寝は脳によくないという話も聞く。おかげで朝ベットから起き上がるのが億劫でしょうがない。ストレスがたたっているのだろうか――」


20〇〇/11月20日

「■■ラボでL-Theanineの検証実験協力者を集っていたので手を挙げた。リラックスや安眠に効果があるとのことだったのでちょうどいい。200mgを寝る30分~1時間前に摂取するとのことだ。■■ラボだし正直あまり期待はしていないが少しでも今の状況が改善されるなら。」


20〇〇/11月21日

「残念ながら効果は特に感じず。入眠時も睡眠を促進されているような感じはしなかった。1時に寝たが4時くらいに目が覚めてしまいそこからは断続的な睡眠しかとれなかった。■■博士に報告したら「即日で効果が出るもんじゃない、2,3日様子を見てくれ。なんなら400mgまで増やしてもいい」と言っていた。まぁ言ってることももっともだ。今日は400mgにする」


20〇〇/11月22日

「久しぶりに目覚ましの音で目が覚めた。寝たのは2時ほど、そこから8時まで途中覚醒なく眠ることができた。平日にベットからすっきり起き上がれるのは本当に久しぶりだ。眠気が残るということもなかった。ただたまたまという可能性もある。もうしばらく様子を見たい。」


20〇〇/11月27日

「まもなく実験に参加して1週間になる。寝る前のL-Theanine 400mg摂取を行うことで明らかに途中覚醒が改善されていると感じている。人によっては200mgで顕著な効果が出たものもいればあまり効果のなかったものもいるそうなので個人差があるのだろう。言ってしまえばただのアミノ酸だ。ただ今のところ私にはよくあっているように思う。継続的な摂取を続けていきたい、と思える物質だ。」


②向知性薬として


報告日時  :20〇〇年α月β日

報告者 :■■ ■博士

被験者 :■ ■研究員 [Aクラス実験協力者] 管理No.A-0SA122


■■ ■博士による■ ■研究員への聞き取り調査。

報告レポート[向知性薬としてのL-Theanine研究 第二次 ]より


「集中したい作業や起きてなきゃいけない会議の前にCaffeineとL-Theanineを1:2の割合で摂取しています。私の場合は大体C:T=100mg:200mgですかね。するとCaffeinの焦燥感みたいなよくない作用をL-Theanineが抑えてくれて、覚醒と集中、注意力がそれぞれ単独で摂取するよりもよくなるように感じるんです。Caffeineの代わりにTheacrineでもいい。その場合Caffeineよりも覚醒がマイルドになりますが集中はより深くなるように感じます。寝るときだけではなく日常的に役に立つ場面が多いなと思った物質ですね。」


所感

――L-Theanineは単独では抗ストレスと軽い鎮静をもたらし、Caffeinとの組み合わせでは集中と覚醒を底上げすることができ、学習の維持と質の向上によく作用すると思われる。L-Theanineは弱い向知性薬としての効果を持つと考えてよいだろう。

■■ ■博士



●入手方法

 サプリメントとして入手可能です。


●法規制

〇日本

・L-Theanineは現時点で規制されていません。違法ではありません。

〇日本以外

・L-Theanineを明確に規制している主な国、地域は現時点ではありません。

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