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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第2章「般若レディと優雅な目標(仮題)」
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第81話「ねずお」

「じゃあ、エリーちゃんが貰って上げて!」

 私は、なんとなくこうなるのではないかと思っていた。ただ、鼠の前に牛のミノ

タウロスが仲間になるのではないかと予想していたんだけど。

 この流れは、絶対に十二支だろ。犬というか狼のたけのこ、蛇のだいこん、猿の

くろごま、そして鼠がきたというのは、作為的な気がしている。

 

 こういう、凝り固まった設定は避けたいので、私としてはもう仲間にしたくはな

い。型にはまりすぎてなんか不気味な感じがしている。

「えっ。え~と。」

 少し困ったような顔をするエリーちゃんだったが、嬉しそうにも見える。この鼠

は結構ずんぐりむっくりしていて可愛いとは思う。だが私は、もういいんだ。これ

以上増えてもどうしようもない。


「ぼ、僕の主人はあなたですチウ~!」

「やめろ! ジャージの裾にしがみつくなああ!」

 媚びても無駄だ! 十二支系なら絶対に仲間にしないからな!

「あの~ねこますさん・・・。」

「ねこます様というのですかチウ! よろしくお願いしますチウ!」

 ええい。離せ。離さないか。お前はエリーちゃんのモノになるんだよ。可愛い女

の子のマスコットにでもなっていりゃいいだろう。私の傍に入らないんだよ!


「よし! 分かった命令だ! そこのエリーちゃんが今日からお前の新しいご主人

だ。分かったな!」

 最初で最後の命令というのなら別にいいだろうと鼠に指示した。ここで拒絶しな

いと後で絶対に嫌な思いをするのだ。例えば十二支の仲間を揃えて扉を開くのだと

か、魔王を倒すのだみたいなそういう話が始まるに違いない。


 絶対に嫌だ! 私は、そういうのの力に頼らずにいきたいのだ。何かのアイテム

を使わないと倒せないというボスがいても、何か倒す方法がないかと延々と試行錯

誤をするのが好きなんだ。

 そういう設定どおりに、いわば敷かれたレールに沿って行きたくない。そういう

展開になるのは、もううんざりしてくるのだ。


「ご、ご主人様がそうおっしゃるなら、第二のご主人様についていきますチウ。」

 第二じゃないっての。

「くろごまもなんとか言ってやってよ。」

「私は、そなたの先輩だ。マスターの指示通りに動くのだぞ。」

「チウ~!」

 違う。そうじゃない! あぁ~もう。嫌だなあ。仕組まれている感じがするので

私を主人としないで欲しい。


「よろしくね。えっと名前は。」

「エリーちゃんがつけてあげて!」

「えっえっ。えーと。じゃあ「ねずお」でいい?」

 え、何それ。ねずお? まぁその、いいんじゃないかな。ねずお。うん。なんか

安直過ぎず、逆にいいかもしれない。

「僕は今日からねずおチウ?」

「うん。いい名前でしょ? よろしくね。ねずお。」

「はいチウ!」

 語尾が狙ってやっているんじゃないのか、チウとか言わないようにしろと先に言

っておくべきだった気がする。まぁ仕方がないか。


「ところで、お仲間の死体があそこに転がっているけどいいの?」

「あいつら僕を虐めていたから死んで当然チウ。せいせいしたチウ。あと100万回く

らい死んで欲しいチウ。」

 おっ。今のはいいぞ。そういう事をいけしゃあしゃあと言えるくらいの勢いがあ

るのは素晴らしい。気に入らない連中を倒すとすっきりするよな。

 人間だって、同じ人間同士で争い合うくらいなんだから、このくらいの出来事が

あるのは当然だな。


「ねずおすごい! 復讐の時を伺っていたなんて偉いね。よしよし。」

 エリーちゃんが、ねずおの頭をなでている。ねずおの奴はふんぞり返っている。

あれ? エリーちゃんもそういうタイプだったのか?


「借りは百万倍にして返す。これは誰しもが望むことですね。私も不覚をとったあ

の狸にはいつか必ず借りを返しますよ。ふっふっふ。」

 おっと、くろごまも燃えているぞ。なんだ。実は、ここにいるみんな似たもの同

士ってことなのか?


「あーとりあえず、まだまだ先は長いから、急ごうよ。」

 道中こうして話している時間が勿体ないからね。

「それなんですけど、私が知っているある場所まで行けば、そこでログアウトして

後日、攻略をしたいと思うんですが。」

 エリーちゃんから提案があった。私の場合、明日ならログインしても次の日は、

休日になるので、大助かりだ。問題は、ここでくろごまとねずおを置いていくこと

なのだが。


「完全に安全とは言い難いですがある程度ならなんとかなると思います。」

 危険があるのは仕方がないし、ずっとゲームをしている時間がとれるわけではな

いので、その方針で行こうと思った。

 最初からそう決めておけばよかったかな。まあいいか。ちなみに私は、どこかに

ワープできる部屋があるのではないかと思っていたので、そこから一気に攻略して

終わらせられると踏んでいた。


 見通しが甘いといえばそうだが、だってねえ。こんな長いダンジョンをって絶対

考えるし。


「それじゃあ私の目指しているところまで案内します! 急ぎましょう!」

というわけで、そこまで行けばログアウトだ。頑張るぞ!

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