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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第2章「般若レディと優雅な目標(仮題)」
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第99話「話す暇があるなら攻撃をする」

 トラゴンが第二形態になろうとしている最中、私は冷静になろうと心を静めてい

く。ブッチ達が援護に来たのは運が良かったことだが、本当は私達だけでこいつを

仕留めなければいけなかったはずだ。つまり、この状態は甘えでもある。


 助けてもらったということは、私は、弱者であるということだ。これは情けない

ことだ。勝算があるからこそ挑んだのに簡単に追い詰められたというのは見通しが

ないまま闇雲に突っ込んだだけだったのだから。


 なぜブッチ達がここまで来られたのかは分からないが、それは後回しにする。ま

ずトラゴンを倒すことを考えないといけない。こいつを倒す方法は、ある。だが私

はそれを最後の手段としていたのでしなかった。それこそ正に手抜きだ。


 それを今、この場面でもやることはできない。が、それをやるべき機会を伺って

いる状態だ。というか私がやらなきゃ多分トラゴンは倒せない。


 ブッチが本気をだしていないなんて言ってるのは正直ハッタリだと思っている。

もしかしたら策があるのかもしれないが、全力が出せるならさっさと出していると

思っているので、多分今の状態が限界だろう。

 

「ねっこちゃん。何かしようとしているね?」

「表情を読むなっての。まあね。」


 般若レディって表情が顔にでるような感じがしないと思うんだけれど、そういう

のをブッチは分かるようだ。


「とりあえず、ブッチ以外は部屋の端まで移動! 扉から出られそうだったら出る!

距離をとれ!」


「ねこますサマ!? ナゼデス!?」

「いいから! これが作戦!」


 たけのこにも久々に会えたのに遠ざけるのは嫌だったが、ここでやるっきゃない

んだ。トラゴンを足止めできそうなのは、ブッチだけだと思うし、かなり危険な賭

けになるので巻き込むわけにはいかない。他のみんなにも、早く遠くへ行くように

促す。


「グアァァァァァア!」

「ああいう雄叫びって傍から見ると、下痢で苦しんでいる人そのものだよね。」

「ギャンブルで失敗した人の叫びの方だと思うがな。」


 ここでツッコミをいれないように一応合わせておく。ここは真面目にやらないと

失敗してしまうところだ。あまり気負いし過ぎないようにとのブッチなりの配慮だ

というのは分かるが、こんなタイミングでそれはないだろう。


「待たせたなァ。」

 トラゴンがついに第二形態のようなものになったようだ。全身が赤黒くなってお

り背中には翼が生えていた。猫と竜が合体したような感じだ。確かに強そうと言え

ば強そうだ。


「では殺し合いをするとしよう!」


 その時が最後のチャンスだと私は思った。戦いが始まる直前、そのタイミングを

見計らっていた。ここで私はアイテムインベントリからリュック取り出した。ここ

だ。これしかない。絶対に誰もが思いつくけどやらないのがおかしいと思っていた

ことがある。


 敵が話をしている最中とか、なんか偉そうな事言ってふんぞり返っている時とか

にどうして攻撃をしないのかなあと。ボスなんかも変身した後は、大体貴様らはこ

れで終わりだとか、あの世に送るとかそういう台詞をほぼ必ず言うので、いやその

時攻撃しろよとゲームをプレイしていてよく思ったものだ。


だから、私はここで攻撃をすると決めていた。過去には、電撃蜂と戦った時にやろ

うとしていた攻撃。あの時は使うことがなかったけれど、今ここならいいだろう。


私は戦いの前に、リュックの中に、ありったけの火薬草を詰め込んだ。無理矢理押

しこみまくったのでかなりの数が中に入っている。こんなものを背負ったまま戦う

のはできないと判断した。暴発したらみんなやられるわけだし。


 この数の火薬草の威力がどれだけのものになるのかは分からない。だが、大爆発

を起こすのは確実だ。もしかしたらこの塔自体が崩れてしまうかもしれない威力を

出すかもしれない。それだけの威力を秘めているはずだ。

 

 チャンスは1回きりだった。絶対に外すわけにはいかないし。みんなを巻き添え

にしてしまうかもしれないのだから、おいそれと使うわけにはいかなかった。それ

を今、このタイミングで、私は何も言わずに、トラゴンに投げつける。

 

「ブッチ!」


 これだけで逃げる合図というのが分かっただろう。トラゴンは投げつけられたリ

ュックをかわす様子はなかった。いや、かわそうと思わなかっただろうし、戦いが

始まってすぐに、取るに足らない私のような奴の攻撃なんて、無警戒だっただろう。


 ブッチと戦うことに集中していた。だからそんな物など気にも留めていなかった。


「狂戦士!」


 私とブッチは物凄い勢いで走り出した。狂戦士をここで使い加速する。ここから

発生する大爆発から逃げ切れる自信などなかった。それでも距離をとればなんとか

なるだろうという予想はしていた。


 トラゴンは必ず衝撃を吸収すると踏んだからだ。ゲームでは、魔法を敵全体に使

うと単体に使うよりも威力が下がるというものがある。つまりこの場合、トラゴン

に使うことで、私達に来るダメージが幾分か抑えられるのではないかというものだ。


そんな結果になるかどうかなんて分からないがやってみるしかなかった。

 

狂戦士を使って必死に、全力で逃げる。逃げ続ける。逃げて逃げて逃げて。


トラゴンの体に、リュックがぶつかる。それと同時に──。

塔内で大爆発が起きた。

貴様らはここで終わりだ!とか言うのに大体3秒くらいかかると思うんですが

その3秒あったら攻撃できるじゃないですかと今まで何度も思ったことです。

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