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平凡を超えた超越者  作者: 髭猫
第一章 異能の目覚め
13/54

第13話 掛け替えの無い一時

お読み下さりありがとうございます。

改稿1:なるべく読みやすく改稿してみました。

   あくまでもなるべくです。

   内容は変えておりません。(21年1月29日)

「あの日の事をご存知なんですかっ⁉」


『まぁ、落ち着いて。

 現状から説明すると、ご家族の体は神界で預っています。

 色々とあって放っておけなかったので』


 え?体は?って事は...

 俺は拳を握り締め、涙が溢れるのを堪える。


 まさか?...


『ここからは順を追って説明しましょう』


 皆、沈痛な面持ちになっている...


『では...

 まず、あの場に居たのはご家族だけではなく賢さん、貴方も居ました』


 その瞬間、忘れていた今日見た夢が鮮明に思い出される...



 皆が俺を庇って、そして...



 やっぱり夢ではなくて現実だったんだ...



 家族は俺が殺した様なものだ...



『事故の現場は確認されたでしょう?

 不自然なまでに破壊の痕跡が有ったはずです。

 襲ったのはヤマタノオロチ。

 スサノオノミコトさんが退治してますが、何者かの手引きにより数百年前に死の軛から逃れ、復活。当時より質が悪くなっていた為、滅殺する事ができず、封印され、その管理を聖一族が担っていました。

 あの日邪龍はその封印を破ったのです』


 ...伝説の化物じゃないか...


『封印を破ったヤマタノオロチは聖一家を襲撃したのです。

 再度封印されるのを恐れたのでしょう』


 夢の中では放り出された後だった様だけど、俺もその車に乗ってたんだな...


『丁度その頃、私は賢さんの"神側のお母さん"と一緒にお茶してて危機を感じたの。

 直ぐに現場近くの森に住んでいた妖精族に抑えの指示をしたわ。

 その部隊を指揮していたのがルーティア。

 私達も出撃の準備を始めたわ』


 ...ルーティアさんは、俺の拳の上にそっと手を添えてくれた。

 俺だけがルーティアさんに助けられた?


『しかし、ルーティアが駆けつけた時には車は谷底へ落下した後で...

 まさに皆さんが襲われている最中だったの』


 夢の中で聞こえてきた家族の言葉が甦る...



 胸が...苦しい...締め付けられる...



『ここで、本来有り得ない事が起こったの。

 当時、賢さんの力は解放されていなかった。

 分御霊(わけみたま)と人魂との融合が不完全だったのです。

 時が満ちておらず神力を発揮する事ができない筈だった。

 家族を失う事への危機感、自己防衛本能から不完全でコントロールが出来ないまま能力を解放した...

 としか考えられない...

 人って時折奇跡を起こすから目が離せないのよね』


 ...まさか...俺?が...



 俺が何かしたのか?...



 ヤバい、意識が白濁しかかってきた...



『発動された神威は転移。

 脅威を感じて相手が居なくなれば良いと念じたのね。

 賢さんは神力解放を機に気を失い、コントロールを外れた不安定な力は暴走し、その領域内に居たヤマタノオロチと同時に聖一家も異世界に転移させた』


 静寂が辺りを包む...


「異世界に転移...そんな事が可能なんですか?

 というか異世界って実在してるんですね...」


 蒼さんが、頭真っ白気味の俺の代わりに聞いてくれた。


『賢さんは故あって様々な神々の力を使える稀有な存在。

 様々って所が凄いんだけどね。

 但し半無意識下での発動だったので少々問題が発生したの。

 ヤマタノオロチは図らずも魔界に転移され、今は魔界で生きてるわ。

 殺した時のこの世界への被害を考えれば最善の手ね。

 因みに魔界ってのは神界と属性が真反対の世界と思ってくれて良いわ』


 じゃあ、家族も魔界に送ってしまった?


 でも体は神界?


「家族の体が神界に有るのは?

 ...僕...が...殺してしまった...のでしょうか?...」


『それは正確ではないわね。

 輪廻って知ってる?』


「生まれ変わるっていう程度なら...」


『生き物はその生を終えた時、生きている間の生き様を業で判断されるの。

 そして、その業に従って適切な世界に振り分けられる...

 ()()()()()()()()()()()()無限の世界にね』


「体だけ?が神界に有るって事は?」

体っていう言い回しがさっきから気になる...


『神界には私が移送したの。

 体ってのは単なる器と考えてもいいわ。

 魂有っての器。異世界とは魂のみが行き来出来るの。

 ヤマタノオロチは半実体の存在となっていたから、そのまま転移させれたけれど、ご家族は魂だけが転移されて器だけが残された。

 亡くなる寸前だったから、ある意味ファインプレーね。

 今度の世界からこちらへ帰って来れる可能性を考えて、神界で保管するって事にしたのよ。

 この世界では腐ってしまうから。

 特別サービスよ。

 本来、現世には深く関わっちゃいけないから』


 何とも優しい笑顔だろうか...

 俺の意識が安心感で満たされていく...

 と、聞いておかなくちゃ...


「ご迷惑をお掛けしてすみませんでした。

 帰って来たら元の体に戻れるんでしょうか?」


『その辺は保証するわ。

 神や悪魔って魂の扱いが出来てなんぼよ。

 という事は...

 賢さんでもゆくゆくは出来る様になるって事ね。

 ただ、そういうのを仕事としてる神様も居るから、使用は控えて貰うけどね』


 所在が明らかとなり、希望が見えてきた。

 後もう少し聞いておきたい。


「帰って来る方法は有るんですか?」


『方法は二つ有るわね。

 一つが転移先の世界で生を全うした時点でこちらに連れてくる事。

 もう一つが今回のケースと同じ様に強制的にこの世界に転移させる事。

 ...どちらも酷な話にはなるけどね』


「酷とは一体どんな状態でしょうか?」

 蒼さんの言葉にも力が乗る。


『酷な話ってのはね...

 まず生を全うした場合だけど、その世界のどの様な生物を器としたかでかなり違ってくるわね。

 場合によっては1000年以上とか...』


 つまりは、いくら待っても会えない可能性も有るって事か...


『神も万能じゃないから、無限に有る世界から一つの魂の所在、器の形を探し出す事は出来ないのよ。

 賢さんなら家族の縁でその世界に転移出来るとは思うけど...

 100%では無い...かな。

 神を望む世界に引き寄せられる事も有るし...』


 しかも、転移先を失敗する可能性も有り...

 そもそも神様ではないのでは?...


『その世界に転移しても探し出すのに一苦労するわ。

 魂を視れる様になっておかないとね...

 何でもない魂を視るのって神様を見るより大変よ。

 例えるなら...アリさんの区別を付ける感じ?』


 ...その例えはいくら何でも。

 ...でも、何となくは大変なのは分かる...かな?


『見つかったとしても、その世界で家族や仲間が出来ていた場合。

 やっぱりその縁を断ち切ってしまうのが一番酷かな?

 転移した世界の状況次第だけど...』


 ...それは思い付かなかった...

 強引にこの世界に転移させてしまったら、異世界での縁者は自分と同じ境遇となってしまうのか...


 どうする?どうすれば良い?何が最善?...

 いや、答えは決まってるよね...

 どういう状況か分からないまま、尻込みする道理は無い...


「すみません。やっぱり探しに行きたいです」


『でしょうねぇ』

 アリエル様は柔らかい笑顔で返してくれる。


『ちょっとそっち系の神様と話すわね』

 アリエル様がふっと両眼を閉じる。


『聞いてました?...だそうですよ...はい、じゃあ後は願いします』



 聞いてるのか~い‼


 って軽く突っ込みを入れつつ、早く探しに行きたい衝動に()られる。


『さて、準備は出来たけど...

 すぐにでも行きたそうね』

 苦笑しつつ見てくる。


「やっぱり、無理ですか?」


『一人ってのは、少々心許ないわねぇ』

 心配して頂いて有難いけど、少々過保護?

 ...いや、有り難いんだけどね。


『賢様なら大丈夫でしょう。

 余程の世界でない限り我ら四神も顕現して頂けるでしょうし』


 これまで見守っていた四神が声を揃えて太鼓判を押してくれる。


 世界はそんなに危険に満ちているの?


『まぁ、そうなんだけどねぇ。

 神の声が届かない世界だって有るのよ?

 心配にもなるわ』


「「「「

 私達も転移は出来ないでしょうか?

 微力ながらお助けしたく...

」」」」


 蒼(あおい)さん、(あきら)さん、(はるか)さん、(あけみ)さん...ありがとう...


『主らでは、微力どころか足枷になる事確定だ。

 これからお供出来る様に特訓するぞ。

 なに、我らと同化出来る様になれば召喚時にお助け出来る様になる』


 白虎...人と神獣と同化ってどんだけ修行すれば出来るの?

 と思っていると...


『『

 全く、相変わらず白虎は脳筋。

 どれだけ大変か分かってるのか。

 過去一人も居ないよ?

 武器化さえ出来た人も居ないのに...』』


 玄武が白虎に突っ込みを入れるが、ちょっと待って...

 今聞き捨てならない事を言った様な...


『どうせ今付いて行っても死ぬだけと言うのも正解だ。

 しかし、事の拙速さを考えると、厳しい修行も必要...

 青龍はどう思う?』


 朱雀が青龍に話を振る。

 意外と皆仲良しなんだなぁ...


『小奴らの力量では死を覚悟せねばなるまい。

 主ら、命を賭す覚悟は有るか?

 諦める道も在るのだぞ。

 賢様に害を及ぼせる存在はそういない。

 諦めても誰も責めない』


 ごくり...青龍の言葉に皆が喉を鳴らす。

 ...皆が互いに見つめ合いながら頷く。

 皆が俺の方に一斉に向き直し、


「我らが聖一族分家衆は...」朱さんが切り出し、


「聖家積年の大恩に報いる為...」玄さんが二の句を継ぎ、


「本家守護の任を命とし...」白さんが三の句で繋げ、


「その一身を捧ぐ」蒼さんが結ぶ...



「「「「

 今、賭さずしてその命を守れようか

    」」」」


「分家に伝わる唯一無二の家訓でございます。

 直ぐにはお力になれないかもしれません。

 ですが、我らもお力添えできる様、この世界で精進致します」


 皆が頭を下げつつ、蒼さんが代表して言ってくれる...

 目頭が熱くなった...でもね...


「皆の気持ちはこの目を見てくれたら分かる通り、凄く嬉しい。

 だけどね...

 その意気だけで十分だから命を賭けるとかそんな悲しくなる事は言わないで。

 俺も頑張るから、皆も頑張ろう‼」


「「「「はいっ‼」」」」


『ても力量からいって...

 呼び出して貰った時は必ず命を賭ける事にはなるだろうけどな』

 青龍さんは現実派なんだな...


「「「「

 ......ですよね〜

    」」」」


「大丈夫。

 さっき武器化ってのも聞きましたから、そっちの路線でも呼び出せたら呼び出させて頂いて、お力をお貸しください。

 転移先の世界次第なのでしょうが...」

 俺が四神にお願いをしていると


『当面は四神の皆様にサポートしてもらう形で納得するわ。

 ティアは賢さんの相談役で異世界とでも話し相手になってあげてね』


『やっぱり付いて行けないですわねぇ〜』


『あなたは付いて行くとこっちの世界で色々と問題よ。

 そこは諦めて』


『しかし、異世界でも賢さんはもてますよ?オーラ出てますから』


『それは仕方無いわね。

 あの神様がこの現状を許容している時点で、それを望んでいる節もあるし』


『なら、仕方無いですわね』


「あの、すみません...何か話が進んでますが...」

 堪らず俺がアリエル様とティアさんに話し掛ける。


『あぁ、ゴメンナサイね、こちらの話で。

 ティアとは遠隔で話せるかしら?』


「昨日からずっと一緒だったので

 『「「「「ずっと⁉」」」」』」

 俺とティアさんの顔を交互に見ながら皆の声が被る。

 何ならアリエル様まで...


「いや、そのなんて言うか...

 本当に色々と教えて貰っていましたから...

 『「「「「色々と⁉」」」」』」


「あ〜...ティアさんからも何かを...」


『えぇ、昨日はなかなか寝させてもらえませんでしたわ』


 なんてあくどい笑みだ...酷すぎる。

 ...皆が俺にジト目を...


「ティアさん、ヒドイです...」

 さっきとは違う涙が出てきた...


『ふふ、からかうのは終わりにしましょうか。

 賢さんはやっぱり前向きに真面目な方ですから、【神の導き】をずっとこなしてましたわ。

 だからこその今です。

 アリエル様もお呼び出来たのですよ。

 もう、世界が異なっていても話はできますわね』


『試してなくても分かるの?』


『ええ、【第三の導き】もされましたから問題は何も』


...第三の導き?って何したのかな?俺が?


『駅での事ですわ』


 あぁ、何か運命に逆らっちゃう?的な判断ね...

 あの時は咄嗟だったからなぁ...


『そう、じゃあ安心ね。いつから探しに行きたい?』


「今からでも、と言いたい所ですが...」

 チラリと皆の顔を見渡して、


「そうですね、明日の朝からにします。

 今日は皆で楽しく晩御飯を頂きたいです。

 僕や僕の家族を想っていてくれる第二の家族と」


「アリエル様や四神の皆様、ティアさんも食べられる様な物は有るかな?」


 玄さんに聞いてみると「有りますよ」なんて言葉が返ってくる。

 某ドラマを彷彿させた返答だ。

 このカオスな空間は何とも暖かくて、存外に気持が良いなぁ...


 それから、皆で楽しく食事をした。

 種族の垣根を越えて。

 俺にとっては間違いなく掛け替えの無い一時だった。



あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致しますm(_ _)m

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