第41話 それはもう優しく
いつもお読み下さり有難うございます。
GOTOも停止となり、拡散防止に舵を切られ様々な業界で注目の年末年始となってしまいました。
読んで頂ける方には少しでも元気になって欲しいなと思い、更新をマメにしたく。
私も頑張ります。
改稿1:なるべく読みやすく改稿してみました。
あくまでもなるべくです。
内容は変えておりません。(21年2月18日)
「お疲れ様。これで一段落ついたよ」
途端に四方から張り裂けんばかりの大咆哮が轟く。
咆哮しながらも俺の周りに集まってきて、地面に着地。
俺に向かって頭を垂れ始める。漣が打つ様に静寂が広がる。
『皆、姫達の眷属でしょ?だったら俺とは友達だよ。
これからも宜しくね』
再び拡がる大咆哮。
近くの龍から俺に近付こうとダッシュを始める。
そこへ、スッと五姫が割り込む。
『コラ、調子に乗るナ‼
お前等をこれだけ呼べるのもサトシのお陰なんだゾ‼伏セ‼』
焔姫...龍に伏せは無いだろうに...
『妾は、主様の周りに冥府出張所でも作ろうかの?
主様は忌避感も持ってない様じゃし』
小夜姫、我慢してるんだよ?忌避感?普通に怖いよ...
出張所なんて作られた日には泣くよ?
『いやいや、今回偶々、本当に偶々獄炎だっただけで、普段は聖光を放っているんだから‼
この子達の居る天界こそ出張所にすべきだわ‼』
聖姫は平常運転だな。意味が分からない。
『あら?生き物は水無しでは生きていけませんのよ?
賢様は私に縁の有る世界の全てで水神を担当なさるのよ?』
涼姫?無茶な話はしない様に。
しかし、どういう流れなんだ?
『水龍、それは未だ前例が有りません。
というか、規模的にも無理でしょう。
現実的には龍神の王では?名付けて龍神皇‼』
『『『『...それいい(イ)‼』』』』
氷姫?そんなの全然現実じゃないです...
皆は乗っからない様に...
皆の姦しさが嬉しいな。
無理して盛り上げてくれてる所もあるし。
皆...感謝...
「皆にそう言って貰えて嬉しいよ。
でも、死ぬ迄は人間でも良いかなぁって思うんだけど...」
『『『『『
うん?もうまともに死ねないよ(ヨ)?
』』』』』
「えっ、マジで⁉」
聞き様によっては不穏過ぎるんですけど?
『サトシ様、寿命を除いて、この世界での所業を考えれば魂は不滅の状態となっておりますよ』
「そうなんだ...」
『妾が喚んだ死神も主様の死期には喜んで来るじゃろうが、結局、審判を下すのは別の神じゃし。
裁くかどうかも疑わしいの』
「それは問題では?」
『よくある事よ。
天界も冥界も神が少なくなれば困るもの。
結局は地上の生物と変わらないわ。
若干融通が利くだけ』
「融通?」
『私達は寿命が果て無く長いですわ。
ず〜っと、何千年、何万年も経てば幾ら神でもリフレッシュしたいと思うもの。
だから、若返りたいな〜って思ったら...』
『死んで若い体でリスタートするカ、サトシにしてもらった様に受肉するカ。
だから私はこんなに若いノ‼
ネッ、お兄ちゃン‼』
「いや、そこはお兄ちゃんじゃないと思うんダ...」
『さっ、落ちがついた所でサトシ様、次はどうします?』
やっぱり氷姫は冷静に仕切ってくれるな。
有り難い。
「先ずはジアンスロ神国に戻って、結界の張り直しかな。
聖姫に良い事教えて貰ったし」
良い終わる前に、バッと皆の顔が聖姫に向く。
皆、いつの間に?って顔だ。
『何よ?単に結界にもう一手間加えられるよって教えただけよ?
でも、ううん、やっぱり他の事も有ったし...
私が一歩リードね‼』
...何をリード?
「何を教えて貰ったかは行けば分かるよ」
と、その前に...
「眷属達ってどうするの?」
『主様、何と言えば良いのか。
普通はお仕事が終わればご苦労様って帰って貰うじゃろ?』
「まぁ、そうだよね」
『だけど、私達はほら、喚ばれたままになっておりますので。
この子達に帰って良いよ、と伝えて下されば帰りますわ』
「えっ?でもこの龍達、皆が喚んだよ?」
『主の主でもっと偉いんだナ‼サトシ‼』
『もう、戦いも無い事ですし、この子達は帰っても宜しいかと』
氷姫もそんなにそこ強調しなくても良いじゃない...
皆は戻さないからさ。後が怖い...
「分かったよ。んじゃ、俺から皆に。
今回は有難うね。
また大変な事が起こったら助けてね‼
有難う‼」
戦友の別れみたいで少し寂しいけど、また直ぐに会えるだろう。
なんたって、始まったばかりだからね。
死霊系のドラゴンって見た目怖いけど、意外と素直な良い子達ばかりだな。
俺を一撫でして会釈して帰って行く。
見た目は凄く怖いけど。
デロンデロンとかカラッカラとかユラユラ〜だとか。
でも、会釈して消えていくんだよ?
違和感半端ないって...
『それは妾の教育の賜物じゃな。
数では見劣りするが、強く、正しく、美しく、じゃな』
美しい死霊系とか?
まさしくホラー映画に登場するね...
一番数が少ないみたいだけど、最強だな。
頼もしい限り。
少なくとも俺が敵だったら恐怖する...
『サトシ?貴方はこちら側よ?
やっぱり輝いてる方が安心出来るでしょ?
ホラー苦手っぽいし』
綺麗な白龍達も俺に一撫でして会釈して消えていく。
龍ってもっと横柄で威張ってるイメージがあったけど全然違う。
世界の見方が変わる事ばかりだなぁ。
輝きが眩しすぎて、顔見れないよ...
『お立場を崩して、召喚獣に対しても皆平等。
そんな賢様だから皆も快く喚ばれて、快く帰って行けるのでしょう』
海での仕事が終わったのか物凄い数の水龍達が集まってきては帰って行く。
海の幸は大切だと彼らも思ってるんだろうな。
とっても不思議だが彼らからやり切った感を感じる。
海に残した半分位が合流して一万柱位?
うねる様は、荒海っぽくも見える。
『皆、満足してるネ‼
サトシに触ると良い事有ると思ってるナ‼
龍族召喚出来る奴も少ないシ、これだけ喚べるのも前代未聞だシ‼
皆、興奮してるヨ‼』
見れば、炎龍は気性がチャキチャキなのか大興奮して踊りまくっている。
焔姫もあんな感じだし、ムードメーカー的な?
盛り上げ役何だろうな...多分。
『サトシ...失礼な事考えただロ?...』
でも龍神様だから鋭いんだよな。
俺を中心に躍りながら輪になって、近付いては触って喜んで帰って行く。
何処かの村祭の再現とか?
ホント、不思議なんだよな。
身体は灼熱の色してるし、実際熱いんだろうけど、触られても全然平気。
ん?だから喜んでいるのか?
徐々に輪が小さくなり、やがては元気なのが居なくなる。
炎龍が居なくなったその先には整然と隊列を作っている氷龍が...
喚んだ人が硬いと皆硬くなるのか...
『サトシ様、最後になりましたが、今暫く我慢して頂き、皆にお慈悲を』
「皆の手前も有るだろうけど、氷姫はやっぱり硬いなぁ」
苦笑いをしながら隊列に近寄り、手前から順番に頭を撫でながら労ってあげる。
すると...堰を切ったように集まりだし、身体を擦り寄せては帰って行く。
『コラ、お前等‼近寄るのは良いとしても隊列を守らんか‼』
「まぁまぁ、良いじゃない。
皆、余り慣れてない海水の中で頑張ってたんだから。
本気出すと凍らしちゃうだろうしね」
流石、分かってらっしゃるとばかりに狂喜乱舞で近寄ってくる。
氷姫はきっと戦場で厳しかったんだろうなぁ...
これは、非常識の中の常識だと思うけど、
十重二十重とひしめき合いながら大量の龍が近寄ってきたら、普通の感性であれば生きた心地はしない...
ホラーは怖いから嫌だけどオカルトは大好きで、この光景を見ても怖いと感じないのだから、この光景はきっとオカルト分野なんだろうな。
最後の一匹が消えた所でやっぱり寂寥感に襲われる。
ふと空を見上げる。傾きつつある太陽。もう夕方近くか。
さっきまでは天地埋め尽くさんばかりの龍達が居てくれたんだよなぁ。寂寥感も増してくる。
まっ、仕方無いよね。龍の国でも無いんだし。
振り返ると、五姫が笑顔で迎えてくれる。
何も言わずに肩や背中、腕や胸などをトントンしてくれる。
...彼女達は龍神様、龍神様、龍神様...
ひたすら繰り返す羽目になった。
だってね、見た目は和装の美人なんだから...
「さて、ジアンスロ神国に向けて移動しますか」
「(オウナさん、聞こえます?)」
「(は、はい、聞こえます‼)」
「(これからその軍議室に向かいますね)」
「(わ、分かりました〜‼)」
念の為、一声掛けてから移動する。
事故を防ぐのは危険予知活動が重要だからね。
「一旦、ただいま〜」
「お、お帰りなさいませ。さぞお疲れになられましたよね。
ご飯になさいますか?お風呂になさいますか?そ、そ、そ、それとも...」
そんな定番を何処で?
「それとも」でそんなにどもらないで...
余計怪しくなっちゃうから。
「あ〜、お昼ご飯なら色々あって、刺し身を一杯食べたんだよ」
と、トリセイレ海国に入った所から、終戦迄の経緯を掻い摘んで説明する。
「オウナさんはお昼御飯になる様な物食べた?」
「いえ、刻々と変わる地図を注視するので精一杯でして...」
「そう思って、ドンッ‼」
俺の捌いた2cm角特選魚肉ロング棒を10本程取り出す。
次元収納は鮮度が落ちないのだ‼
軍卓の上に氷でお皿を作り、丁寧に並べていく。
「わあ、お魚さんの肉だぁ、久し振りに見るぅ」
過度の喜びが発生するとオウナさんは少し幼児退行するらしい。
「お昼ご飯と一緒に...「頂きます‼」」
そして、待ちきれない程魚が好物だったらしい。
あぁ、最近では食べられなくなっていたんだっけ?
追加でもう10本程出しておく。
「陛下やリチャードさんにも分けて上げてね」
手に取った一本はまだ食べ切れていないが、頬もプクッとしててモグモグしつつ、うんうん頷く様はリスみたいだ。
余程お腹が空いていたんだろう。
昼飯抜いてたし、当然か。
思わず頭を撫で撫でしてあげたくなる。
でも、そこはグッと堪えて話を進める。
ややこしくなると困るからね...
「で、これから結界を替えますよ」
そして、地図に目をやる。
もう慣れたもので直ぐに立体化した町並みになる。
そこを覆う様に最初に張った結界。
でも、街だけでオルトロスの森は入っていない。
やっぱり張り直しだな。
敵の気配が無い事を確認して解陣して、元の結界に聖属性を付与して張り直す。
『これ...妾は触れんし、入れんのじゃなかろうか...』
「大丈夫。ほら、ここ。
ここだけ普通の結界にしたから。
それに皆は普通に転移できるからね」
『至れり尽くせりの結界じゃな。
主様の感覚は他とはちと違うのう...』
「とまぁ、そんな様な話を聖姫としてたわけなんだよね」
『ん〜、こういうのテクニシャンって言うのかしら?』
『水龍...貴方が言うといやらしく感じます...』
『水龍、実は油断のならない奴...』
『サトシは進化する人間(笑)なのダ‼』
焔姫よ、(笑)は余分だと思うんだけど?
「次はトリセイレを替えますか。
よく考えたら、この地図を使って結界を張り替えられると思うよ。ここを替えた様に。
この地図を作った神様(エイレーネ様だけど)は凄いよね。
ん?そう言えば、エイレーネさんは何処に?」
「リチャードさんと一緒にオルトロス達を連れて鍛冶屋に行ってます」
「あぁ、それも重要だね。
じゃあ、こっちは結界終わらしちゃいましょう」
トリセイレを見る。
我ながら結界の大きさに感心する。
オルトロスの森を含めた結界よりも断然広い。
ジアンスロと同様の作業で、強度も変わりなく、と。
滞りなく完成...ん?皆の視線が?
「今更なのですが...
結界を維持する依代とか陣とかが必要になる規模かと思うのですが。
例えば四隅に、とか中心に、とか。」
「聖姫と俺の神威についた話ししてた時に出たんだけど、簡単に言うとブースト?」
『サトシ?それは簡単過ぎ。
要は彼を取り巻く神々の力の事象重複が良い方向で作用してるのかと推測するわ』
『なるほどのう、妾達単体の存在ではちと難しいのう...』
『ん〜、そもそもが賢様の魂そのものが人では有りませんし』
『皆、サトシを通して仲良しだから出来るんだナ‼』
「皆仲良しが一番だよ。
それで出来る事が増えて、困ってる人達を助けられたら万々歳だね。
この世界に来てからはその力で俺自身も助かってると思うし。
まだまだ分からない事が多いけど、皆が助けてくれて感謝してるよ」
「そ、それで、こ、今夜の寝床はどういたします?」
オウナさん?このタイミングでそこ?
「緊急事態にならなければ、トリセイレになるのかな?」
『ヒジリ‼フラグが立ったゾ‼絶対に何か起こるナ‼』
焔姫...フラグって龍神様の使う言葉じゃないと思う...
しかも、不吉な事を楽しそうに言わないで...
「そりゃあ、こっちが攻められてる立場だし。
少なくとも二ヶ国を攻めてた軍勢、文字通り全滅させてるし。
何か有るのが普通と思って構えるしかないと思う。
まぁ、俺が敵なら他の三カ国の攻略を急がせるけど。
取り敢えずはトリセイレに向かいましょう。
何かあっても転移で行き来できるしね。
皆も行くでしょ?」
『『『『『
当然ダ(じゃ)(です)(ですわ)(よ)‼
』』』』』
「じゃ、オウナさん。
適度に休みつつで良いんで監視しといて下さい。
行ってきます」
「お、お気を付けて。こちらは任せて下さい」
次の瞬間、トリセイレ海国の街の門の内側まで転移する。
まぁ、海中だ。
でもね、不思議な事に息が出来るんです...
前回も思ったんだけどね。
顎の横とかにエラが出来てないか触ってみたり?
やっぱりないよね?
と、向こうからアウリさんが駆けてくる。
何かちょっと足速くなってない?
「ヒジリ様〜〜〜‼」
「どうしちゃったの?そんなに慌てて」
「ご無事でしたか‼もう、心配で心配で‼
ここに居ても状況が全然分からないもので...」
あぁ〜、何も伝えてないから...
連絡位はしとくべきだったかな?
ここには百%被害を出さない様に結界を張ってたからなぁ...
「「「ヒジリ様‼」」」
と、あの三姫もやってきた。
丁度良いや。説明しとこう。
「ごめんね。色々と立て込んじゃって、連絡遅れて」
戦闘開始から結界張り直しまでを説明する。
「「「
この荒れ果てた海にも、以前に増して息吹を与えて下さり有難う御座います...
」」」
お礼してる割には何か表情が暗いな...
「あぁ、それはこっちの龍神様、涼姫が助けてくれたんだよ」
彼女の手を取り、引っ張って三人の前に立たせる。
『殿方に手を引っ張って貰うなんて初めてだわ。
いえいえ、この姿も初めてなんですから、当然ですわね。
こういうのもなかなかに新鮮で...』
『だから、水龍。
貴方が言うといやらしく聞こえますから黙って下さい』
『あら、氷龍。貴方は手を繋がれたら嬉しくないの?』
『私はもう、逆鱗に優しく、それはもう優しく、触って頂ける仲ですから...』
相変わらずのドタバタ感ですが、これまでの人生が平凡にして友達も居なかった、そんなサトシ君には心地良い様です。
まだしばらく戦後処理は続きそうです。




