第49話 気に食わない...
いつもお読み下さりありがとうございます。
自分のスマホで最初の方のを見てみると、何と読みにくい...
今回、文毎に一文字入れてみました。
読みやすかったら、以前の投稿も変えていきます。
内容は変えないつもりでいます。
では、今回もサトシワールド?をお楽しみ下さい。
「どんだけやねんっ‼‼」
近くの娘から駆け寄ってくる。
否、捕まえようとしてくる。
何故なら、両手を広げて迫ってくるからだ...
狂喜乱舞だ...
でも、慌てないよ?
転移‼
直上100m程、程良く全体を見通せる高さ。
いや、気張って転移したけど、全然慌ててないよ?
ちょっと怖かっただけ。
女性経験ナッシングなんだから...
飛び道具も魔法も使わないみたいなので余裕で見渡せる。
どう?皆の様子は?
前方の聖姫、小夜姫、美那、オウナさん、後方の峰姫も解除に成功してる。
つまりは、あの数瞬で俺の存在が全軍に伝播したようだ。
俺の居た所に集まり始めてる。
恐るべし‼アマゾネス‼
流石国王は動いてない様だ。
いや?驚いて固まっているのか?
一人、ポツンと佇んでいる...
『(ネェ、ネェ、サリナさんの所に行く前に一つ聞きたいんだけど?
沢山の女性にゾンビの様に襲われるのってどんな気持ち?
ネェ?ネェ?
沢山の女性に好き好きビーム発射されるのってどんな気持ち?
ネェ?ネェ?)』
...エイレーネ様が壊れた?
『(壊れてないけど?ネェ?どんな気持ち?)』
.........。
『えっと...男にされるよりかは幾分マシかと...』
『(今だから聞くけど、冥界の管理者や悪魔と連れ添うってドンナ気持ち?)』
............。
「いえ、斬姫の場合は男だったかと...
美那は何故か親近感が湧いて...」
振り絞った答えが何とも貧弱だった...
『(高次元体には性別なんて関係無いのよ?
気に入るか気に入らないかの二つだけ。
もう、龍神に関しては諦めてるけど、冥界や悪魔に手を広げると大変よ?)』
「いえ、手を広げたくて仲間になった訳ではなく...」
『(仲間にする事が問題なのよ?
後で私が責められるかも...
大体、私にだって友達と呼べる仲良しは少ないのに...)』
「えっ?そうなんですか?天使や神様って皆仲良しじゃないんですか?」
『(その辺りは人間と一緒よ...
例え嫌いであっても神様同士の喧嘩は世界に影響が出るから抑えてるだけ...
私の場合はお母様があの立場だからまだ若いのに治神なんてしてるわけよ...分かります?この苦労。
だから私の力なんてたかが知れてます。
ここまで関わったんだから、アフターフォローもお願いできますか?)』
「それなりの事は考えてますので、後は気に入って頂けるかどうかですね」
『(ホント、情けない話ですが、今ではもうヒジリさんだけが頼みなんです。
よろしくお願いしますね...)』
なんだかんだでエイレーネ様も苦労してるだなぁ。
出来る限りの事はしてあげたい。
さてと...では。転移して彼女の横に立つ。
彼女は俺が横に立っているのにも気付かず、石化が解けた人達の方を嬉しそうに見詰めている。
「取り敢えずは最後の防衛戦、人的には無傷ですかね?」
俺がそうやって声を掛けると...
やっと俺が横に居る事に気付いたみたいだ。
嬉しそうな顔で俺の顔を見たかと思うと...
彼女の目から涙が溢れ、頬を伝う。
どんどん、どんどん、どんどん?
未だかつてない涙の量を目撃した‼
これはあれか?滝の様だと言えば良いのか?
でも、顔は笑顔だ...
...不意を突かれた。抱きつかれた。
女性の涙には弱いのだ...
服越しに伝わってくる双丘が心臓に悪い...
「駄目ですよ?闘国国王が涙を見せては」
彼女は尚も嗚咽を漏らしながら泣いている。
うん、今はそっとしておこう。
どこの国もそうだったんだろうけど、一年余り大変だっただろう。
死を覚悟の緊張感の中で、国の事を考えながら、生き抜いてきたんだ。
いくら武闘派民族のアマゾネスだって、その緊張が緩む時だってあるさ。
「わ...」
「わ?」
「我等が神アレスが...
私は見た。
神の奇跡だ...」
未だ胸に顔を埋めながら、呟いている。
「...」
エイレーネ様?何故、他の神の信者が?
『(...その昔ね。
人族の系列が少なくて困ってたの。
それで母様に相談したら、アレスさんが増やしてくれたの。
ほら、やっぱり礼には礼で返さないといけないじゃない?
ちょっと、変な神様だけど...返すべき恩は返さなくては。
で、アマゾネスには、それはもう手厚く加護を。
そしたら、個体の強さの割りには増え過ぎちゃった...
テヘペロ‼)』
...だよね。
女の子しか生まれないのに、こんな人数になるわけないよね...
待てよ?
最近、減ったって三王女が言ってなかった?
減って、この人口なんだ...
「皆の者‼よく聞け‼」
凄い大音量の声だ。
肺活量と腹筋が凄まじいな。
軍の隅々まで静まり返る。
「我らは一度死んだ‼
石と化したのだ‼
では、何故こうして生を喜び合える?
皆で抱きしめ合える?
...
私は見た‼一瞬だ‼一瞬で皆が生き返った‼
神の成せる業だ‼
そう‼
我等が神‼
アレス様がご降臨された‼
見よ‼」
...俺か?
いやいやいやいや...この国王様は何故こうもぶっ飛ぶ?
神様な訳ないじゃん...
「彼の後に何が見える?
そう‼
そのお姿こそ神アレス‼」
ソッコー振り返る‼
...何も見えない。
あれか?裸の王様的な何かか?
「まだ、夜は明けてない‼」
ん?確かに?
夜明け迄には時間が有るだろう...
「今宵は生ある今を喜び‼
ヒャッハーしようではないか‼」
「「「「「「「「「「
ヒャッハ〜〜〜〜〜〜‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼
」」」」」」」」」」
即座に転移した...
あの国王は危なすぎる...
あの国民性は危な過ぎる...
で...
「(捜索隊の皆〜、聞こえますか〜?
石になってる人見つけた〜?)」
「「「「(
うわっ‼ビックリした‼
その声はサトシ様ですね?
今の所、石化したり壊れた家も有りません
)」」」」
『『『『こちらも(モ)‼』』』』
「(おかしいなぁ...
最低でも子どもは居る筈なんだけど...)」
再びサリナ国王の元に転移する。
「おわっ、やはり神アレス‼」
「その話よりも、もっと大切なお話が...
子ども達や老人の方々は何処かに隠れさせているのですか?」
「っ‼、浮かれてました‼
我が家に広い地下室があって、そこに隠れています。
ここからも見えるあの家の地下です」
...マズイ。
『(皆、俺はこれから国王の家に転移する‼
そこに、子どもや老人を集めていたらしい‼
)』
俺は素早く国王の手を取り、彼女が指差した家へと転移する。
彼女は転移に驚きながらも、地下への道を案内してくれる。
「この床の隠し扉から地下へと行ける様になっています」
そう言って、国王は石床のブロックの一つに掌底突きする。
直後、その横辺りが白く輝き、地下への入口が現れた。
「この先です」
この先には、生物の気配が感じられない...
ただの石化であって欲しい...
階段を降りて石のブロックで造られた地下道を進んでいく。
目の前に木製扉が。
何ともない。無事だ。
でも、おかしい。気配が一切感じられない。
国王がゆっくりと扉を開ける。
国王もこの静けさはおかしいと思っている様だ。
物凄く広い地下室だ。
だが、その広い部屋の何処にも、隅の方にも...誰も居ない。
見れば、壁の一部に大きな穴が空いている。
あそこから連れて行かれたのか、大勢を連れて行くには十分な穴の大きさだ。
部屋の床を見渡す...血痕は無い。
...まだ間に合うかもしれない‼
国王が崩れ落ちる...
「ここに居たのは何人位?」
「子どもが200名程、長老達が50名強程...」
『斬姫‼峰姫‼』
彼女等の気配を捉え、ここに転移させる。
『峰姫、この穴の先がどうなってるか分かる?
斬姫、敵に覚えは?』
『ハイ、マイ・サトシ様。
敵は恐らくこちらで調達した魔物、地中棲息型のアント属、スネーク属、スパイダー属かと思われます』
『サトシ、この穴、長い、多分、集結地迄』
『追うよ‼』
「待って‼
私も連れて行ってくれませんかっ‼
このままでは部下達に会わせる顔が無い‼」
『分かった。でも無理はしないで。
あなたはこれからも国王なのだから
行こう‼』
洞窟へ向けて走り出す。
当然、サリナ国王のペースに合わせる様にして...
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
速いっ‼
我軍の戦意高揚が目的で、彼を神アレスの化身として神輿に乗せたが...
なんだ⁉この速さは⁉
確かに彼は人の領域ではない。
何百人も石化していた部下達を一瞬にして戻してしまうのだから。
亜人族でもハイエルフのみが可能とする瞬間移動を、ああも容易く使用して見せたのだから。
しかし、それは魔術的な高みに立っているという事の証明だけに過ぎない。
そういう者は大概が身体、体力面では弱い。
というか、強い奴を見た事が無い。
しかし、私の前を走っているヒジリと名乗ったこの男はどうだ?
私が走り出して苦しくなった時、脇腹が痛くなった時、確かに速度は落ちた。
なのに、着かず離れずで後ろも見ずに走っている。
私の気配を感じながら、同時に私の状態を感じとって合わせて走っているとでも言うのか?
既に大量の汗をかき、革で作った防具も汗を吸って重たくなっている。
この速さを?
彼は汗もかかずにこの距離をずっと?
アマゾネスという部族は実力主義で成り立っている。
つまり、国王の私が最強だ。私が頂点だ。
私程に強い生物はそうはいない。
...そう思っていた。
彼は何者だ?まさか本当に神の化身なのか?
...いかん、もう...
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『マイ・サトシ様、どうなされますか?
あの人族の限界が近い様ですが?』
「そうみたいだね...
根性だけで走ってるよね...
でもこの速さなら仕方無いか...
まだ追い付きそうにないし、スピードも上げたいからね
担いでいくよ」
『優し過ぎる、足手まとい、放置』
峰姫は置いていけと言うが...
「いやいや、駄目でしょ。
だって国王だよ?
で、多分アマゾネスの中では一番強いよ?
今後の事も考えると置き去りには出来ないよ」
『私、疲れた、彼女、私、抱く、サトシ、私、抱く』
...えっ?
『もう一度言う?』
「...分かりました」
『私、軽い』
峰姫は国王の後に周り込み、お姫様抱っこする。
そして、俺の前にまた周り込む。
...元気じゃん。
峰姫、元気じゃん...
走りながら前後行ったり来たりできるじゃん‼
でも...言えない...
ナニコレ、人生初のお姫様抱っこが二人分⁉
二人を抱き上げながら速度を上げる。
隣をふと見ると、斬姫が憐れみの眼差しを向けている...
仕方無いじゃん‼
国王と幼子姿だよ⁉幼子は龍神様だけど‼
言う事聞くしかないじゃん‼
前見えなくなってるけど仕方無いじゃん、‼
更に上げる。
まだ、斬姫はついてこれる様だ。
更に更に上げてみる。
僅かではあるが差ができ始めた。
なるほど、斬姫の限界はこれ位か...
やっぱりザンキのキは鬼の方で合ってたんじゃないか?
走るペースをその速さに合わせる。
『マイ・サトシ様?
あなたはやはり素晴らしい。
私が仕えるにはおこがましい程のお人です。
ですが...
私が疲れたら如何したらよろしいでしょうか...』
「...え〜、斬姫は武闘派じゃん‼
まだまだいけるって‼」
『どういう根拠が有ってまだ行けるのか判りません...
速さは限界です。
どうか、これ以上はご勘弁下さい。
後どれ位走れば追い付くのか見当が付かないので...
不本意ながら、かなり危険水域です...』
ちょっと、速かったかなぁ?
まだ、炎の轍もできてないんだけど...
「そんな事言ってもさぁ...
俺も転移したいんだけど、地下ってやりにくいんだよね。
と、言う訳で走ろう‼
連れ去るって事は、俺への人質に使えるとでも思ってるんじゃないかな?
だとしたら、後一時間も、走れば追い付くよ‼」
と、話していたら前方に人の気配。
長老と子ども、合わせて50人程。
...ヤラれた。
クソッ、そういう事か‼
しばらく走り続けると泣き声が聞こえてくる。
そう、そうなんだ。
これは俺の足止め。
少し冷静に考えれば分かる事だった...
バラムを甘く見過ぎた...
徐々に速度を落とし、泣いている子ども達とその子達を抱きしめている長老達を見つめながら自分の甘さを恨む。
峰姫は自分を指差しながら...
『大丈夫、眷属、呼ぶ』
今度は俺を指差しながら...
『サトシ、仲間、一杯』
感動した‼涙が出そうだ‼
そうだった...俺には仲間がいたんだ。
「ありがとう、峰姫...」
俺はアマゾネス達に向かって、普通なら出来ない事を言ってみる。
『今から、召喚された龍が出てきますが、危険はないです。
背中に乗って来た道を戻って貰います』
神威を乗せた言葉にはきっと不思議な力を宿してくれている筈。
多少怖がりでも乗って帰ってくれるだろう...多分。
そう言いつつ峰姫の頭を撫でる。
いや、丁度良い高さだからね?
「ん、召喚」
『『『『『『
ニャア〜〜〜‼
』』』』』』
...えっ⁉ニャア⁉
ナ、ナンデストッ⁉
まさかのネコ?
いやいやいやいや、龍じゃないの⁉
確かに人を乗せる位の大きさ位はあるけれど...
確かにシッポが二股なんだけども...
確かに今にも喋りだしそうなんだけども...
それにしても...
...か、可愛すぎるっ‼
『私、大地、守護神、猫又』
ヤ、ヤラレタ...
今は緊急事態だから駄目だけど...
後で触らせてもらおう‼
そんな他人が聞けば変態扱いされてしまう様な事を考えている間にも、ヒョイヒョイ甘噛みして背中に乗せている。
長老はおっかなびっくりだが、子ども達は泣き止んで、ペタペタ猫又の背中を撫でている。
見た目が猫なら、龍よりも全然大丈夫だ‼
非常に不謹慎だが、二回言おう...
後で触らせてもらう‼
と思ってたら、俺とのすれ違いざまに皆身体を寄せてくれる。
どうするかって?そりゃ当然撫でるでしょう‼
あぁ、癒やされる...
猫の毛並みは正義だ...
『でも猫又』
猫又であろうとも‼
猫には違いない‼
あれ?1匹余分に?
まさかの俺専用⁉
と思ったら、下ろしていた国王を乗せて言ってしまった...
...ですよね〜。
さて、また走りますか。
何気に正面で両腕を上げて待っている峰姫。
...仕方無い。また罠があったら猫又で。
峰姫を抱え上げて、再び走り出す。
一人分なので視界も良好だ。
さっきは一言も話せなかったが斬姫も若干は休めた様だ。
力強いストライドに戻っている。
しばらく走ると、今度も50人程。明らかに味方を減らす作戦だな。
留まるにしても見張り役、連れて帰るにしても護衛役が必要。
バラムはいやらしい。
それもかなりのいやらしさ‼
絶対、女性にはもてない‼
だって、戦う意志もない女性を罠に使ってるんだから‼
今度も峰姫の猫又で運んでもらう。
猫又も帰り際に、また身体を触らせてくれる。
癒やされた為にご主人に返すべく、峰姫の頭をナデナデする。
そして、また走り出す。そして、また見つかる。
そしてそして、走り出す。そしてそして見つかる。
いや、バラムもさぁ、もうちょっと諦めの良さを見せてくれないかな⁉
都合、5回、250人程国に返してあげる。
相手は身軽になって速くなってる筈だ。
でも、今のペースでも、十分追い付くだろう。
しばらく走ると、前方に待ち構えている魔物の気配を感じる。
いや、十名のアマゾネスもいる...
最後はやっぱり人質か...
『マイ・サトシ様、やはり残されていますね。
どの様に致しましょう?』
『気に食わない...
奴等が気に食わない...
戦術が気に食わない...
戦略も気に食わない...
思考も気に食わない...
何もかも気に食わない‼
手を出すな‼俺がやる‼』
久し振りに見ました。
サトシさんのブチギレモード。
次回が少し心配です...




