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平凡を超えた超越者  作者: 髭猫
第二章 異世界初体験
26/54

第26話 ちょっとホッとした

お読み下さりありがとうございます。

改稿1:なるべく読みやすく改稿してみました。

   あくまでもなるべくです。

   内容は変えておりません。(21年2月15日)

「最後に我らが英雄、ヒジリ様にお言葉を頂こう‼」


 またまた静まり返る...

 なんて無茶ぶりだよ...演説なんてした事ないよ。

 陛下は笑顔でこちらを見ている...

 全く...仕方無いな...諦めよう。

 皆の心に届く様に神威に乗せて言葉を飛ばす。


『今朝、ここに辿り着いてから、陛下、将軍達の諦めずに前を向く強い心。

 この国を、この世界を守りたい気持ち。

 悪魔に何度攻め込まれても尚、折れずに生きていく姿勢を見ました』

 辺りからすすり泣く声が聞こえる。


『そして俺はこう思いました。

 誰にだって生きる権利は有る。

 理不尽な尊厳の略奪は断じて許せない‼』


 言葉に力を乗せる。


『私も誓いましょう』


『ジアンスロ神国のみならず、この世界に平和が訪れるまで共に戦います‼明日への希望が持てるまで‼』


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」


『ですから、皆さん...頼みますから、気軽に接してくださいね?』


「だはははははははははは‼」


 何とか自力で笑いに持っていけた...良かった...


「今宵は初の戦勝会じゃ‼備蓄を解放して存分に酔おうぞ‼」

「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」

 城が歓喜の波に包まれる。


「陛下?ぜっんぜんささやかじゃないじゃないですか?」

「いや、流れ上仕方が無くて。申し訳ない。

 さっ、我らも食べて飲んで、明日に備えましょう‼」


「上手く誤魔化された気分ですが、賛成です」


 そう言えば、この国の食文化って全然知らないな...

 昼に魔物のステーキを一枚食べただけだ...

 途端に腹が減ってきた。

 何だか慌ただしい一日だったからなぁ。


「そう言えばさ、龍神様って何食べるの?やっぱり肉?」


『サトシはサ、気付いてないのカ?』

『サトシから神力を貰ってます、ずっと』


「そんなので腹(ふく)れるの?」


『そんなのって...』

 氷姫は目頭を押さえ...もう定番化しちゃった?


『サトシは底ないのかヨ?二柱分だゾ?』

 焔姫は驚いている。


「今の所、疲れた~とかは全然無いから大丈夫だね」

『言い換えるなら、サトシさんの神力で私達の存在は満たされます。

 それで私達は大満足です』


「何かちょっと損してる気分にならない?」

『『ちょっとは疲れてよ(ヨ)‼』』

 彼女達は突っ込みが好きなんだな...


 陛下に連れられるまま、会場に向かう。

 どうやら謁見の間でやるらしい。

 陛下を先頭に中央に敷いてある赤絨毯の上を歩いていく。

 皆、一斉に拍手する。


 一般兵士は端の方に位置取り、騎士はその前に。

 そしてその前、赤絨毯の端に将軍達が並んで立っている。


 料理の置かれたテーブルは騎士と将軍の間に並べられている。

 遠目ではあるが、元の世界の外国料理に有りそうな品々が所狭しと並べられている。


 兵士や騎士達は鎧を着込んでいるが、将軍達は...

 女性陣だけ、色彩鮮やかなドレスで着飾っている...

 エイレーネ様まで...


 陛下が王座まで歩いていく最中、エイレーネ様に声を掛ける。

「(エイレーネ様、お綺麗ですよ。

 やっぱり神様って白がお似合いなんですね)」


 神話絵画恒例のお姿だ。

 人に(ふん)しているから神々しさは発散してないが、それでも十分、神秘的だ。


『(あら、ありがとう。

 一番最初に声を掛けて貰えるなんて、役得かしら?)』


「今宵は初の戦勝会じゃ、皆心ゆくまで堪能せよ」

「わあぁぁぁぁぁ‼パチパチパチパチ‼」

 盛大な拍手と歓声で晩餐(ばんさん)会が始まる。


 一拍置いて返答する。

「(からかわないで下さいよ?本心でそう思ってるんですから)」

『(良かったわ。この世界の窮状(きゅうじょう)を救うことも出来なくて自信を無くしてたの)』


 エイレーネ様は俺に近寄ってきて胸に手を添える。


 えっ、何だか神様と良い雰囲気になってるんですけど...

 そういう場所じゃないよね?食事をする場所だよね?

 たった今、宣言されたよね?


「エイレーネさんっ‼それはないわよ‼えぇ、それはないわ‼

 三回言うわ‼触るなんてないわ‼ヒジリ様よ⁉」


 アウリ将軍、大絶叫...三回目はちょっと違う様な。

 そう言えば、彼女は俺の信者的な立ち位置になってるんだっけ...

 彼女は青い髪に合わせ、水色のロングドレス。

 着痩せするタイプだったんだな...

 胸元には薔薇(ばら)のブローチが輝いてる。


「わっ、私もそれはないと思います‼」

 オウナさんはシックに黒のドレスを着ている。

 線は細めだが...って感じだ。

 私服も魔術師っぽいのはオウナさんらしい...


『あら、ごめんなさい。

 独り占めは駄目ね。英雄様だものね』

「エイレーネさんはその様って止めて下さいね。

 それと...」


 二人の方を向き直って...


「アウリさんも、オウナさんもとてもお綺麗ですよ」

 取り敢えずは褒めとこうも。


『典型的な女殺し?』

『ってか、人間がちょろいン?』

 後ろで好き勝手言ってる...


「氷姫も焔姫も、それはないでしょう...」

 社交辞令って必要なんだよ。否、本当に綺麗なんだけどさ。


「お一人様増えてますね...」

 アウリ将軍、今度は呟く...

 この世界では目立つもんなぁ、着物って。


「ああ、敵拠点を調べに行った時に友達になってくれた、焔姫」


『ふふン‼』

 焔姫は胸を張る。


「や、やはりハイクラスドラゴンですか?」

 オウナさんもオズオズと聞いてくる。


「ハイクラスって言うか、二姫共一番上だね」


『ふふン‼』


 焔姫、完璧に胸を張る。

 心なしか氷姫も胸を張っている。

 二人共、自分の胸元を見る。見詰めたまま固まっている。


 アウリさん、顔を上げ、意を決する。


「あの、ヒジリ様はやはりドラゴン族の様な、そのぉ、力の見合った女性?が好みなのでしょうか?」


 ...困った、答え方が分からない...


「実はね、ここだけの話なんだけどさ。

 生まれてから18年間、女性から好意をもたれた事も、付き合った事も、友達になった事さえ一度も無いんだ。

 だからね、好きって事がどういう事なのか、好かれるって事がどういう事なのか良く分かってないのかもしれない。

 本当に数日前に、神...知人に見守っていたよって言われてから、こんなに人から話し掛けられる様になったんだ」

 

 危ねぇ、神様って言い掛けた...


「それ程の修行をしてたんですか...」

 アウリさん、哀れんだ目で俺を見てくる。


 多分誤解してるけどここは否定しないでおこう。

 普通に生活してて振られまくったとか、友達出来なかったとか、惨め過ぎてとても言えない...


「さっ、では、食事を頂きましょう‼」

 話題転換をする様に料理の前に案内してくれる。


 二人に両サイドを守られて?料理の前に移動する。

 気、遣われてるなぁ...


「お~おっ、両サイドガッチリ固めてるねぇ。しかし、相手は...」

 笑いながら俺の後ろを見やる。


「ハイクラスドラゴン様に預言者エイレーネさん、お前等()が悪いわぁ」


 二姫とエイレーネ様までもついてきて、後ろも守られてた⁉

ティアさん、アリエル様...

 人生最大のモテ期は続いているみたいです...


『(見えてますわよ。アリエル様と一緒に...)』

 あっ、ティアさん?...繋がった?...

 見えてる?アリエル様も?


『(エイレーネさん、お久し振りね。聖さんは、独り占めされない様に見張っていてくださいよ?)』

『(その声はアリエルさん。お久し振りですね。えぇ、私もファンの一人ですから、しっかりと見張っておきますわ)』


 神様の鉄壁ガードとか、怖いよ...


『(それと、聖さん)』「(はい...)」

 俺も何か言われるのかとビクッとしちゃう。


『(気難しい龍神さん達と友達になれるなんて凄いわね)』

 気難しい?そうなの?二姫を見やる。


 二姫はニヤニヤしてる。

 含み笑いって、どんな顔の事か分かった気がする...


『(しかも、二柱共女形でしょう?やるわねぇ)』

「(それは単に俺が男だからではないんですか?)」


『(そう、貴方が()()()()よ)』

『(二柱共、状況は飲み込んでくれているみたいだから良いけどね。

 そっちの世界に行けないのがもどかしいわ)』


『(安心しロ。下手な奴には手を出させんからナ)』

『(これで、龍神界も聖さんに染まるのね...

 良いのか悪いのか...)』

『(良いに決まっている。我等が付けば鉄壁だ。

 まぁ、本人は無敵だがな)』


 きっと、戦いの話をしてるんだろう...そう思い込もう。


「(それはそうと、こっちの世界って便利ですね。

 俺のレベルとか分かるんですよ。

 って、レベル1とか言われて地味に凹んでいるんですけどね)」


『(安心して。貴方のレベル1は...まぁ、察しているのだろうけど。

 人間としての...じゃあないから。

 まぁ、そこの世界は正確な種族を割り当ててるって事ね)』


(僕の種族って何なんでしょう?)


『(超越者?)』

「(もう、アリエル様までからかわないで下さいよ‼)」


『(あらあら、ごめんなさいね。見てて飽きないから。

 お楽しみを邪魔しちゃってごめんなさいね。

 たった一日で成長していくから声を掛けずに居られなかったわ。これからも頑張ってね)』


「(ありがとうございます、アリエル様、ティアさん。

 また何か有ったら連絡しますから)」


『(寂しくなったらいつでも話し掛けてくださいね)』

 会話が途切れる...


 ティアさんの最後の言葉...何気に嬉しいなぁ。


『(サトシの周りは流石に面白い事になってるナ‼

 手当たりしだいだネ‼)』


『(知妖精とか知神の方ですね。

 さては高次元界を()べる気ですね?)』


「(何故に⁉俺の恩人なだけだよ⁉)」


 神様達との話が終わると...辺りがザワザワしだす。

 神様達と話をする時はデフォルトが時間停止なのだろうか?


 アウリ将軍が喋りだす。リチャード将軍との続きだな。

「無礼な‼我はヒジリ様とその様な破廉恥な関係など...

 ゴニョゴニョ...」

 最初の気勢が徐々に衰え、最後はゴニョゴニョに。

 アウリ将軍、ゴニョゴニョって初めて聞きましたよ...


「わ、私は沢山居る中の一人でも構いませんから...」

 オウナさん、きっとそれは間違ってる...


「さっきの演説でも言いましたけど、気軽に接して下さいね。

 そんな、様付けされて呼ばれて喜ぶ様な性分じゃないんで」


「あ、あの、さん付けで本当に構わないんですか?」

 オウナさん、おずおずと聞いてくる。


 こうやって見ていると小動物の仕草に似ていて愛くるしい。


「当然ですよ。知らない仲でもないんですし...」

 途端にオウナさんは顔を赤らめる。


 ん?言い方間違えたか?


「あの...私だけに記憶を送って頂いてる時ですけど...」

 ああ、ガウロの記憶を最初に見せてたっけ...


「私もお手伝いしたいと頑張ってる最中、部分的にですがヒジリさ...んの記憶も所々見えてしまいまして...その...色々と...偶然なんですが...」


 彼女は精神魔法の才能有るんだな...

 見せるつもりはなかったのだけれど...

 精神的に繋がっちゃったのかな...


オウナさんの頬に一筋の涙が流れる。

「私は、微力ながらヒジリさ...んのお力になりたいと...」


「オウナさん⁉何を、何を見たの⁉

 貴方って割とクールでしょ⁉なのに、そこまで言うの⁉

 どうして私だけ知らないの⁉」

 アウリ将軍、そんなに興奮しなくても...

 ヤバイ人に見えますよ?


 俺の過去が見えてしまったのなら仕方が無い。

 フォローするとしますか...


「アウリさん、落ち着いて。先程の話ですよ。

 惨めな男の話です。可哀想な位、誰とも付き合えなかった話。

 聞いても涙が出てくるだけですよ。俺がね」


「それよりもお勧めの料理を教えて下さい。

 こうも種類が多いとどれを取ろうか、迷っちゃって」


 俺はオウナさんに下手なウィンクをしながら、アウリ将軍をテーブルの前に誘う。


「私にお任せ下さい。

 好みの味付けとか有りますか?

 甘いのが好きとか、辛いのが好きとか?」


 どうやら、興奮は収まったみたいだ。

 普通にしてれば間違いなく可愛い。

 フィアンセが居ないのも、この戦のせいだろう...


「辛いの、好きですね。この肉はやっぱり魔物の肉ですか?」

「いえ、ここに並んでいるのは、全て動物の肉です。

 決戦前夜に兵士に振る舞う為に残しておいた物です」


「...」


「こんなのなんてどうでしょう?」

 焼かれた肉の塊から薄く削いで皿に盛り付け、フォークを添えて渡してくれる。


 今は、食べよう...そして守ろう、この国を。


 渡してくれた肉を噛み締める。

 ...普通に美味い。肉汁が(あふ)れてくる。

 牛のリブの部分に近い。味付けは粗塩。それがまた良い味出してる‼


「どうです?昼間作られたステーキも美味しかったですけど、やっぱり普通の動物の方が美味しくないですか?それは牛肉ですよ」


「仰る通り‼これは美味しいですよ」

「では、こちらはどうですか?」


 今度は白湯スープに入れられた握り拳大の肉。つみれ?

 これは...しっかり出汁が出ていて、あっさりした肉に合っている。

 肉はショウガで味のアクセント&臭み取り...

 時代は中世っぽいけど、雑な世界では無いんだな...


「それは蛇の肉。大蛇が北の森で捕まえられるので、手頃で一般家庭の主食ですね。

 今となっては貴重となってしまいましたが...

 以前は戦士組合に捕獲依頼が出されていたのですが、やっぱり人手不足で、軍が捕獲に向かっています」


「そんなに捉えるのが大変なんですか?」

「大きいのになると、大人を丸呑み出来る大きさなんですよ?」

 へぇ、アナコンダよりも大きそうだ。


 後ろの二姫を見やり...

 まぁ、彼女達よりかは遥かに小さそうだ...


『今、変な事考えたナ?』

『下等生物と比較されるのはどうかと』


 ばっちり伝わってた。


「ゴメン、ゴメン。大きさイメージをしちゃった。

 二姫とも人一人、一口で楽勝いける大きさだし」


『食べないヨ‼』

『お腹をこわします...』


「ちょっとホッとしたよ」笑いながら返す。


ここまでお読み下さり有り難うございます。

今回はヒジリさんレポートのこの国の食事文化紹介回となりました。

 基本、西欧風に近く、現在は食糧難で何でも調理する様な感じにはなってしまってます。

 早く平和にしてあげて‼と思う毎日です。

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