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平凡を超えた超越者  作者: 髭猫
第二章 異世界初体験
19/54

第19話 ご武運を

お読み下さりありがとうございます。

改稿1:なるべく読みやすく改稿してみました。

   あくまでもなるべくです。

   内容は変えておりません。(21年2月5日)

「さて、ここからです。

 共闘という形で同盟を組んでみませんか?」


 静寂が場を支配する。


「オルトロス達は街の近くの森を住処(すみか)とし、ジアンスロ国はこれを承諾する。

 ジアンスロ国またはオルトロス達が襲われた時は共闘する」


 皆の顔を見渡す。

 微笑んでいる者、驚いている者、思案している者様々だが拒絶の意思は直ぐには出てこなかった。


「仲が良くなれば、連携が取れる。

 連携が取れれば今まで勝てなかった敵にも勝てる確率が上がる。

 ...どうです?」

 あくまでも提案という形で、誘導するように...


『我々は異界の神の言葉に従います』

 そう言って俺に向かって一同伏せをする。


「俺、神じゃないし」


『もう、諦めた方が良いですよ。

 神でなければ何ですか?

 神威を扱えて、私より強いんですよ?』

 氷龍が突っ込んでくる。


「人間という種族かと思うんだけど?」

『外見は確かに。ですが龍神と友達になれる人間?』

「友達って力関係でなるもんじゃないと思うんだ...」

『残念ながら釣り合いが取れてないと脆い関係とも思いますが』

 なんでこう、もっともな事を仰るのか...


「人かどうかはもうどうでも良いよ。

 俺には聖賢(ひじりさとし)という名前があるから、そっちで呼んでほしいな」

 場を収束させる為の最大限の譲歩をしてみたが...


『預言にはまだ最後の一節がございまして...

 時を超え 世界を越え 顕現せし者 其を超越者と謂う』


(どうして余計な事を言うの?エイレーネ様...)

『(実際、神々の間でそうやって持て囃されてるでしょうに...)』

(僕は実際には聞いてませんよ...)

 そんな心中であっても話は進む...


『成る程、的を得ておりますね。

 では種族は超越者族でしょう。

 名前は聖賢様と』


 超越者族ってどんな族だよ...

 氷龍に突込みを入れようとすると...


『今朝方、森ニ入ラレタ時、我ラガアット言ウ間モ無ク置キ去リニサレマシタ。

 ナルホド、超越サレテオラレルナラバ納得デショウ』


 ...最早、何の基準を超越してるのか分からないよ。


 そんな中、ジアンスロ国王が口を開く。

「すまない。

 我らには言葉が通じなくて、オルトロス?達とそちらの龍様?女性?と話が進んでいるのかどうか分からんのじゃが...

 ジアンスロ国としては同盟を結ぶ方向で進めていきたい。

 国民には本日中に布告する事にしよう」


「それと...超越者とは貴方の事ですかの?」


「安心して下さい。

 彼らも同盟を結ぶ事で合意しています。

 超越者の(くだり)は無視して下さい。

 重要な事なので二度言います、無視して下さい」

 げんなり気味に釘を刺す。

 ついでに気になった事を聞いてみる。


「ジアンスロ軍の戦力規模と高レベル者の数を教えて貰えませんか?」


「..........」

 空気が凄く重たくなった?何だこの間は?


 ジアンスロ国王が重い口を開く...


「現戦力じゃが、儂を含めた将軍クラスが5名。

 皆、レベル30代~40代。ここに居る内の5名じゃ。

 鎧を装着している内の2名にはまだ兵を預けていない」


 ふむふむ。半数か...


「儂の下に騎士団約100名、内騎馬隊30名程、弓隊20名程」


 ふむふむ。騎士団って精鋭部隊だろうだから妥当かな?


「将軍2名の下に戦士各100名程度...」


 ふむふむ?200人?この世界では普通なのか?


「魔術師団長2名の元に魔術師各20名程...」


 ふむふむ???40人?魔術師って貴重な人材なんだろうか?...


「..........」



次の言葉が出て来ない?



「ん?」



「現在の戦力はそれだけじゃ...」


「魔物に襲われる前はどれだけの規模でした?」


「地方軍を含めて10万超の戦力を有しておった...」


「他の国の状況はご存知ですか?」


「世界五大国、何処も似た様な状況じゃ...

 城下町を拠点に籠城状態、全滅覚悟の特攻間近じゃ...」


「危機ってレベルを超えてますよね?」


「奴らは相手を嬲って喜んでおるのじゃ!!」

 苦虫を噛み潰した様な心底悔しそうな顔をして皆が俯く。


「オルトロス達は今ここに居るので全部?」


『我ラモ10分ノ1程度ニハ減ラサレテオリマス...』


「でも、逃げる事は出来た?」


『カロウジテ生キ延ビル事ガデキタノデスガ』


 魔獣と人間...全く違う種族で状況は同じ壊滅状態。

 全滅させようと思えば出来る状態で戦闘を引き延ばしている?

 徐々に弱らせる事に愉悦を感じる?

 そんな単純な話ではない気がするな...


 来て早々に全容が分かれば苦労はないな。

 一先ず自分にできる事をしよう。


「この中に状態異常を引き起こす精神魔法を使える人は居ますか?」


「あの私、使えます...」


 おずおずと挙手をするローブ姿の女の子。

 最初アウリ将軍を支持すると演技してた娘だ。


 青髪に目がぱっちりしてる可愛い系の顔立ち...

 ん?青髪?アウリ将軍も青髪...周りを見渡す。

 今、気付いたけど青髪比率高いな‼


「もしかしてアウリ将軍とご姉妹ですか?」

 代わりに国王が答えてくれた。


「今残っておるのは皆、儂の縁者じゃ。

 主立った地位の人間はこの一年間で...。

 騎士、兵士と言っても生き残った兵士を騎士に格上げし、兵士は民兵で構成しとるだけじゃ...」

 白髪で気付かなかったが、確かに王様も元は青髪っぽい。


「大変だったんですね...」

『流石は聖様、サラッと過去形ですね』


 エイレーネさん、微妙なラインの突っ込みは止めてください...


「もう、終わらせます。

 出し惜しみは無しでいく」


「で、そうそう、えっと...お名前は?」

 先程の女性に話を戻す。


「オウナと申します」


「じゃあオウナさん、俺に麻痺系の魔法掛けて貰えますか?」


「え?麻痺系を貴方に...ですか?」


「オルトロス達が麻痺系を使う魔族に襲われたらしいので、どんな感じか知りたくて」


「分かりました。回復は別の者に...」


「自力で回復できるまで回復は無しの方向で」


「はぁ、分かりました。では、いきます。

 「パラライズ!!」」


 途端、体中の感覚が無くなり痺れ始めて、立っているのかどうかさえ分からなくなる。

 視界も白く霧が掛かった状態の様になり何も見えない。


 ふむ、結界を張れば防げそうだが、結界内でしか行動出来ないという制限ができてしまうな。

 ここはやっぱり耐異常の無効化と念の為の回復を覚えておいた方が良さそうだ。


 麻痺だけでなく、睡眠、毒、混乱、魅了、狂戦士...ゲームで覚えてるのはこんなもんか...あ~、後は即死か。

 即死って状態異常なのか?まぁ、いっか。

 頭の中でそれらの状態の無効化と回復をイメージする。


 すると、体の感覚が徐々に戻ってきた。


 あれ?...うぉっ‼


 倒れちゃってたよ...微妙に恥ずかしいな。

 頭を掻きながら立ち上がる。


「ありがとうございました」


 オウナさんは、クリっとした目を更に大きく見開いてこちらを見ている。


「どうかしました?」

「いえ、私の魔法は対個用でして、総力戦の様な大規模戦闘には不向きでして、何と言うか、その~、その分強力な筈なのですが...」


「はい、麻痺の魔法ってどんな感じになるのか分かる位強力でしたよ。貴重な体験でした」


「いえ、そういう事が言いたい訳ではなくてですね...

 五感が遮断され、何なら思考も止まるよって位、いえいえ息が出来なくて死ぬよ~とか、心臓止まって死ぬよ~って位な状態になる筈ですが...よだれダラダラで」


「思考は止まりませんでしたが、五感は麻痺していましたね。

 これだけ強力だと、ひょっとしたら魔族のボスバトルで使えるかもしれませんよ?

 盾役が欲しい所ですね」


「異常状態にする魔法は他にも使えますか?」

「色々と使えますが...」

 なかなか優秀は魔術師だな。


「これは強力だと思える魔法は何でしょう?」

「よく使うのは毒ですね。

 眠れなくて困ってる方も多いので睡眠もよく使います」


「では順番にお願いします」

 さっきので無効化できてる筈だがどうだろうか?


「では...「ポイズン‼」...」


 うん、ちゃんと無効化出来てるみたいだ...


「えっ?何か、こう...苦しくとかなってないですか?」


「ええ、大丈夫なようです。では次お願いします」


「...「スリープ‼」...」


 これも大丈夫だな...


「..........眠くないですか?

 皆は5秒と経たず寝て頂いてますが...」


「ええ、大丈夫ですね。

 では戻って麻痺をお願いします」


「...「パラライズ‼」...

 って、先程は効いてましたよね?」


「ええ、耐性が出来たみたいです。成功ですね」


「すみません。今まで使った事はないですが、そちらの魔法も使って良いでしょうか?」


「ええ、宜しくお願いします」


「チャーム‼」


「それは使っちゃ駄目でしょう‼」


 アウリ将軍が叫ぶ。


「この人なら良いかなぁ...なんて」


 でも、大丈夫。無効化出来てる。


「ありがとうございます。

 大凡(おおよそ)の耐性はできたみたいです」


 何故かがっくりするオウナさん。

 横ではアウリ将軍がほっとしている。


「俺にはかけてもらった事ないんだが...」


 リチャード将軍が落胆している。


「当たり前でしょう‼

 親戚の方に掛けてどうするんですか‼」


 どうやら意図せずして緊張感が解れたみたいだ。


『そこは掛かったフリをしてあげるのも優しさかと思ったのですが』

 クスクス笑いながらエイレーネ様が(のたま)う。


「こんな大勢が居る前でそんなフリ出来ませんよ...」


「では、次回二人きりになれた時があったらフリしてくれますか?」


「オウナ...そんなチャンスは作らせないわ」


 アウリ将軍とバチバチ火花が散りそうな位、睨み合っている...


「それにしても、何故にレベル1なんじゃろうな?

 はっきり言って人の領域を外れているんじゃが...」


「たまには測れない時もあるんじゃないですか?

 それと、国王様、私は人間ですから。

 二度言いますよ?人間ですから」


 考えられる理由としては、この世界での経験が無い事か、神化したレベルが測定されたかのどちらかだろうな。


 さて、今のこの国の戦力だと普通の連携でも無理だな。


 どうしたものか...


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


『ご報告致します‼』


『定時報告とは違うな。変化が有ったのか?』


『いえ、そちらの方は変化がございません。

 ご報告致しますのはジアンスロ王国の事です』


『ほう、とうとう始まったか?』


『いえ、それどころか...

 遠見(とおみ)の報せによるとジアンスロ王国とオルトロス族が同盟を締結した模様です』


『何と‼魔獣と人間が仲良くなれるものなのか?』


『二種族の間に仲介している人間がいる模様です』


『そいつが何者かは知らんが、同盟の真偽は確かめておくとしよう。

 場合によっては対応を考えねばならん』

『いつもの様に全滅させない程度の兵を送れ。

 そうだな500程出兵させよ。

 あそこは飛空隊が主戦力だったな?』


『はっ‼』


『いつもの力押しの奴を頭に立てて、編成は飛空隊300に歩兵隊200だ。直ぐに出立させよ‼』


『了解致しました‼』


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「双方の戦力も把握出来た事ですし、今後は生き延びる為に色々と努力しなくちゃいけませんね」

 国王と巨大オルトロスに向かって言う。


「オルトロス、人間を背に乗せて戦えるかい?」

『可能デスガ、振リ落トサレナイ様ナ装備ト訓練ガ必要ニナルカト』


 確かに馬具位では無理だろうなぁ、あの速さは...

 でも、最低でもペアでコンビネーション攻撃が出来る様にならないとキツイだろうな。


 悪魔相手だし...


「国王様、オルトロス達に騎乗して戦える様な装備を用意して下さい。後は実際に訓練ですね」


「うむ、鍛冶師に依頼しよう。

 実際に寸法を当てさせた方が確実なのじゃが、連れて行っても良かろうか?」


「そうですね。取り敢えずは将軍が乗る5匹をお願いしましょう」


 強さとか分かる様にならないかなぁとオルトロスを見る。

 すると漠然とではあるが特徴の違いを感じ取れた。

 履歴書に書く長所・短所・特技ってところかな。

 慣れてくれば、より具体的に分かりそうだ。


 これは便利だね。


 中でも速そうな5匹を指差し、

「彼等にお願いしたいんだけど、どうかな?」

 巨大オルトロスに問う。


『中デモ速イ奴等ヲ選バレマシタネ...

 ドウヤッテ?アァ、超越サレテマシタネ。

 デハ彼等ヲ連レテ行ッテ下サイ』


 もう、何か有ればその一言で片付けられそうだ。

 面倒臭くなくて良いが、少々面白くもない。

 仕方が無い話ではあるが...


『聖様、動き出しました‼

 ここより南西の方角より中隊規模で向かってきております』

 突然、エイレーネ様より声が掛けられる。


 丁寧に向かってくる方角を指差して教えてくれる。

 知覚感覚がそれ程広くないから、すんごい助かる。

 ってか南西がどっちかも正確には分からないし...


「前回戦闘とどれ位間が開いてます?」


「7日程度じゃ。いつもは10日程度で攻められておった。

 いつもより早い襲撃じゃ」


 残念ながら、俺の知覚範囲にはまだ入ってきていないが...

 ここに来てスパンを短くする理由がない。

 まさかこちらの動きが気付かれた?


 頭が焼き付く様な感覚にはなるが仕方がない。

 一気に知覚範囲を拡げよう。

 ティアさんも慣れだと言ってたし。


 知覚範囲を広げていくと...

 5~6km程離れた所か、確かに指の差された方角から数百規模でこちらに向かってくる。

 飛行と歩兵...半々程度か?


 更に拡げる。追撃部隊が居ると厄介だからね。


 部隊とは違うが...多分、居るな。

 気になるのが一匹ここから10km程南の所に居るな。

 黒いオーラで判然としないが違和感がある。

 ひょっとするとこいつがこちらを偵察しているのか?


(エイレーネ様、ここから南に10km程離れた所に居る一匹分かります?)


『(ごめんなさい。私には知覚出来ないわ)』


 間違いないな、隠形(おんぎょう)している。


 ...偵察兵か?


 こちらの迎撃っぷりを報告させる訳にはいかない。


「少し、この場を離れます。

 皆さんは城に入って兵士を集め戦闘準備して下さい。

 オルトロスは城下町の門で待機。

 氷龍はその門の上で待機。

 俺が間に合わなかった時の守備を宜しく。

 まぁ、間に合わせるけどね」


『了解致シマシタ』『お任せ下さい。ご武運を』


何となくだが察してくれているのか。頼もしい限りだ。

ここまで読んで下さり、有難うございます。

まさかの人間と魔獣の共闘提案。一つ?上のステージに立っている主人公ならでは、かなぁと思います。

敵も動き出し、どう立ち回っていくか次回が楽しみです。

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