第9話「馬の骨」
私は、しまうまにぶっ飛ばされて倒れているたけのこに駆け寄った。
「たけのこ!大丈夫!?」
「ねこますサマ・・・タスカッテヨカッタ」
「私はいいから!大丈夫なの!?」
「ハイ。チメイショウハサケマシタ。」
よ、良かったぁ。これでたけのこがやられちゃっていたら最悪だったよ。
私はやられても復活するだろうけど、たけのこが復活できるかは分からないし。
あーもうやっぱり一時の感情に身を任せるのはだめだな。
まあ勝てたのは良かったんだけどね。
「たけのこ、ごめんね。あとかばってくれてありがとう」
「イエ、トンデモゴザイマセン。オヤクニタテズニモウシワケゴザイマセンデシタ」
「いいのいいの!助かったんだから!さてと、それじゃあほら」
そういって私はたけのこに背中を向ける。あいにく薬草が尽きてしまっているので
たけのこの回復ができない。そのためには、草原に戻って補給しないといけないけど
たけのこは歩けそうにないしおんぶしていかないとね。
「ね、ねこますサマ!ソコマデシテイタダカナクテモ!」
「いいってのいいっての!ほら!薬草とりにいくだけだから」
「イイエ!コノママデハアノウマノシガイガアラサレテシマイマス!」
あ、そっちか。そういえばあのしまうまから何も手に入れてなかったっけ。
確かにただ、倒して終わりってだけじゃだめだよね。
「わかったよ。とりあえずまずはウマのところまでおんぶ!!いいね!」
「ムゥ・・。アリガトウゴザイマス。」
おおっ。もっふもっふが背中にあたる、狼ってあったかいんだな。もっふもっふ。
おぶったたけのこはあまり重く感じられなかった。もしや般若レディって結構力が
あるのではないのだろうか。それとも、VRだしそういう重さについては感じないようになっているのかな。
そんなこんな考えているうちにしまうまの前まで戻ってきた。
何かあるってわけじゃないよね。
「ねこますサマ。サァタベマショウ!!」
「ほげ!?」
え!?何?シマウマって食えるの!?
っていうか!っていうか!やっぱり生食なわけ!ねぇまじで!?
こんな森の奥で馬刺しを食うとか!絶対やばいっての!
「た、たけのこ食べる元気はある?」
「タベラレマスガ、ねこますサマ!オサキニドウゾ!」
「いやいや!たけのこ先に食べていいよ!」
やはり生肉を率先して食べるのは気が引ける。
というか、たけのこは食べる元気はあるのかい。流石だな。
「デ、デハシツレイシマス」
たけのこがしまうまの肉を噛みちぎる。美味しそうに噛みしめている。
「お、ウォオオオオ!」
あれ?たけのこ回復している!?
まさか!このしまうまが薬草を飲みこんでいたから!?
ってかこの口と鼻に詰まった薬草は回収できるのか?
いやでもしたくない!断じてしたくない!やだやだ!だって私はレディだもの!
・・・・般若レディだけどな!
「ねこますサマモタベテクダサイ!チカラガアフレマスヨ!!」
「んんん。じゃ覚悟を決めて食べてみるかあ!」
黒豚に引き続いて、しまうまも生食かよぅううう!
んでね、今更だけどどうして黒豚とかが食えたかっていうと
牙が生えているんだよね!私!これがまた結構鋭くて肉をあっさりと噛みちぎれるの。
もう生食特化型って感じだよ。勘弁してくれと言いたくなる。
「いただきます・・・!」
しまうまの肉を口にする。やはりあっさり噛みちぎれた。咀嚼!咀嚼!
「ウマァァァアアアアアイ!シマウマだけに!」
語彙力ねぇな私。ただ味は絶頂だった。あとやっぱり私も回復したようだ。
良かったね。
それからたけのこと一緒にしまうまを丸ごと平らげてしまった。
なんかこれに慣れていきそうな自分が怖い。
残ったのはしまうまの骨だけになった。
メッセージ:ソルジャーゼブラの骨杖を手に入れました。
な、なんだこれは。シマウマの骨の杖か。
こいつソルジャーゼブラなんて名前だったのか。安直なネーミングだなおい。
杖の上部がシマウマの頭蓋骨を象っている。
特殊能力でもありそうな見た目だけどよくわからない。
ちょっと持ってみる。
般若レディ。服はジャージ。右手に鎌。左手にソルジャーゼブラの杖。
そういえば靴も履いているんだけど普通のスニーカー。
この見た目って他のプレイヤーにあったらいきなり攻撃とかされないよね?
大丈夫だよね?般若レディトモダチとか言ったらみんな仲良くしてくれるよね?
「さてと、記念品も手に入れたこと」
「ハイ」
「薬草マラソンに行くとしようか・・・。」
「・・・・・・ハイ」
失った薬草は800個。得たものはどこのものかもよくわからん馬の骨。
いやシマウマの骨。
私達は取り戻さなければいけない、そう、薬草800個を。
ちなみにこの小説はノリで書いています。