第46話 それが一番大事だよね
ここまでお読み下さり有難うございます。
今回は、気分転換にラブ&コメディ、コメディ、コメディを目指してみました。
楽しんで頂ければ、これ幸いです。
改稿1:なるべく読みやすく改稿してみました。
あくまでもなるべくです。
内容は変えておりません。(21年2月18日)
「いや、まぁ斬姫が良ければそれで良いんだ...
これからヨロシクね...」
折れた...何か突っかかる物を飲み込んだ⁉
武魔の方が良かったとか?
斬姫が実は斬鬼だったとか?
まさかの斜め上でも許せるタイプ?
私では真似出来ないわ〜...
「それと、死神様?」
うぉっ‼いきなり⁉
『ハイハイ、ナンデゴザイマショウ?』
心臓に悪いわっ‼...
死神がビックリするってどうよ?
「この鎖、有難うございました。
お返しします。死神様ならではの道具ですよね」
あなたはその死神専用の道具を器用に使ってたんだよ?
『いえいえ、そちらの鎖は差し上げます。
実はそれ、所有者を選ぶんですよ。
今の所は私も使えますがね?』
あんだけ使いこなされちゃあねぇ...
「あの、今後のお仕事に差し支えは?」
『大丈夫ですよ。冥界に戻ればまた上から支給されるでしょうから』
元はと言えばヒジリさんに認可したのは上だろうし?
「ではその話は少し置いておいて...
そう言えば、アンデッドの件が終わったら名前を差し上げる
というお話でしたが」
あぁ、そんな話も有ったね...
冗談半分で忘れてたけど...ひょっとして?
『頂けるんですか?』
まさか死神に本当に名前をくれるとは思ってなかった...
貰えるとなると欲しくなるよな...
「はい、美那なんてどうかなと思いまして。
どうです?」
おい?
死神の私を見て選んだのか?
悪い物でも食べたのか?
『失礼ですが、由来をお聞きしても?』
「はい、昔の日本、私の育った土地ですが。
ご存知でしょうが、その日本を作ったとされる夫婦二柱の神の片方に伊邪那美という女神様がおります」
おいおい?
「不幸にも子供を出産した時に亡くなられて、黄泉の国へと。
そして、黄泉の国まで迎えに来た夫とすったもんだが有って、結局は夫と地上に帰れず、そのまま黄泉の国に残ってしまった、という話が有りまして」
おいおいおい?
「確か、その黄泉の国を治めていたのも龍神様と記憶しております。
伊邪那美様も死神様と同様にその龍神様と仲が良かったと記憶してます。
それは今の小夜姫と貴女の関係と似ているなぁって」
まさかの?
「でも貴女が伊邪那美様であっても、そうではなくても同じ名前で呼ぶというのは非常に不味いと思って。
で、反対から読んで女性らしい名前をという事で」
これは、また...
何...惚れてまうやろ?ねぇ?そんなパターン?
実は私、口説かれてる?
いや、ここは冷静に‼
今では私も冥府の治神だし‼
位は黒龍の方が高いけど...
『参りました。
非常に興味のある部分がすったもんだでまとめてしまわれるのはどうかと思いますが。
傍からから見れば確かに、すったもんだ、だったんでしょうね。
その夫婦にとっては、お互いに永遠の怨嗟となる出来事だったかと思われますが。
それにしても良い名を頂き有難うございます』
腰を折って例をする。顔が見えなくなった所で...
顔が...ニヤける。
すかしちゃったけど、久々に会心の喜びよ‼
良い名どころではないわよ‼最高よ⁉
あの言い方...
私の事は分かってるんだけど、ど真ん中に投げるのは危険だし、ちょっと外角を狙ってみた体で、でも俺は分かってるからね、ってアピール?
フルネームでは堅苦しいから、ちょっと気を引こうかな?って感じでニックネームにしてみたって感じ?
あぁ、日本人って良いわね?
婉曲っていうか、遠回し的な?
ねぇ?独占しちゃっていい?
...でもそれは不味いか。
ここには黒龍も居るし...龍神族が陣取っている。
パワーバランス的には優先権は取れないわね。
仲間、喚んじゃう?
でもな〜、それで他の冥界神と仲良くされても困るしなぁ...
気付いたら、鎖が腕に巻き付いて引き寄せられて...
距離が近くなってる...
えっ?色々考えてて引っ張られるまで気付かなかった?
驚いて彼の顔を見つめてしまう...
っていうか、近い近いっ‼
そんなに見つめられると言葉が出ない...
いやいや、私はそんなキャラじゃなかったでしょう‼
「この罪過縛鎖?も美那と別れたくないって言ってるっぽいですよ?」
思わず俯いてしまう。
顔がヤバい。火照ってる感じする‼
私の顔には血の気が無いのよ?
いや、元々身体の何処にも血が無いし...
腐臭には気を付けてるけど臭ってないかしら?
そもそも、この鎖に意思なんて無いし‼
っていうか彼が使ったら、そうなるの?
いやいや、私を落とそうとしてるに違いない‼
何?その口説き文句⁉ちょっと強引過ぎない?
彼...ジゴロ神?私...チョロ神?
え〜、昔、物凄い呪いの言葉を吐きまくった私がチョロ神?
神話の時代の兄に続き...背徳感も有るよ?
縁切れしたとは言え、元神妻だし?
それに彼は...
それにそれに私、今では黄泉の国を治めてるし...
顔だって見られると不味い...
旦那に逃げられてるし。
ここは、急いで黄泉の国に戻る?
え?私がキョドってる?
『もう良いじゃろ。良い加減、素直になれ...
こっちが恥ずかしくて見てられんわ。
先程からウキウキワクワクしてるのが丸分かりじゃ。
妾からあ奴には言っといてやるから。
「主様専属の死神様として使ってやれ」とな。
どうせ、あ奴も主様の鎖の件で絡んでおるじゃろ?
聞いとるかのう?まぁ、そういう訳じゃ‼』
黒龍、やっぱり貴方は創世チョイ後以来の良き理解者...
そして、この方もこれから理解者となってくれるの?
「美那に俺の死期を教えて貰ったらその時まで精一杯足掻きますよ?」
笑顔で両手を伸ばしてくる。
鎖はまだ繋がったまま。
死神上等のにくい言葉。
別れたくない発言からのそれ⁉
あぁ、一緒に足掻きたいっ‼
そして、掴むの‼二人の未来を‼
大丈夫‼あなたに死期は見えない‼
少なくとも今の私にはっ‼
たとえ死期が近付いたとしてもあなたの魂は私が護る‼
ん?ちょっと待って?それは禁忌よね?
惚れた弱み?
なら仕方無いっ‼そう、これは仕方無い事なのよ‼
私の頭の中で妄想が右往左往している間に、
私の顔を隠しているフード、その両端に彼の手が掛かる。
あの...フード捲っちゃったら顔出ちゃうんですけど...
夫も逃げ出す様なおぞましい顔なんですけど...
でもこの方は受け入れてくれる気がするな。
あれ?私の身体が光ってる?
光が強すぎてまともに目が開けられない‼
どうなったの、私⁉
眩しくてよく見えない中、何とか状況を知りたくて半眼で目を凝らしてみる。
?ドス黒かった私の手の甲に血の気が指してる様な気が...
次の瞬間...
ふぁさっ...フードを捲られる。
あぁ、これで駄目なら私は二度と立ち直れない...
彼の反応を見たくないから、また目を閉じてしまう。
だって、言ってみれば死人の顔だよ?
親類でもない死人の顔なんて忌避感しかないでしょう...
彼に優しくトントンッと肩を叩かれ、次に掛けられた言葉。
「美那、見てごらん?」
恐る恐る目を開けると、目の前には彼が造った綺麗な大きな水鏡。
あぁ、八咫鏡に似せたの?
本当に器用な人ね...
そしてそこに映るのは...
黄泉の国に行ってしまう前の...私の顔っ⁉
「美那って日本の可愛い神様だったんだね」
あぁ、涙が出る。
彼は私に名前をくれてからずっと名前を呼んでくれてる。
かつての愛憎も溶け消えてしまう...
何千年も昔に戻った様...日本を創ったあの頃に。
『ええ、大昔でしたが確かにそうでした』
死神の黒いローブの下、その下は白い大和和装だった。
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『あ〜あ、やっぱり持ってかれちゃった...
冥界、黄泉の国域担当二柱が、簡単に...
黒龍の奴も何が『まぁ、そう言う訳じゃ‼』よっ‼
格好つけちゃって‼勝手に一抜けしてる癖に‼
...しかし、思うかねぇ?
龍神や死神と友達になりたいとか、仲良くなりたいって...』
『あの人の人柄でしょう。
案外、人と仲良くなりたくてもできなかったという過去が尾を引いているやもしれませんが...
それにしても...
流石に世界階位が違い過ぎますから、あのお二方でも冥界との偏在は無理ですよね...
見事に冥界の治神、二柱抜けてしまいましたね...
その分、お館様には頑張って頂かないと...』
『あの二人はもうっ‼
貸した分は近い将来返してもらうわよ‼』
『先に言っておきますけど、お館様は駄目ですよ?』
『分かってるわよ‼
分かってるんだけど...
やっぱり良いなぁ...人手不足って事であの子呼んじゃう?
もれなく、龍神族と神族、悪魔族もセットよ?』
『それも有りかと思いますが、神界、精霊界のやっかみは避けられないでしょうね。
冥界の秩序が著しく乱れるのでは?』
『ったく、喚ぶ為に色んな調整しなきゃならないこっちの身にもなってよ...』
『喚ぶのは決まりなのですね...』
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「美那は友達になってくれる?
一緒に旅、出来るかな?仕事忙しい?」
我ながら大それた事をと思うが死神様が友達になってくれると大変心強い。
なんたって死を司ってるんだから。
最強だよね‼
『友達だなんて、そんな...旦那様‼もちろん行きます‼』
...へっ?聞き間違いか?
最初の出だしでやっぱり友達拒否か?からの、まさかの夫婦確定発言?
『『『『『
待て。それはぶっ跳び過ぎっ(ッ)‼
』』』』』
やっぱり皆にもそう聞こえたよね?
聞き間違いじゃなかったんだ...
『なら...貴方...なんてどう?』
いやいや、えっ?そんな恥じらい混じりで?
人差し指で俺の胸を撫でながら?
死神様...だよね?死神様って誘惑するの?
今は普通の神様みたいに見えるけど...
これはハードルが高いわ〜...富士山位高いわ〜。
下くぐった方が早いじゃん‼
大体、今まで誰とも交際出来なかったんだし、友達でさえ碌に出来なかったのに...
『ここは譲るしかないのう...
喚んだ時はドライで終わると思ったんじゃが...』
小夜姫...譲るとは?
俺には理解できない人智を超えた高度な取引なのか?
『甘いよ、黒龍‼サトシだゾ?』
『サトシ様なら仕方有りません』
『ライバル増えたわね』
『この調子だとまだまだ増えそうですわね』
『マイロードは既にキングオブゴッドだったのですね』
「いや、斬姫さん?キングもゴッドも違うからね?
もう誰に突っ込んで良いのやら...
それと、いつの間にか結婚してるとかナシだよ‼」
付き合ってもないのに結婚はないだろう...
『キングオブゴッド、強ち間違いではないです。
実は人間にはこの鎖は使えないんです。
持てば、必ず縛り付かれ引き絞られるの。罪を裁かれます。
死神の大鎌と並んで死刑執行の道具。
裁かれないのは罪の無い赤子位でしょう。
権限を持たなければ神族にだって扱えない。
だって、時には神族にも執行しなくてはならないから。
この場で扱えるのは黒龍と私と貴方だけ。
尚且つ悪魔という悪の根源を縛り、その強さをコントロール出来るのは貴方だけ。
つまりは内縁という事で』
最後だけ意味分からないんですが?
「あぁ、それで小夜姫のさっきの言葉ね。
誰に話してるの?と思ってたんだ。
冥界の神様にも応援してもらってるんだね。
ホント、色んな神様達に応援してもらってるなぁ...
恩を返しきれるかな?
あぁ、それと、内縁でもないと思いますよ」
訂正する所は訂正しておこう...
言質を取られても困るし...
『(お〜い‼私の存在を忘れてませんか〜?
今はサトシさんの中に居ますのよ〜‼
...ねえ?酷くない?
サトシさんの行動自体が恩を返す事になるのよ。
恩とかどうとかは気にせず、サトシさんの思う様に行動するのが一番よ。
それと、死神が情を持つのはどうかと思いますよ?
まともにお仕事出来ませんよ?)』
『私もそう思います。
貴方と二人だけで旅を、というのは無理なので諦めますが。
ここに居る皆と進めば良い未来しか見えませんね。
それと、もうここに居るのはただの死神ではないんで。
国産みの頃の私で、もう夫と呼べる人は居ませんから。
第三の神生の始まりです』
二人共誰に話してるのか分からないよ...
あっ、罪過縛鎖を切った...
『罪過縛鎖をペアルックにするのも初めてです』
えっ?ペアルック?
スルスルと今は白ローブとなっている上着に鎖がコーディネートされていく。
お互いのローブの両袖、下端とフードの端に鎖で縁取り。
右肩から左胸にかけて垂れ下がる様に白一色の色合いにアクセントを付けている。
お?おお‼美那さんとは服のセンスが合いそうだ‼
垂れた鎖を触りながら、
「おぉ、凄く格好良いよ‼この辺とか特に良いよね‼」
『(私が抜けたら、コートに変わっちゃいますけどね‼)』
『でしょう‼機能とファッションを兼ね備えた貴方ならではのオーダーメイドです。
あら、その時はまたお直ししますからご安心を』
『『『『『『
私(妾)達も交ぜて欲しい(イ)...
』』』』』』
「「「「「
あの?展開が早過ぎて、理解が追いつきません...
明日の事とかどうなるんでしょう?
もう夜も遅いですから、お夜食を食べながらでもお話できないでしょうか?
」」」」」
「...そうだね。それが一番大事だよね...」
サトシさんがとうとう、悪魔(堕天)に続き黄泉の大物をゲットした様です。
向かう所敵無しの様にも思えますが、敵はどうしてくるでしょう...気になる所です。




