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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第2章「般若レディと優雅な目標(仮題)」
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第86話「蟷螂」

 ついにねずおは蜘蛛蟷螂の全ての足を食べきった。ついさっき仲間になったばか

りの奴がこのような成果を出すとは驚きだ。あの時私が仲間になることを拒否して

いたら、もっと苦戦していたかもしれない。


 強いというのは認めるしかないが、私の事は主人とは呼ばせないようにしようと

固く心に誓った。


「グギギギギ!」

 全ての足がなくなり、その場でただ鎌を振り回すだけの存在になりはてた蜘蛛蟷

螂。後は楽勝と思いきや、じたばたと暴れるので攻撃が上手く当てられない。ここ

まできて足掻くのはそういう本能の設定がされているからだろう。


「はっ! はっ!」

 くろごまは黒如意棒で何度も蜘蛛蟷螂を突く。攻撃回数としてはかなりのものな

のだが、蜘蛛蟷螂の物理攻撃への耐性は思いのほかあるようだ。


「ぺっぺっ。まずいチウ。」

 腹のあたりに噛みついたねずおだったが、それを食べた瞬間に吐き出した。どう

やら蟷螂の胴体はまずいようだ。ううむ。そうなると蜘蛛の足部分が美味しかった

というのが気になるな。おっと、こんなこと考えたら駄目だな。


「狐火!」

ひとまず攻撃を加えて弱らせることにした。が、次の瞬間。

「ギッ!!」

「なっ!?」

 私を思い切り睨みつけてくる蜘蛛蟷螂。そして金縛りにあってしまった。更にそこ

から真空波の追い打ちで吹き飛ばされた。更には──。


「グギャアアアアア! ヨクモヤッテクレタナアア!」


 しゃ、喋った!? というかこ、こいつ! 胴体から蟷螂の下半身が生えてきた。

今度は4本脚!蟷螂そのものになったじゃないか。くっおっ。ってかまずい。なん

か結構きつい。かなり危険だ。早く薬草を食べないとまずい。


「フザケヤガッテコノヤロー! ブッコロシテヤル!」

「そうはさせんぞ!」

 くろごまが、激昂しているように見えた。私がやられたことで火がついたのか。


「マスターをよくもやってくれたな。絶対に許さんぞ。」

「ダマレ! シネ!」


 高速で動き出す、蟷螂。鋭い鎌の一撃を、黒如意棒で受け止めるくろごま。鍔迫

り合いのような態勢になる。

「ザコガイイキニナルナ!」

「ほざけ! 三下のボス風情が!」


 おい、なんかカッコいいぞ。時代劇みたいだ。ってああもう早く薬草を。食べる。

食べる。とにかく食べる。んぎぃ。危ない所だった。油断はしないよって言ってこ

れだからなあ。毎度自分の抜けてると事が嫌になるな。


「ねこますさん! 大丈夫ですか!?」

 エリーちゃんが駆け寄ってきた。いやあ、大丈夫じゃないっす。

「うん! なんとかね! それより援護しないと・・・!」

 私は起き上がろうとするが、くらっと、その場にしゃがみ込んでしまった。なん

だか力が入らない。何かの状態異常か。


「ごめん。なんか状態異常っぽい。すぐ動けないや。というわけでこれ使って。」

「これは?」

「火薬石弾ってまぁ爆弾みたいなもん。魔法使うのもMPだか消費するでしょう?

これ、5個分渡すからあいつに当てて。火は結構効く気がするし。」


「わ、分かりました! ねこますさんはここで安心して休んでてください!」

「うっうん。まぁ動けるようになったらすぐ行くから。」

「大丈夫です! なんとかします!」


 エリーちゃんがどこか燃えているように見えた。うーん。でもなんか見た目的に

は可愛い系キャラなので、どこか気が抜けるなあ。だってあんな胸元とか露出して

いる人が戦いに真面目に参加してもなんかこうねえ?


 ゲームではよくあるけど、<アノニマスターオンライン>はVRのせいか現実感を

意識してしまう。戦いといったら頑丈な防具とか動きやすい服装が基本だからなん

だかね。

 

 でもまあ私もジャージでブッチなんて腹巻きと廻しだったけど。


「それにしても・・・。」

 蟷螂とくろごまの互角の戦いが続いている。驚くべきことは、ボス相手に互角に

戦っているくろごまだ。怒りで強くなっているのか分からないけどすごいな。それ

とも黒如意棒の力なのか? 本物の孫悟空みたいに見えてきたなあ。


「うう~。まだ駄目なのかあ。」

 よろよろになっている理由は、金縛りと真空波で、ダウンしたからだろうなあ。

格闘ゲームでいうピヨっている状態だ。コントローラーをガチャガチャすることで

早く復帰することができるけれど、そんなものはないし。


 早く戦いたいと思いながらも傍観するしかできずにもどかしい。しかしここでじ

っくり蟷螂の動きを観察することができるのも確かなのでどんなものなのか凝視す

る。

 背中の羽の部分が広がるときは、鎌の動きが大振りになるな。あと目が少しギョ

ロっとすると、防御の姿勢に入る。この2つは分かりやすい。って思っていたら


「おりゃああああああ!」

「グアアア! キサマアアアアアア! ブッコロス!」

「お前の動きは見切った!」


 ああうん。くろごまも見切っているみたい。うわーこれ私の出番ないまま終わる

ってことじゃない? うわむなしい。般若レディ最後に役に立てないで終わるとか

これはないわー。ってお!?


「えいっ!」

「グアアっ!? ナニィ!? コノ・・!」

火薬石弾を蟷螂の後ろから当てるエリーちゃんだった。やるなあ。


「チウッ!」

「グアッ!? マ、マタキサマカ! ネズミフゼイガアアアアアア!」

「美味しいチウ~!」

 ぎょっとして、蟷螂は思わず遠のいた。そりゃあね。6本脚を持っていかれたこと

に加えて新たな足も噛み砕かれたらびびるよね。というか3本脚になってまたしても

バランス崩しているな。


「ユルサンゾキサマラアアアア! シネエエエ!」

「なにっ!? ぐおおっ!」

 その場で回転し、蟷螂は竜巻に姿を変えた。げっ。絶対やばいヤツだろあれ。く

ろごまもねずおも吹き飛ばされた。エリーちゃんは、火薬石弾を投げつけ、爆発が

おきるがびくともしないようだ。


「きゃ、きゃあああああ!」

そのまま襲い掛かる竜巻でエリーちゃんは吹き飛ばされる。これは、絶体絶命という

わけか。いや、そうじゃないだろう私。まだ私がいるだろう。


「キサマラ、モウオワリダゾ。」

竜巻となった蟷螂がそう告げる。馬鹿な奴だ。まだ私がいるということを忘れている

な。


「さぁて、真打登場というわけでやったりますかねええええ!」

私は、立ち上がった。


「般若レディ舐めんなよ三下ああああああ!」

ヒューッ! こういうセリフを使えって挑発するって最高だな!

いつもブックマーク、評価等ありがとうございます!

次回は、本気になった般若レディです!

応援お願いいたします! 般若レディの応援をお願いします!


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