1.活力のドラッグ L-Tyrosine チロシン
名 :L-Tyrosine
別称 :4-hydroxyphenylalanine
作用分類 :興奮剤 (弱)、向知性薬
化合物分類:アミノ酸
危険度 :Cessabit
●概要
L-Tyrosineは脳内神経伝達物質であるDopamine、Adrenaline、Norepinephrineの前駆体として機能する非必須アミノ酸です。食物ではチーズや鶏肉、牛乳などの高たんぱく製品に含まれていることが知られ、日常的にある程度の量を取得しています。一定量以上の投与によりL-Tyrosineは体内のCatecholamineを増加させます。それによる気分の変化はほぼ生じませんが、ストレス下におけるタスク処理能力の向上、睡眠不足におけるパフォーマンス低下の抑制などの精神活性作用が生じます。それら作用は精神刺激薬であるMethylphenidateやMethamphetamineと比較すればはるかに低くマイルドであり、故に副作用や毒性はほぼなくL-Tyrosineは日常的な摂取が可能です。
●薬理
L-Tyrosineは体内にてL-DOPAへ変換され、その後の脱炭酸によってDopamineへ変換されます。この変換プロセスのためにL-Tyrosineをある程度以上摂取しても変換が追い付かず効果に上限が生じます。
●投与量
・閾値線量 300mg~
・軽度 500mg~
・中度 1000mg~
・重度 2000mg~
・深度 3000mg~
●摂取方法
・オーラル
●効果時間
〇オーラル
・知覚 20~60 min
・ピーク 1~2 h
・作用時間合計 3~4 h
●正の知覚的効果
・軽度の刺激
・軽度の覚醒
・集中力強化
・やる気向上
・軽度の抗不安
●負の知覚的効果
・頭痛、頭の締め付け感
・いらいらしやすくなる
・効果終了後の落ち込み、集中力低下 (リバウンド)
●毒性
L-Tyrosineの毒性は非常に低く、単体で安全に摂取される限り不可逆的な身体的・精神的副作用を生じないとされています。
●依存性
L-Tyrosineはドーパミン系に影響を与えるため、高頻度の使用は軽度の依存を形成する可能性があります。
●耐性
L-Tyrosineの耐性は高頻度の使用後は急速に形成されます。一度形成された耐性をベースラインまで戻すには、摂取しない期間を1週間以上設ける必要があります。
●効果終了後、離脱症状
L-Tyrosineの効果終了後には集中力の低下や不快感、疲労が報告されています。しかし一般的な精神刺激剤と比較しその程度は低いと考えられています。
●禁忌
・MAOIと高容量L-Tyrosineの同時摂取はDopamine等の神経伝達物質量を危険なレベルまで増加させる可能性があります。
●その他特筆事項
・L-Tyrosineは本質的にアミノ酸であるため空腹時の摂取が最もその効果を発揮できる可能性があります。
[効果レビュー]
実験日時 :20〇〇年×月▲日
レビュー者 :■■ ■■博士 [Aクラス実験協力者] 管理No.A-00155
〇t +0
朝、仕事に取り掛かる前にL-Tyrosine (500 mg)をお茶で流し込みました。私はいつも朝食を食べないので、胃に何も入っていない状態での摂取でした。
〇t +30min
心なしか頭に軽い締め付け感を覚えました。頭痛とまではいきませんが軽くぐっと押されているような感覚です。感情、知覚に大きな変化は感じられませんでした。
〇t +1.0h
仕事を始めてから1時間程度たっていますがよく集中できています。朝特有の眠気は感じていますが脳はきちんと動作しているような感覚です。いつもより業務の処理が捗るように感じました。
〇t +2.0h
効果はまだ続いているようでした。時間の経過が早いです。
〇t +3.0h
疲れを感じました。業務を止め一息入れると頭の締め付け感が消えていることに気付きました。それと同時にさっきまでの集中が落ちているように感じられました。すぐに昼休憩だったのは幸運でした。これ以降、特に変化を感じることはありませんでした。
▲所感
このドラッグには眠気を覚ましたりやる気を起こさせるといった強い向精神効果はあまり期待できないようです。集中とやる気をある程度以上に維持させる底上げの効果がより正確かもしれません。その点では覚醒と刺激をもたらすカフェインとの同時摂取は、集中して作業に取り組まなければならない環境でベストなパフォーマンスを発揮するためによい組み合わせといえます。
●入手方法
・サプリメントとして購入可能です。
●法規制
〇日本
・L-Tyrosineは規制されていません。違法ではありません。
〇日本以外
・L-Tyrosineは世界のどこでも規制されていません。違法ではありません。