第84話「蟷螂?」
私達は、鉄の扉を開き、一斉に部屋の中に入った。直後に扉は閉じてしまった。
これは、余計なことをやっていたら部屋に入れなくなっていたオチだろうな。今回
に限ってはいつもの好奇心での行動を控えてよかった。
室内はぼんやりとした明るいが、どこか不穏な雰囲気が漂っている。なんだか血
生臭い気もするのだけれど、こういうボス部屋特有の現象なのだろうと推測した。
エリーちゃんがここで倒したモンスターの死などの影響かもしれないな。
「何か…来る!」
私達の前に、虹色の玉が現れた。獣の骨を投げつけてみたが、何も起こらなかっ
た。何か嫌なことが起こりそうなのに、先が読めない。
「グシャアアアアアアア!」
真後ろを振り向いたが、何もいない、ということはなかった。天井に1匹のモンス
ターが張り付いている!
モンスターは、下半身が蜘蛛のようで上半身が蟷螂だった。これはなんて呼べば
いいんだ? 蜘蛛蟷螂か、それとも蟷螂蜘蛛なのか、ええいもうどっちでもいい。
まずは先手必勝で火薬草を3個投げつけ、命中させた。
そして、投げつけた後は室内にこいつと同種などがいないか見回した。いない。
今のところはいないだけなのかは分からないので、他のモンスターが出てくる事を
意識しつつ、戦うことにする。
「ぐぐっ!?」
突然体の身動きがとれなくなる。蜘蛛の糸が絡みついているわけじゃないのにど
うしてなんだ。蜘蛛蟷螂の金縛り能力か何かか?
「伸びろ!黒如意棒!」
私が動けないことを察したくろごまが蜘蛛蟷螂に向かって、黒如意棒を伸ばして
ぶつけた。そのまま何度か伸びた黒如意棒を振り回すが、上半身にある鎌で防がれ
たようだ。
「ライトニングスピアー!」
「ギギギ!?」
無数の電撃の槍が、蜘蛛蟷螂に襲い掛かり、その衝撃により怯む。
「ん? お、動ける!」
というわけで私復帰。さっきまでの金縛りは、蜘蛛蟷螂の特殊能力か。何かが条
件になって発動したのだろうが、まだ分からない。
この部屋の天井の高さは約4メートル程度。そこに張り付いている蜘蛛蟷螂の大
きさは幅2メートル、高さ1メートルくらいだろうか。やばい。こいつなんていうか、
グロテスクだな。
この蜘蛛蟷螂、巨体のせいで気持ち悪さがすごい。というかなんでこんなモンス
ターがいるんだよ。
「シャアアアア!」
私に向かって鎌を振り回しながら飛び掛かってきた。何だこの野郎。私だって鎌使
いなんだぞおらあああ!
私の鎌と、蜘蛛蝙蝠の鎌が激しくぶつかり合った。いや、押し負けている!向こう
は飛び掛かってきての攻撃だから、やばい。きつい。うごごごご。
「狐火!」
「シギャアア!」
私が狐火を使ったと同時にこいつは白い糸を盾のようにして身を守った。鉄壁の
防御と言うわけかと思ったが違うだろう。こいつも何らかのエネルギーを使って白
い糸を生成しているはずだ。従って、ここで何度も何度も追いかけて行けば必ず倒
すことができるだろう。今4人だし
「シギャッ!ギャッ!」
「うわっ!?」
[むぐぅ!?]
「えっ!?」
蟷螂が一回転した瞬間に刃が飛んできた。これは、真空波か。これで私は壁まで
吹っ飛ばされた。そして薬草を一気に飲み込んだ。
「あぶないなあもう。こいつ。やってくれるね!」
「ファイアーボルト!」
エリーちゃんの魔法が発動し、炎の矢が蜘蛛蟷螂に向かって、飛来していく。機
敏な動きでそれらを回避するが、何本かは命中した。
「エリーちゃんいったん下がって!」
「はいっ!」
「私より前線に出たらダメ!私とくろごまは毒耐性があるけど、エリーちゃんには
ないよね?」
「はい。持ってないです。あっ、この蜘蛛に毒があるかもしれないってことです
ね。」
「そうー! 毒は危険なので私とくろごまを前線にするから、援護をお願い!」
うう。それにしても戦いにくい。こいつ一匹を倒すだけならなんとかなりそうな
んだけれど、複数体いた場合はまずい気がしている。連戦についても視野に入れな
がら戦わないとな。
「くらえっっての!」
私は、右手に鎌、左手に薬草を持って戦っている。薬草はアイテムインベントリか
らとりだしたらすぐに口の中に含んでいく。
「ギギギギギ!」
「おっと!さっきの金縛りはしないのか!? 何か条件があるんだろ!」
こちらの言葉が分かるはずはないだろうが、とりあえず挑発だけしてみる。
実のところ今の私ははこいつと鎌で戦いあうのが楽しくてたまらない。鎌で戦う
ことが少なめになっているが、こいつとは対決ができているので楽しくてたまらな
い。
今はまるで、鎌使いの特訓をしているかのようだ。蜘蛛蟷螂の動き方を真似して
戦い方を学習して、鎌の扱い方が一歩前に進めそうだ。
「ギギギギギギ!」
んぐっ。また金縛りか。やべえな。なんでこうなるのか理由がまだ分からない。た
だ最初に使われた時から10分くらいはたっているのでそれがもう1回使えるように
なるまでの目安何だろう。
大事な場面で使われないように、先に使わせておきたいな。こちらの動きを完全
に止めることができるのは有利過ぎるだろう。金縛りとかふざけるな状態。
「チウー!」
ここで、ねずおがいきなり、蜘蛛蟷螂の足にかじりついた。おい。それは大丈夫
なのか? 足にも毒があるかもしれないんだからな。
「って、え!?」
私は驚くべきその光景に思わず目を疑った。
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