表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平凡を超えた超越者  作者: 髭猫
第一章 異能の目覚め
9/54

第9話 ここのコーヒーはお気に入りだから

お読み下さりありがとうございます。

改稿1:なるべく読みやすく改稿してみました。

   あくまでもなるべくです。

   内容は変えておりません。(21年1月27日)

「はてさて...何処から何を聞こう?」


 この話の終着点は?

 当初の予想より大分ややこしい事になりそうだ。

 まずは...


「朱さん...昨日の夜って公園に居なかったかな?」


 居た事は確定なのだが、遠回しに聞いてみる。


「やはり気付かれておりましたか...」


「スーパームーンを見に...って訳じゃないよね?

 誘った時は軽く断ったもんね」


(駄目元で誘ってやっぱり駄目でした...

 まぁ、結果は予想してたからショックは無いけど?)


 北河原さんが驚いて朱さんを見てる。

 さっきからの態度からするとこの二人は知り合いで間違いないだろう。

 この店を選んだのは俺だけど...偶然でもなさそうだ。


「私の、いえ私達の仕事は...

 影ながら聖さんを、いえ、聖()をお守りする事です。

 表立って親交を深める事は硬く禁じられております。

 お誘いされたのは嬉しく思っておりましたが、お受けする事が出来ず申し訳ありません」


「よし、その()ってのも止めてみよう。

 自分はそんな大層な人間でもないし、いきなりそんな態度で接せられても意味分らないから。

 で、何で俺を守る必要が?」


「既に察しておられるでしょうが、敢えて言わさせていただきます。

 私は霊獣、朱雀と召喚契約を結んでおります。

 何か有ったとしてもお守りする事が出来ると思っています」


 ...察してるっていうか、バッチリ視えてますけどね。

 まぁ、それは良いとして...


「ごめん、聞き方が悪かったね。

 何故、()()()()()()()事が仕事なの?」


「......」


 言えない様な重大な事でも?

 余計に気になるじゃないか...


「それは私からお答えしてよろしいでしょうか?」


 北河原さんが入ってくる。

 こっちはこっちで聞きたい事有るんだよな...


「北河原さんも何故、いきなり態度が変わったの?

 朱さんとも知り合いなんだよね?」


「私の事は(はるか)とお呼び下さい」


...右耳朶がギュってされるから、止めてよ...ホラ...


「で、玄さんは何で?」


「聖様は今まで普通に生活されてきました...」


「まぁ、誰からも相手にされない平凡な人生だったけどね。

 家族意外で話せる人なんて少数だしね」


 ...自虐趣味は無いが、本当の事だから仕方ないよね。

 ...様は止めて欲しいけど、もう面倒臭い...


「それは、聖様のお父様が敢えてその境遇を秘匿されていたからです」


 ...父さん?父さんを知っているって事か?

 その境遇とやらが何なのか聞いてみる。


「江戸時代初期、時代の影に潜ったあらゆる異能の者達を束ねた最高実力者の名は聖主(ひじりつかさ)様。

 聖家の祖とされる方です。

 そして、その直系にあたり、現在唯一の末裔が(さとし)様となります。

 聖家を本家とし、それを守護する務めを担うのが分家の使命。

 そして私達がその分家筋の一端となります」


 ...自分の事を知らされていなかった、というよりも自分が知らなかった事に次第に腹が立ってきた。

 ...と同時に聞き逃せない言葉が出た。



 現在唯一?冗談じゃない...



『ここは落ち着いて聞きましょう』



 (さざなみ)立っていた心に一つの波紋ができ、打ち消し合うように穏やかになっていく...

 ティアさんの言うとおりだ...

 落ち着いて話を進めよう...


「俺に秘密とする理由は何だったか知っているの?」


 二人の顔が一瞬に曇る。

 今度は朱さんが言い辛そうに話し始めた。


「私達が伝え聞いていますのは、第32代頭首、賢様のお父様である(おさむ)様が星読みの儀を行い賢様をお調べした所、有り得ない事に何も分からなかった...と。

 その後、分家でもあらゆる儀式を行いましたが、やはり何も判明しませんでした。

 賢様の将来、器、人格、人の要素と成り得る全てが分からなかったのです。

 その結果から総代会で次期頭首とする事を保留としました。

 家督を継がない子息には家筋の事は伝えられず、死ぬまでその事を知る事はないと聞かされております」


『あまりお気に召しませんように。

 聖さんの正体は人が扱うような術で暴ける程、細小では有りませんわ。

 それだけの事だったのです』


 ...混乱、極まれり...映画の世界だよ...


「知っちゃいけない事を今日知った事になるんだけど、大丈夫なの?」


 今度は玄さんが繋ぐ。

 この二人、いいコンビだな。


「過去の総代会で決められた事なのですが。

 約半年程前の緊急分家会で撤回され、賢様には成人となられた時にご説明をし、本家を継承して頂く事になったと聞いております」


 ピキッ...ピキッ...ピキピキ‼

 結界がヒビ割れるかの様な軋む音がする。


「それは?

 俺の家族が()()()()()()になったから?」


 怒気が膨れる。

 自分では抑えられそうにない。

 他人にもう俺の家族は居ないものとされた衝撃に耐えられそうにない。


「えっ?...えっ?...」


 二人は訳も分らないという様子で、結界を見回す。


『聖さん、街を一つ失くすおつもりですか?

 今のお力でも、相当な範囲で更地になってしまいますわよ』


 耳の穴に息を吹きかけながら、囁いてくれる...



 色々な意味でヤバかった...



 でも不思議と落ち着いていく...


「俺はそんなのに従う気は無いよ。

 大体の事は分かったし、話は終わりだ。

 それにもう守ってもらわなくても良い。

 これからは、皆さん自由に生きてください。

 俺もそうするんで」


 席から立ち上がる。

 と、同時に...


 パキャッ‼


 人払いの結界が壊れ、粒子状となり消えていく。

 ...神力の制御は出来るようになったつもりだったけど精神を安定させなきゃなぁ。

 ...因みに今回は結界のみ壊すように制御してるから。


「「お待ちください‼

  まだ話の続きがあります‼」」


 立ち塞がろうとするが、遮られる前にスッとその横を通り抜け、出ていこうとする。


『余りに必死なんですもの、もう少しお話を聞いてあげるのも悪くはないと思いますが?

 それに彼女達はただ分家の指示に従っていただけで仕方ないのではありませんか?』


 ...ティアさんが言うなら仕方がないか...


 戻る通路は二人して塞いでいる格好となっていたので、転移で元いた席に戻る。

 ついでに一度見せてもらった人払いの結界も張り直す。


「分かりました。

 俺から聞き始めた事だし、最後まで聞きますよ」


 元々座っていた椅子に座りながら声を掛ける。

 彼女達はこちらに振り返り、言葉も出ない様子だ。

 笑顔を意識して、手を広げ彼女達が座っていた椅子を示し、座るよう促す。


『聖さんも意地悪ですねぇ』


(ティアさんが止めなかったら、出ていってたんですから、これ位は普通ですよ)


『時折見せる漢の部分に惹かれますわ。

 多分、あの娘達もその内に...』


 ...恥ずかしくなる様な事は言わないで下さい。

 変な予言もしないで下さい...


「「あ?あ?...すみません」」


 シンクロして謝り、座り直す。

 状況が把握はできていないものの、騒ぎ立てる様子もない。

 やはり、それなりの場慣れはしているようだ。


 座った所で続きを促す。


 玄さんが話を再開する。

「賢様のお気持ちを察していながらお言葉が足りず申し訳ありませんでした。

 その事故の折、我ら一族も全力で捜索を致しました。

 あらゆる事態も想定し、捜索範囲は日本全土としましたが、約半年間かけてもその痕跡を捉える事さえ出来ませんでした」


朱さんも話し出す。


「如何なる存在も我らの力を持ってすればその痕跡を消す事など不可能と自負しておりましたが、結果的に追う事さえ出来なかったのです。

 当時の分家衆も相当に混乱し、有り得ない筈の事態に戸惑うばかりでした」


玄さんが継いで話し出す。


「そこで思い出されたのです。

 過去にあり得ない事が起こった事を。

 それは賢さんの星読みの件でした。

 本家が行う儀で器が判明しないなど無かった分けでして。

 捜索を始め何の手掛かりも得られない中、行われた分家会で推測を元とした仮定が出されました...

 異能を持つ我々でさえも認識もできない超常が存在するのではないか...と」


玄さんが一息付くと、朱さんが話し出す。


「分家会でそう仮定され、ご家族の跡を追えないのもその様な力が関係しているのではないかと推測されました。

 もし、そうであったら我々の誤判断で生誕当初から賢様の将来を捻じ曲げてしまったのではないかと各々方が至極悩まれました。

 自分達が理解出来ないからと、本来身に付ける筈だったかもしれない異能を奪ってしまったかもしれないと悩まれました」


 ...この二人の凄いシンクロを突っ込むべきか?

 名字が違うけど実は双子とかそういうオチはないか?


 ...と思っていると玄さんが話し出す。

「その流れから最初にお話した撤回へと結論が向かいました。

 当然、今でも各々方は罪の意識をお持ちとなっております。

 ご説明は成人してからとなっておりますが、例外条項がございまして。

 もし成人する前に力の片鱗が確認された時は速やかに事情を説明・謝罪し頭首となって頂く事。

 それで賢様への忠誠の証を立て、当時総代会で分家意見として間違った意見をした統様への禊としたい、とそこで朱...」


 おっ、今度はパスで繋いだ...


「昨日の夕方までは正直に申しますと、十中八九はご説明は成人になるかと思っておりました。

 が、夜の公園にて急変致しました。

 ()()()()()()()()()()で別人の様に気配が変わり、その瞬間に私の隠形術が何も無いかの如く破られました。

 隠密が原則であった為、その場から離れた次第です...」


「朱さんとは分からなかったけどね」


「それからすぐに、私が朱より連絡を受け、他の守護者へ連絡を回しました。

 我々二人に対し出された指示は本日の状況を見守り、間違いなければ即座にご説明と謝罪をと」


「で、今日はどんな報告を?」

 朱さんの方を見て問いかける。


「まずは今朝方唐突に気配が消えたのを確認しまして、気配を追った所ご実家へと移って居られました。

 しばらくご実家で留まっておられましたので向かおうとすると、突如ご自宅に気配が移りました」


 ...今度から転移も気を付けないとね...


「これは異常事態だと、玄さんに連絡をし、距離を取って見守らせて頂いてましたが、駅でまた不思議な事が。

 改札を出た所で傷害事件が発生していたのですが、聖様の位置を見失ったと思ったら全てが()()()()()()()かの様になっておりました」


 ...ティアさんとその魔法は知覚外だったんだね...


「そして、アルバイト中ではありますが、確かに()()()()()()()()()()が聖様から発せられておりました。

 何でしょう、畏怖を感じつつも温かく感じる力でした」


 ...神力は感じるけど正体は分らないって感じかな?

 でも感じとれるんだから大したものだ...

 朱雀共々驚いてたな。

 多分、朱雀の方は俺の事は分かってる筈だ...

 朱雀を見ると、眼を閉じながらも少し笑ってる気もする...


 鳥類も笑えるんだな...


「昼休憩の最中にその様な事が有ったと玄さんに報告した所、アルバイト終了後にここでご説明をするという話になり、聖様をお誘いしたのですが。

 ここをご指定され何というか...驚きました...」


 ...ごめん、それは偶然だ...


「えっ?そうなの?

 てっきり、あなたが誘ったと思ってたわ」


 ...玄さんや...


「俺ってばここの常連デスヨネ?」

「はっ、いつもご利用頂き有難うございます‼」


 丁寧にお辞儀をしてくれるが、その横で玄武も眼を閉じながら笑ってるようだ...


 爬虫類も笑えるらしい...


「ここのコーヒーはお気に入りだから。

 え〜っと...これからどうするの?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ