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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第2章「般若レディと優雅な目標(仮題)」
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第88話「フレンド」

「て、てこずらせやがって」

 私はそう毒づいた。もうちょっと楽に倒せると思ったらこれだ。このゲーム、追

い詰められると強化されるモンスターが多すぎないか。やっとこさ倒したけれども

うへとへとだ。ここからまた新しい敵がでてたらきつすぎる。余力が残っていない。


「マスター! ご無事でしたか!」

「チウ~!」

 くろごまとねずおが私に近づいてくる。だが手を前にだしストップをかけた。


「こういう時こそ警戒しないとだよ。」

「む。そうですな・・・。」

 大団円を迎えた瞬間の隙を狙われるなんてよくある話なんだよ。


「ねこますさん。薬草を食べたほうがいいのでは。」

「あ~。さっき食べたんだけど、多分狂戦士、の効果で最大まで回復しないみたい

な状態にでもなっていると思う。」


 効果時間はおよそ5分くらいで、通常の2倍以上の力を発揮できるが、興奮状態に

なって視野が狭くなる。そんでもって、効果が切れると疲労で弱ってしばらくの間

弱体化してしまうってところかなあ。

 

 最後に鎌をぶん投げたのもやぶれかぶれだったしなあ。

「そんな状態でよく戦いましたね。」

「マスターは、いざと言う時はすごいですから。」


 おい。それじゃあいつもはだらしないみたいな感じじゃないか。ああ待て待て。

だからそういうおちゃらけは、完全に安全が確保できてからにしよう。


「あいつは、どうなったのかなぁーっと。お。」


見ると、真っ黒焦げになった蟷螂の体が、崩れ去り、完全に灰となった。というこ

とは、ここからだ。ここから二匹目が出てくるかもしれないぞ。


「完全に終わったと思います。扉が開いてますし。」

 ん? おお。本当だ。扉が開いているぞってこれは罠かもしれないぞ。もう倒し

たから帰ろうって思って背を向けた瞬間に攻撃されるかもしれない。出る時は絶対

に背を向けないようにしないとだ。


「第一ご主人は、警戒しすぎだチウ。」

「ねずお。それは違う。世の中には人が喜んでいる時に虎視眈々と邪悪なことを考

えている輩が沢山いるんだよ。」

「ねこますさんってば。なんだか悪役の考えが読めるみたいですね。」

「ふっ。沢山ゲームをやってきたからね。今までどれだけ苦しめられてきたと思っ

ているんだああああ。」


「マスター。それはそうと、蟷螂の奴めが宝箱を落としました。ここはぜひともマ

スターに開けていただきたいのですが。」


何だと。私が開けていいのか? そうか。私もとどめを刺したことだし、これくら

いご褒美があってもいいよね。うんうん。大変だったこの蟷螂。ねずおも足を噛み

千切ってくれたりとかやったけどさあ。私も辛かったんだよ。


「よーし、そこまでいうならあけてやろうじゃないか!」

 何だか急に元気がでてきたぞ。すっごいお宝でも手に入るんじゃないだろうか。

これは期待できそうだ。私は、急いで宝箱まで向かう。ふふふ。いいものこい!


「じゃあ開けるよ!」

「はい! お願いします!」

エリーちゃんが笑顔で応援してくれた。くろごまとねずおもにこやかだった。


「いい物こおおおおい!」

宝箱を開けると、細い糸のようなものが出てきた。なんだこれ、見覚えがあるけど。


メッセージ:マンティスパイダーの触角を手に入れました。


 え、触角? あの蟷螂のか? 私般若レディだから既に角はあるんだけど、これ

装備できるのか。あまり装備したい代物ではないんだが。


メッセージ:マンティスパイダーの触角を装備したことにより、スキル「気配感知」

を使えるようになりました。


 はいそうですか。うぐぐぐぐぐ。またへんてこりんなものがきちゃったよ! も

っとかわいいもんでもきてよ! スキルはいいもんだけど、これはないでしょう!

ああもう、ここまできてぐだぐだして!


 みんな笑ってるよ! ああなんだかなーもう。


「第一ご主人。これ持ってきたチウ。」

 ねずおが私の鎌を持ってきてくれた。これでとどめを刺したんだもんなあ。受け取

ると、鎌が光りだした。


メッセージ:武器「鎌」の強化が可能です。実行しますか?


 おお、確か前にもこんなメッセージが出てきたっけな。まあ今回もNOに決まってい

る。そう簡単に強化はしないぞ。


メッセージ:武器「鎌」の強化をキャンセルしました。

メッセージ:武器「鎌」はマンティスパイダーを倒したことによりスキル「真空波」が

追加されました。


え。な、なんだって!? まじかよ。あの技が使えるようになったら、これは!!


「ね、ねえ! 鎌が強化されて真空波が使えるようになったよ!」

「おお! おめでとうございます!」

「ねこますさん良かったですね!」

「おめでとチウ~!」


 みんなが祝ってくれる。触角よりこっちのほうが何倍も嬉しい!

「これで、敵を容易く・・」

「うん! これで草刈りしまくって、薬草が沢山集められるようになるね!」

「は?」

「だから、薬草だよ薬草!!!」


 なんだみんな、ぽかーんとした表情をして。これで薬草集めが捗るんだぞ! こ

れこそ真空波を撃ちまくって草刈りをすれば、薬草がどんどん集まる。ふははは。

収集効率上昇だ。


「ねこますさんって、やっぱりちょっと変わってますね。」

「マスターはこうなんです。」

「何を言ってるか分からないけれど、そろそろ疲れたからここらで終わりたいんだ

けど。」


 もうくたくただ。危険がないならさっさとログアウトしたい。おっと、その前に

ドラゴンフルーツを置いておかないとな。くろごまとねずおの分だ。


「私達は一旦ここから消えるけれど、その間二人はこれでも食べててね。この部屋

から出たりしたらだめだよ。あ、ボスがでてきそうだったりしたらそうじゃないけ

ど。」


3日くらいでないんだっけ。そうじゃなかったときが怖いけれど、明日になったら

またログインするから大丈夫だと思いたい。とにかく今は思考が全然まとまらない

のでさっさとログアウトしたい。


「かしこまりました。」

「私も、ログアウトします。その前にねこますさん。フレンド登録しませんか?」


「え? 何その機能。」

「あの、そういう機能があるんですけど。」

「それってもしかして、離れていても通信ができるとか?」

「はい。そうですけど。私も使うのは初めてで。」


 うわー。そんなのあるならブッチと登録しておけばよかった。ブッチも知らなか

ったのははあれだけれど、今さらだなあ。


「ん。しようしよう!フレンド登録!」

「ありがとうございます! では早速!」

 というわけで、アノニマスターオンラインでの初めてのフレンドはエリーちゃん

になった。ブッチは、まあ再会したらだな。


何はともあれ今日は疲れた。あー私頑張った。そして楽しかった。


ネトゲで友達登録するんですが、なかなか声をかけられないのが私でした。

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