第16話 やってみない?魔物討伐
お読み下さりありがとうございます。
改稿1:なるべく読みやすく改稿してみました。
あくまでもなるべくです。
内容は変えておりません。(21年2月4日)
「少し自棄になってません?」
「大丈夫です。きっとヒジリさんの仕事を見つけてみせます...」
多分、俺はレアケース何だろうなぁ、と他人事の様に思っていると、
「自動書記も終わりにします...」
「色々と大変ですね...」
「いつもはこんなに苦労しないんですけどね...」
屈み込んで自動書記を仕舞い、次には何やら色んな蛍光色のスティックを取り出してきた。
コンサートとかの応援で使うアイテムに近いな。
「これが先程言っていたレベルを測定する物です」
「振ったりとかするんですか?」
「違います。咥えて下さい」
「ほら、ここにメモリが有るでしょ。
こうやって咥えると...
この液が測定対象の数値迄上がる訳ね。
私はレベル49高い方よ」
口から出し、目盛の数値を見せてくれる。
最近の体温計っぽく思えるのは俺だけだろうか?
「そのレベルは魔法剣士としてのですか?」
「いえ、人としてのレベルよ」
「人...」
何か嫌な予感するなぁ...
「さっ、ヒジリさんも咥えてみて」
ハンカチで自分が咥えた所を拭いて差し出してくる。
「えっ?アウリさんが使用した物を?」
「そんな恥ずかしがる様な年でもないでしょうに。
良いから早く‼」
「分かりました...」
人生初の間接キス...異世界でかぁ。
因みに妹はノーカンで。
「じゃあ、いきます...」
諦めて咥えると...
液面はピクリとも動かない。
「貴方...生きてるわよね?」
腕とか胸を触ってくる。
匂いとかも嗅いでくる。
「貴方が触る測定器は全ておかしな挙動するのかしら?」
パクッ...あっ、そのまま咥えた...
液面は49で止まる...
書類のレベル欄には【1】と書かれる...
「はぁ~、幼児でもレベルは2とか3なのに...貴方は何?」
「何者?」ではなく「何?」ですか。
既に人間扱いされてない...
まぁ、今となっては人間だと言い切れる自信もないけど...
アウリさんは苦い笑いしつつ、次の測定器を渡してくる。
どうやら次も咥えるタイプの様だ...
俺も苦笑いして受け取り一言謝ってまた咥える...
「それが1なら羽ペンも持てないわよ?
まぁ、それ持ってる時点で2は有るわね」
それ、前振りっぽくなってますよ...
加えてみると今度はグングン液面が動き出し...
「パキッ‼」
あ...壊れた...アウリさん、顔が引き攣る...
「壊した...」
「いえ、壊れた、です。不可抗力ですから‼」
「これ、作るの苦労するのよ」
...物凄い落胆してる。
「まぁ、良いわ、壊れたもんは仕方が無い...」
能力の【力】の欄には【器具損傷の為測定不能】と書かれる。
書いた後に少し考え込んで、まだ測定していない欄には...
【器具損傷の危険性が高い為中止】と書かれる。
「これでよしっ‼」
「えっ?よしなんですか?」
「仕方ないでしょう。こう見えても高価な物なのよ」
「でもこれじゃあ、何の仕事をしていいか分かりませんよ?」
「分かってるわよ、それ位‼
ちょっと考えてるんだから待ってて‼」
半ギレ状態になってしまった...
「レベル1で、力が振り切れるとかどうなってるのよ...
大体、振り切れるっての有り得ないから‼
生物じゃないから‼」
ブツブツ良いながら俯いて考え込んでいる。
閃いたかの様に顔を上げ、一人納得する様に頷く。
彼女の中で何かが決定された様だ。
「これから、この奥にある職業訓練所で色々やってみましょう」
と、斡旋所の奥にある扉を指差す。
「技術が足りない人はここで訓練してから仕事をする様にしてるの。
色々やってみて私が判断する。
もう、それしかない‼」
右手を胸の位置で握り締めワナワナしてる。
面倒見が良い人なんだな...
彼女の後についてその部屋に入ると、様々な武器、防具、服の生地や革、食材や調理器具とかとか様々な物が置いてあった。
「先ずはやっぱり武器から見てみましょう。
今、かなりの人手不足だから」
片手剣を傘立てみたいな所から引き抜く。
「持てるでしょ?」
俺の方に差し出してくる。
持てるんだけど...真剣って初めてだな。
ちょっと緊張しながら持ってみる。
「じゃあ、それを持って次の部屋へ移動しましょう」
まだ初めて持つ剣にドキドキしながら、後を付いていく。
扉を開けると...
お~広い。石で組み上げられた100畳程度は有りそうな部屋だ。
所々の柱も太い。
「じゃあ、ここで振ってみて。
何か覚えてる型とかあったら、してみても良いわよ」
型かぁ、片手剣の型なんて知らないしなぁ。
片手剣はもう片方の手に何を持つかで違って来るよなぁ...
あれこれ考えても分からないからちょっと格好を付けた感じでまとめてみよう。
剣の束を右手で握り剣先を上げ、刃の横に左手を添えて目を閉じる。
騎士の敬礼をイメージ。
その後、剣道のように目の前に相手がいるイメージをする。
さて、どう斬る?
瞬間、剣を真横に倒し一閃、胴を薙ぎ払う感じ。
その勢いを殺さない様に右手首を捻り、右上に剣先。
袈裟斬り、肩口から斜めに斬り下ろす感じ。
そこから、手首を返し、そのまま、逆袈裟。
斬線は脇を上抜ける感じ。
そこから、再度手首を捻り上段へ持っていき、真向。
下段迄持っていった剣をそのまま下に振りぬけ、勢いを殺さない様に体を反転させ、ジャンプして剣を持ち上げる様に再び上段へ。
ジャンプの降下と合わせて再び真向、そして残心。
連続コンボ達成って感じで、ちょっと格好良いな。
自分で言ってりゃ世話ないけど...
左手は何も持っていないイメージでやってみたけど、どうかな?
あれ?何も声が掛からない...
まだやれってことなのかな?と目を開けると。
俺の服がヒラヒラ待っている。
そういや、服破れたままだった...
あちゃ、布地面積が更に減りもうパンツ一枚に近い。
因みに黒のトランクス派です。
アウリさんの方を見ると、目を見開いてぼ〜っとしてる。
「アウリさん?あの、どうでした?」
「あっ、あ〜そうね。最初の構えは騎士を彷彿させる構えだったけど、その後は...
正直、何をしたか分からない程速かった...
先ずは戦士系が候補の一つね。
本当は次に魔法を見たかったけど...先に服ね。
服を作ってみましょう‼」
顔を赤らめつつそそくさと部屋を出ていく。
本当は剣を振る前に服だったんじゃあ?と思いながら付いていく。
最初の部屋に戻り、服の生地が一杯並んでる前に立つ。
「簡単な服飾なら教える事も出来るから、先ずは生地を選んでみて」
色んな生地を手に取り、なるべく丈夫そうなのを選ぶ。
色は黒と白。このツートンは外せない。
「服を作った事はある?っていうか覚えてる?」
「恐らくは無いと思います」
服飾の神様が応援してくれてたらな〜なんてご都合主義全開で期待して...黒の生地にハサミを入れる。
「あ〜、最初に型を取らないと‼」
「何となく出来ると思いまして...」
と、切るのを続ける。
ズボンはこんな感じかな?
切った生地を硬そうな糸でつなぎ合わせ履いてみる。
うん、体にフィットして履き心地も良い黒生地のズボンが出来た。
「本当にやったこと無い?」
「自信を持っては言えませんが...」
「まぁ、良いわ。次は服ね」
基本、ワイシャツだけど、詰め襟大好きだからそっち路線のイメージ。
ちょっと薄手だが、生地自体はやっぱり丈夫そうだ。
ズボンと同じ要領でシャツも作っていく。
白のボタンを付けて完成。
きっちり上までボタンを掛け、詰め襟が低めの2cm程。
立ち鏡が有ったので、チェックしてみる。
これ、格好良過ぎないか?
自画自賛は初めてかも...
次は、上着だな。
しっかりした布地で軍服っぽく作りたい。
詰め襟の中には襟が崩れない様に薄くて弾性の高い金属の板を入れる様に。
ここにある材料だけで作り上げたにしては上等だ。
それを上から羽織ってボタンを止めていく。
こちらもフィット感を重視して細めに作成。
ここまででかなりいい仕上がりだ。学生の時に着ていた制服よりも断然動き易く、丈夫だろう。
創作意欲はまだ止まらない。
白のごっつい革生地を切っていき...
革製襟付き白のロングコートを作った。
全ての服がその存在を主張する、そんな出来栄えに満足する。
きっと見ててくれているだろう、服飾の神様‼ありがとうっ‼
その様子を見ていたアウリさんは「ちょっと待ってて」と、カウンターのあった方へ戻っていく。
どうしたんだろう...
まっいっか、次は何作ろう?アクセサリーかな?
パタパタと戻ってきたと思って見てみると、その手にはさっきの黒玉石とレベルが分かる棒を持っている。
「もう一度、やってみてちょうだい‼」
棒を口に咥え、両手を黒玉石に置く。
端から見たら変な光景だよなぁ...
玉は白金、レベルは1。
結果は同じだった...
アウリさんはガックリと前に倒れ込み、両手両膝を床に付く。
そして、ブツブツ言い始めた。
「私が見きれない剣筋と卓越した服飾技術、それが合わさると白金?
でもレベル1なのよ?赤ちゃんのレベルよ?
おかしいじゃない...」
「あの...アウリさんが向こうに行っている間にアクセサリーを作ってみました。
金属しか加工していないのでちょっと寂しいですけど、見て頂けませんか?」
「えっ」と顔を上げるアウリさんの目の前にアクセサリーを差し出す。
この世界に有るかどうか分からないけど、バラをモチーフにして写実的に彫金加工したブローチ。
花弁一枚一枚が風に吹かれたらそよそよと揺れそうな程、写実的に作ってみた。
「これをいつ?」
「その判定グッズを取りに行っている間ですが...」
再び、ガックリと項垂れ、またブツブツと...
「彫金?錬成?もうどうやって加工したかも分からないわ...
超一流なんてレベルじゃないわよ?
誰にも出来ない。なのにレベル1...そんな訳無いじゃない‼
白金って何なの‼」
ついには叫びだした...
「これ、よろしかったらアウリさんに差し上げようかと思うんですけど。記念の印に」
そう言って、バラのブローチを差し出す。
この程度で情緒が安定してくれれば安い物だ。
材料はここのだし。
「良いの⁉」
「良いですよ。色々とお世話になってますし」
アウリさんはブローチを右手でそっと持ち上げ、左手の手のひらに乗せる。
マジマジと見つめ、ほぅっと溜め息を付く。
「ありがとう、大事に使わせてもらうわ」
満面の笑みだ。良かった気に入ってもらえて。
復活したアウリさんとさっき片手剣を振るった場所へ戻る。
戻りながら尋ねる。
「次は何しますか?」
「逆に聞きたいわね。何か出来ない事あるの?」
「ん~、ちょっと分からないです...」
「ローブ風の服も着てる事だし、魔法でも見てみましょうか?」
「魔法?因みにこれはコートですけど...」
「そう、魔法。明らかにコート丈より長いわよ」
「例えばどんなのでしょう?
ローブは前をボタンで止めませんよね?」
魔法の分野は不味い。
唱えなくても出来ちゃうから誤魔化せるかどうか。
「こんなのよ、ファイヤー‼
そういうファッションのローブもあるわ」
ボッと火の玉が飛び出し10m先で着弾しメラメラと燃えている。
「本当は長ったらしい呪文とか有るんだけど今みたいに省略して打てる。
その場合は本来の威力の60~80%迄落ちるわ」
「やってみて。覚えてなかったら、呪文を一緒に...」
「ファイヤー‼」寸分違わない大きさと着弾点。
本当はファイヤーって言葉も必要無いんだけどね。
「........................」
たき火の様になっている火を見つつ、沈黙している。
「魔力の発散を感じなかったんだけど?」
「出来ちゃいましたね」
規模に関しては、本当に神力調整しといて良かった。
「炎系だけ?」
「他にも出来ると思います」
「なら他のも見たいわね」
「やってみます」
「ウォーター‼」まだ燃えている火を小規模津波で消す。
「サンダー‼」同じ所に落雷を落とす。
「アイス‼」同じ所に半径1m程度の氷塊を作る。
足元を冷気が広がる。
ドライアイスの演出の様に。
後、何が有ったっけ?
「ありがとう、もう良いわ...」
アウリさんは氷塊の方に近づいていき、持っていた片手剣で上段から斬りつける。
片手剣が半ばから折れ、折れた音だけが室内に響き渡る。
「剣より硬い氷?...それがこんなに大きい?」
手に持っていた折れた剣を眺めながら
「あなた、魔法の全般全力じゃなかったわね」
「その辺りの感覚もよく分かってないのですが...」
...誤魔化しきれるか?
「上出来よ」
「という事は?」
「軍の入隊条件に適合する能力は持っている。
レベル1であっても...」
「では、軍隊に推薦...ですか?」
「普通の軍隊では、勿体無い。
というか持て余す。誰とも釣り合わない」
「なるべくなら人を傷付ける様な仕事はしたくないのですが」
「貴方、優しそうだものね。
今、人族の間での争いは無い。
人族は一丸となって対抗している」
「何に?」
「あの森に住み着くようになった犬風の魔物...
以外にも色々...この国は危機に瀕している。
いや、世界中の国々が危機的状況に陥っている。
一年程前から...」
一年程前...俺の家族が襲われた時期と一致している。偶然か?
「どう?やってみない?魔物討伐...推薦するわよ」
いつも、お読み下さり有難うございます。
徐々に規格外っぷりを出していこうと思ってますが、なかなか、何処までのレベルにするか難しいです。




