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Report  作者: キスツス
3/10

2. 集中のドラッグ Theacrine テアクリン

名    :Theacrine


別称   :1,3,7,9-tetramethyluric acid, Temurin


作用分類 :興奮剤、刺激剤


化合物分類:プリンアルカロイド


危険度  :Cessabit


●概要

 Theacrineは白色結晶性で苦みのあるプリンアルカロイドです。チャノキの一種であるkuchaから特に高濃度で見つかっていますが、それ以外にも多くの植物に含まれていることが分かっています。その化学構造はCaffeineに近く、もたらされる生理学的作用もCaffeineとよく似ており低用量では鎮静、高容量では覚醒・興奮をもたらします。TheacrineはCaffeineよりも効果がマイルドであり、Caffeine摂取時に見られる焦燥感や動悸等が少なくCaffeineの刺激に慣れている人にとっては物足りなさを感じる可能性があります。しかしTheacrineは終了後のリバウンド (集中力低下、無気力感等)が比較的少なく、かつ効果自体もCaffeineより長時間持続するとされています。Caffeineより刺激効果がマイルドな分、集中力の強化はTheacrineのほうが強く感じることができます。


●薬理

 Theacrineの作用機序はCaffeineのそれと大きく類似しています。Theacrineは神経伝達物質の一つであるAdenosineと一部構造が類似しており、脳内のAdenosine受容体に対するアンタゴニストとして機能します。通常、Adenosineがその受容体へと結合した際には眠気が誘起されますが、Theacrineはその結合を阻害しかつ自身はAdenosine受容体の活性化能を保有していないために結果として一時的な覚醒 (眠気の軽減)がもたらされます。また、TheacrineはAdenosine受容体を介する形で興奮性神経伝達物質であるDopamineやAcetylcholine等の放出を促し、さらに抑制性神経伝達物質であるGABAの放出を抑制することで中程度の刺激をもたらします。


●投与量

・閾値線量 25mg~

・軽度   50mg~

・中度   100mg~

・重度   200mg~

・深度   300mg~


●摂取方法

・オーラル


●効果時間

〇オーラル

・知覚 30min ~ 1h

・ピーク 3h ~ 5h

・作用時間合計 6h ~ 10h


●正の知覚的効果

・中程度の刺激・覚醒

・集中力の向上・維持

・軽度の鎮痛作用

・鎮静作用(低用量)

・エネルギーの増加

・疲労感の軽減


●負の知覚的効果

・投与量と人によっては軽度の頭痛

・投与量と人によって軽度の吐き気


●毒性

 人を対象にしたエビデンスはCaffeineほど多くはありませんが、単純に比較すればTheacrineの毒性はCaffeineよりも低く比較的安全な物質とされています。

(CaffeineのLD50 = 265 mg/kg, TheacrineのLD50 = 810mg/kg 共にラット )


●依存性

 TheacrineはCaffeine同様慢性的に高容量を摂取し続けることによって精神的依存を形成する可能性があります。しかしTheacrineの依存の形成はCaffeineほど急速には進行しません。


●耐性

 Theacrineは似たような作用機序であるCaffeineと比較して耐性の構築が遅いことが分かっています。Caffeineが4~5日程度の慢性的摂取で耐性と依存を形成するのに対し、Theacrineは300mg/dayの比較的高容量を8週間継続摂取しても目立った依存と耐性、タキフィラキシーの発生が見られなかったという信頼できる報告があります。


●効果終了後、離脱症状

 Theacrineの投与と効果終了後にもたらされる明らかな負の効果は報告されていません。


●禁忌

・Caffeineに類じます。MAOIやCaffeineとの併用が好ましくない一部頭痛薬、風邪薬とはTheacrineも併用状態になることを避けるべきです。


●その他特筆事項

・Caffeineは低用量であっても刺激と顕著な抗睡眠作用(寝たいのに眠れなくなる)をもたらしますが、Theacrineは抗睡眠作用がCaffeineよりも低くむしろ軽用量以下では鎮静作用が強く発現します。Theacrineが鎮静作用をもたらす機構は判明していません。

・TheacrineとCaffeineの同時摂取は互いの良さを引き出せるよい組み合わせです。

・全般的にCaffeineに類似した効果を持ちますが、gあたりの購入金額はCaffeineの4~5倍以上と比較的高価です。



[効果レビュー]


※実験報告書中音声記録より

報告日時  :20〇〇年α月β日

報告者 :■■ ■■博士

被験者 :■■■ ■研究員 [Aクラス実験協力者] 管理No.A-03622


―音声記録 T-097-03を再生します。本記録の再生時間は00:03:47です―


「効果レビューってんで今日もこいつを摂取しているが、まぁ最近はすっかり日課になっちまったな。まず朝起きるだろ。当然頭はもやもや、仕事がある平日の朝なんて生まれてこの方すっきり目覚めたためしがないのが普通だろう?この仕事は好きだがね。顔を洗って服を着替えてニュースでも眺めながらコーヒーを一杯ひっかけて家を出る、ってのがこの実験前までの俺の日課。この実験のために1週間Caffeineを絶たなきゃいけなかったのは何よりつらかった。ま、そんなことはいい、この実験はようはその一杯のコーヒーを100mgのTheacrineに変ようってわけだ。すると、俺の通勤時間はだいたい30分くらいだからちょうど職場につく頃にTheacrineの効果が出始める。初めの頃はなんとなく不快感があったな。なんというか軽い吐き気があった。いや、吐き気まではいかないな。胃の違和感ってのが正しいか、うん。でも気になることはそれくらい。それも3日目くらいには気にならなくなった。なれるもんなのかもな。で、職場について仕事を始める頃にはまー頭がすっきりしてる。爽快感のあるすっきりではなくなんつーか・・・部屋を片付けた時のすっきりに近いかねぇ。Caffeineの覚醒刺激にはなんというか強制感があるだろ?『よーし、やるか』的な。説明にもあったがこいつはそこらへんほんとマイルド。アゲるんじゃなく本来の脳のベースラインにリセットしてくれる感覚よ。仕事は捗る。サクサク片づけられる。ただ一極集中ってときはCaffeineのほうがいいパフォーマンスが出せそうな印象だな。Theacrineはどっちかってとルーチンを冷静に集中して淡々と行うみたいな作業に向いてると思う。後こいつのいいところはCaffeineより効果が長いとこな。Caffeineだと朝と昼過ぎとか複数回に分けないと午後や夕方に眠気や疲労感がやってくるが、Theacrineは朝だけ飲んでも定時くらいまでならいつも持ってくれる。残業があると困るけどな。この実験が始まって1週間になるが特に効果が落ちてるとかも感じないな。しっかり機能してくれてる。正直いろんな意味でCaffeineの上位互換でなんか裏があるんじゃないかと不安になるくらいだぜ。・・・っと、記録はこんなもんでいいか?なんかただの宣伝みたいになっちまってないか?ま、今んとこ手軽さという点では似たような作用のCaffeineのほうが圧倒的に高いし、どっちかだけ使うってよりCaffeineとTheacrineをうまく使い分けるのがいいんだろうな。いざというときに頼れる相棒は多いほうがいいだろう?」


―音声記録 T-097-03を終了します。―


●入手方法

 サプリメントとして購入可能です。


●法規制

〇日本

・Theacrineは現時点で規制されていません。違法ではありません。

〇日本以外

・Theacrineを明確に規制している主な国、地域は現時点ではありません。

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