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平凡を超えた超越者  作者: 髭猫
第二章 異世界初体験
15/54

第15話 少し自棄になってません?

お読み下さりありがとうございます。

改稿1:なるべく読みやすく改稿してみました。

   あくまでもなるべくです。

   内容は変えておりません。(21年1月29日)

「よし、探索の始まりだ‼ってどっち向かえば良いのよ⁉」


 何ならオネエ系で突っ込んでやるわよ‼


 変わってないわよ‼


 力調整出来る様になっても何処行っていいかなんて分かるわけないのよっ‼

 ・

 ・

 ・

 何やってんだよ、俺...


 落胆気味に一人突っ込みしつつ、棒を立てて棒の倒れた方向に...

 持ってないよね...棒...

 はぁ、近くに道もないしなぁ...


 仕方が無い。勘だな...

 うん、勘も大切さ‼

 二日前から体力には自信あるし‼走ろうかな‼


 太陽?が登ってきた方向に向かえば、きっと街に辿り着くさ。


 半ば諦めムードで走ってみたら、10分程走ったら森が見えて来て、その向こうの方に城壁とひょっこり城の屋根が見える。

 おっ、道も見えるぞ。


 良かったよ~。感が当たったよ~。

 大陸規模で迷子になるなんてゴメンだもんな~。

 ナイスっ俺‼


 道に沿って森の入口に近付いていく...

 ん?生き物の気配がしてる...


 しかも、向こうも気付いてるね。200m程度の距離が有るかな?


 ...この世界の生き物は凄いのか?


 取り敢えずはゆっくり近付いてみる。

 段々と詳細が感じられる。


 単一種で何十匹?まぁ、森だからね...

 それも、威嚇されてる様な?


 森入口20m手前で止まり様子を見る。

 向こうも慎重にこちらを見てる。

 無駄に目が多いなぁ...

 目の数に対して体が少ない。


 どうやら犬っぽい...

 但し二つの頭が有る犬...

 異世界なんだなぁ、と実感できる。


 何だったっけ?ケルベロス?

 あれは三つ首か...


 えっと、オ...オルトロス‼


 双頭の犬の怪物...かぁ。


 普通、あんなに居ないよ?一匹だよ。

 いや、一匹だろうと大群だろうと、見た事はないんだけどさ...

 伝説の怪物がゴロゴロしてる世界ってどうよ?


 可愛い犬ならともかく、怪物犬に(たか)られる趣味は無いからなぁ...

 世界事情も分からないから殺して良いのかも分からないし...


 ここはスルーで駆け抜けますか...


 確かオルトロスって素速いんだったよなぁ。



 ...見た事ないけど...



()()のイメージを思い浮かべて、呼吸を整える。


 んじゃ、行きますか...


 瞬間、踏み込んだ足元が隕石が衝突したかの様に爆ぜ、初速から光の速度なんじゃね?的なとんでもスピードに乗る。


 待ち構えていたオルトロスの群れをかわして置き去りにする事には成功したが...

 森の中の道が曲りくねっていた為、方向転換で踏み込んだ地面が所々クレーター状に大きく陥没した。



 馬車で通る人には申し訳ない...

 通らないか、こんな危ない森。


 一瞬で森を抜けたと思ったら...大きな木の立て看板が。

 何とか緊急回避。


 オルトロスも追っては来てる様だが、まだまだ時間は掛かりそうだ。


 立看板の表に回り込んでみると...



「立入禁止」...



 遅えよ...反対にも設置しておいてくれよ...


 というか...普通に字、読めるじゃん‼

 本当に異世界?


 何て疑問も出てくるが、当然ながら俺の住んでる世界に双頭の犬は居ないので、きっと日本とは違う...筈...


 さて、森の縁でオルトロスが集まってグルル言ってるけど、森から出てくる気配が無い。


 そのまま城壁の大きい門の所まで歩いていく。

 門は閉ざされていて、衛兵?門番?も居ない。

 立派な門だけに余計に寂しさを感じさせる。



 普通、衛兵さんとか居るよね?



 試しに...

 門の前に立ってみたが...


「し~~~~ん」


 凄いな。静まり返ってる音が聞こえるよ...


「誰か居ませんか~~~~~~」....

「し~~~~~~ん」



 無音で返事されたの初めてだよ...



 ふと、横を見ると、勝手口?

 屈んでしか入れない様な扉がある。

 成る程、あそこから入るんだな。


「コンッコンッ」

 軽くノックをして声をかける。


「街に入りたいんですが~~~~~~」


「先程からうるさいぞっ‼

 魔物が近寄ってきたらどうするんだっ‼」


 怒鳴りつつも扉がゆっくりと開く。

 しかし、手が出る位の隙間まで開くと手招きされる。

 きっと入れって事だろう。


 近寄っていくと、サッと扉が開き、引き摺り込まれる。

 目の前には軽鎧を着て兜を被って如何にも衛兵っぽい人が...

 年は俺と同じ位かな?

 精悍な顔付きで街を守ってますっと。


 周りを見渡すと...

 地面は石畳、家屋も石や泥、レンガ造り。

 文明は発展していない方だな。遠くに城が見える。

 成る程、ここは城下町って奴だ。


「何処かの村の者か?で、市民証か身分証明書は?」


 ...そう来ましたか...職務質問(しょくしつ)ですか。

 この世界に来たばっかなのに有るわけないじゃん...



 どうしよ...



 取り敢えず、何の事?位の気持ちで引き攣った笑顔で返してみる。

 僕には分かりません、的に。


「だからっ、身分を証明する物は無いかと聞いてるんだっ‼」


 ここは何か言った方が良いな...

「すいません...記憶が無いんです...」


 泣きそうな顔を添えて。


 衛兵らしき人はこっちをジロジロと見る。

 目線を合わせて下を見る。


 気弱な感じで。


 あれ?おうわぁっ‼


 服がボロボロじゃないかっ‼


 今まで気付かないのもどうかと思うが。

 あっ...稲妻ダッシュかましたからか。


 再び顔を上げる。


 涙目を添えて。


 実際服がボロボロで下着もチラホラ見えてる状況は本当に泣きたいけどね...


「まさか、魔の森を通ってきたのか?」


「...気付いたら立看板の所に立っておりました...」


 グスッと鼻水をすする音を添えて。

 自分では迫真の演技と思えるが果てさて...


「という事は森の向こう側から来たのだな...

 何人で来た?って覚えている筈ないか...

 ここの街の名前は分かるか?」


「いえ、覚えておりません」

 ここは記憶喪失という設定で押し切ろう。


「だろうな、多分君は奇跡の生き残りだ。

 あの森に入った人間は生きては帰れない」


 苦渋の表情で語りだす。


 そんな森、街の近くにあっていい森じゃないだろう...


「複数人で入って、仲間が君を守ったのか...

もしくは仲間がやられている間に君だけ身を躱して森を出る事が出来たか...」


 おっ、推理してくれるんだ...

 グッジョブ衛兵‼


「自分の名前は覚えているか?」


「ヒジリ...」


 あっ、言っちゃった...

 一言だけでやめておこう...


「ヒジリか、少し変わってるが直ぐ出てきた所を見ると本当の名前なんだろうな」

 衛兵は少し考え込む。


「金とか...持ってるか?

 ってそのボロボロの服なら落としてるな」


 衛兵は更に考え込む。


 状況は味方してくれてる‼


 きっと、俺をどうやって助けようか考えてくれてるんだろうな。

 見た目、ニヒルな顔して相手に切り掛かりそうな顔なのに優しいな。


「そこから看板が見えるだろう?あの文字読めるか?」


「職業...斡旋所?」


「そうだ。そこでなら金も借りれるし、働いて金を貰う事も出来る。

 本当は身分証明書が要るが、事情が事情だ。俺が口を効いてやるよ」


 この人...むっちゃええ人やわ~...

 事情を言えない事に少々罪悪感を抱く。

 本当の事を言っても信じてもらえないだろうけどね...


「何から何までありがとうございます」

 素直に頭を下げる。


「礼なんか良いよ。

 むしろ、生き残れた幸運を大事にしろよ。

 それじゃ、ついてこい」


 彼の後ろを歩きながら、この世界?国?でのコミュニケーションに関して考える。


「読む」...読める。普通に日本語に見える。


「聞き取り」...普通に日本語だが、相手の口の動きと合ってないな。


「話す」...相手は聞き取れている。俺は日本語で話している...相手がどう聞こえているか分からない。


 後は書くだけだな...と、考えていると...


「いらっしゃいませ‼ってあら、リチャードさんどうしたの?」

 そう言って俺の方を見る...


「その人どうしたの?着てない様に思える位ボロボロだけど。

 何か悪いことして、折檻したの?

 何も下着丸見えになる位破かなくても...」


 悪いことしたら、折檻って...

 久々聞いたな、その言葉‼


 そしてこの人はトランクスに非常に興味を持っている。

 目線がロックオンされていて、いつ『ファイヤ‼』って叫ばれるか分からない位真剣な顔付きだ。


「おはよう、アウリさん。そんなんじゃないよ。

 この人は多分、あの森に入って生きて出られたは良いが、記憶を失くしちまってる」


 カウンター越しのアウリさん。

 欧州チックな民族衣装(角笛をを着吹いてそうだな)

 髪の毛は黒く肩まで伸びている。前髪はパッツンと揃えられ...クレオパトラみたいかなぁ...

 民族衣装のお陰で体型はよく分からないが、先ず下着を言及してくるあたり、曲者だな...


「街では見掛けない顔だから森の向こう側から来たんだね...可哀想に。

 で、ここには?」


 目線はリチャードさんに。


「金も持ってないらしいし、服もこの有様だ。

 服と当面の寝泊まり、働き口を紹介してやってくれないか?」


「それは構わないけど。

 良いの?身分証が無いと本当は斡旋出来ないんだけど」


「こいつの体、よく見てみろよ」


 アウリさんはマジマジと俺の体を見る。


 「細マッチョね。好きなタイプよ」


 アウリさんは、曲者ではなく肉食らしい...


「馬鹿、そんなんじゃねえよ。

 服はこんなんだけどな、血の一滴、傷一つ無いんだよ」


 そりゃ、走っただけですもん...心の中で呟く。


 アウリさんは目を見開いて俺を見る

「本当だ...ちょっと凄いじゃないっ‼」


 ...まぁ、目線はトランクスだったし?

 気付かないのも無理はない。


「どういう状況だったかは分からないが、無傷で出てきた事には変わりない。

 そんな男が何も出来ない訳ないだろう」


「それもそうね。良いわ。

 リチャードさんと私の名前で事情と推薦を書くとするわ」


「名前はヒジリだそうだ。宜しく頼む」

 と言って斡旋所を出ていく。

 リチャードさん、男前だわ...


「さて、改めまして...

 はじめまして、ジアンスロ職業斡旋所へようこそ‼」


「ジアンスロ?」


「あぁ、そっか。ここはジアンスロ王国。

 歩いてくる時に見えてた城がジアンスロ城ね。

 そのまま街の名前はジアンスロ」


「で、本当は身分を証明する何かを持ってないと仕事を紹介する事は出来ないけど、私とリチャードさんで保証するから大体の仕事は出来るわよ」


「ありがとうございます」

「礼はまだ早いわ。適正が無ければ仕事は紹介出来ないの」

「それもそうですね」

 と笑みで返す。


 アウリさんは済まなさそうな表情をして、カウンター下から台座付き直径30cm位の黒い玉石を出した。


 高価そうな石に見える。


「これはね、その人がどんな仕事に向いてるか分かる石。

 手を置いたら色が変わって、その色の示す職業リストがこれ。

 街の外から来た人には大体これを使って組合を紹介します。

 記憶喪失でも結果は関係ありません。

 魂の色が表されると言っても良いです」


リストには

「赤=戦士組合、ジアンスロ軍(レベル高)」

「青=魔術師組合、ジアンスロ軍(レベル高)」

「緑=農業組合、ジアンスロ軍(レベル高)」

「橙=職人組合、ジアンスロ軍(レベル高)」

「黄=商業組合、ジアンスロ軍(レベル高)」

「藍=接客業組合、ジアンスロ軍(レベル高)」

「紫=万事屋組合、ジアンスロ軍(レベル高)」


 何か凄いぞ。

 突っ込み所は有るけど俺の世界での就職先の参考になるな。


「因みに私は...」

 とアウリさんは玉石に両手を添えると右半分と左半分で二色となり、赤と青だった。


「二つの職業に優位性が有って、魔法剣士って所」


「なのに斡旋所で仕事を?」


「本当は軍人よ。

 この仕事は有益な人間が見つかったらジアンスロ城で登用する為の...まぁ、一つの任務」

 と言って両手を離す。直後に色は元の黒色に戻る。

 ジアンスロ軍(レベル高)の意味はそれね...


「レベル高ってのはどうやったら分かるんですか?」


「また後でそのテストもするから、先ずはこの石に片手を置いてみて」


 言われた通り、片手を置いてみる。

 玉石の色は...白?漂白された様に真っ白となった。


「あら?あら?あら?手を離してみて」


 手を離してみると黒色に戻る。


「今度は両方の手を添えてみて」


 今度は両方の手を添えてみる。

 玉石の色は...というか白金に輝く...


「ん?この石って壊れるものなの?」



 ...俺に聞かないで...



「ちょちょちょ?両手を離して。私がもう一度」

 玉石の色は赤と青の二色。

 手を離すと黒色に。


「もう一度、両手を左右から挟む感じで付けてみて」

 挟んだらどうなるのかな?


 挟んだ瞬間、辺りは眩いばかりの光に包まれる。

 やべっ‼慌てて、玉から手を離す。


 アウリさんは目を皿のようにして俺を見ている。

「ヒジリさん、一瞬光っ...まっ...良いか...」


 何が良いのか良く分からないが、掘り下げても良くないだろう。


 ここはスルーで。藪蛇は突付いちゃダメなのだ。


「この書類に嘘は書けないから、白金(発光)としておく。

 まぁ、初めて見る色だから適性職業に関してはよく分からないわね...」


 書き終わったかと思うともう一度両手を乗せて二色を確認する。

 何度見ても、結果は同じ赤と青。

 不可解そうな顔で首を傾げカウンターの下に玉石を戻す。


 上半身を上げて出てきたかと思うと今度はコックリさん?的な文字が書かれたボードと穴の空いた片手大の大きさの木の板を取り出す。

 その一式からは歴史を感じる重みが伝わってくる。


「ヒジリさん、自動書記って覚えてる?」

 本当は知ってはいるんだけど...


「いえ、覚えてません」


「じゃあ説明するよ。

 これは質問者の答えを守護霊が答えてくれる道具よ」


 霊っていう存在がものすごく受け入れられてる世界なんだなぁ...


「さっき選ばれた組合の中で最も適した具体的な職業を教えてくれるの」


「えっと、誰が?」


「ヒジリさんの守護霊が」


 そこまで守護霊に頼って良いのか?...


 と、突っ込みたくもなりつつ、俺の守護霊って誰なんだろう?

 アリエル様が言っていた神側のお母さんとか?あっ、それじゃ守護神か...

 じゃあ、おじいちゃんとか?顔も見た事無いけど。

 誰が来てくれるのか、凄い楽しみになってきた。


「いでよ、ヒジリの守護霊よ...

 おいで頂きましたら【はい】の所へ」


 あれ?木の板に手を置いたりとかしないの?

 と思っていたら勝手に動き出す。

 うん、念動力でも出来る気がするが、ここはそんな事を突っ込んでは駄目なシーンだな...


【はい】の所へ止まるとエリザさんは質問を初める。

「貴方の名前を教えてください」



『...ひ、(スーッ)み(スーッ)つ(ピタッ)』



 アウリさんの顔が引き攣る...

 実は念動力で?...

 なんてね。力が行使されてるかどうかは今となってはすぐ分かるし。

 板を動かしてるのはアウリさんでも俺でもない。


「教えてもらえないなんて初めてなのよ‼本当よ⁉

 私が動かしてる訳じゃないのよ‼...」


 かなり狼狽(ろうばい)している。

 仕方が無い。ここはフォローしとこう。


「きっと俺の守護霊は恥ずかしがり屋なんですよ」

「それにしても、普通は教えてくれる筈なんだけど...」


 ...書類の守護霊名は『秘密』と書かれた。


 ...名前を隠す守護霊も珍しいな。

 普通は「ワシはお前の曽祖父で名は〜という」とか、まず血脈や名前を説明するだろうに。

 ガチだと違うとか?


「では気を取り直して...」


「ヒジリさんの特技は何でしょう?」


 俺の特技って何だ?一緒に考えてみる。


 昔は平凡だったし...やっぱり、最近覚えた神威かなぁ。

 でも『しんい』とはならないだろうなぁ、なんて思っていると...


『せ、か、い、の、きゅ、う、さ、い』


 ...それ、特技って言う?


「え?世界の救済?

 そんな特技普通は無いわよね?ね?」


 そりゃ、アウリさんもあせるわな...


「安心してください。俺もそう思います」


 ...特技欄には『世界の救済』


 えっ?それ書いちゃうんだ...


「少し自棄(やけ)になってません?」

「大丈夫です。きっと貴方の仕事を見つけてみせます...」

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