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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第2章「般若レディと優雅な目標(仮題)」
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第80話「鼠」

 あっというまに骨だけになってしまったミノタウロス。何かアイテムでも貰える

かと期待したが、獣の骨が手に入っただけで終わった。こいつはただ肉が美味しい

だけのモンスターという事か。悪くはないんだが、もう少し何かあってもいいので

ないかと思った。


「こいつ1匹倒すだけで苦労したし次出たら食べたいけど避けていきたいなあ。」

「美味しいから倒したいですけど確かに消耗が激しいですね。」

「マスター。私は、いつでも戦いますぞ。」

 肉が食べたいから戦うというのはいいんだけれど、先が長いのが難点だ。ここか

らすぐに帰れる状況だったら、多少無理をしてでも戦うんだけど、この状況では戦

うのは得策ではない。

 

 戦う予定がなかったのに戦ってしまったというのはよくないことだ。この塔のモ

ンスターの出現率がどの程度なのか分からないが、この1戦での消耗が後で悪い影響

にならなければいいなあ。


「エリーちゃん。とりあえず最短で下の階に行ける道でお願い!」

「はい! 分かりました!」

 やる気に満ち溢れているのはいいけど、ちょっと溢れすぎているな。ここは私が

冷静になってフォローしてあげないとな。


 そこからは、ほとんど話すこともなエリーちゃんに着いていくだけだった。声を

発するだけでモンスターに感知されるかもしれなかったので、基本的に会話もなし。

罠がありそうな時は声掛けしてもらうようにはした。

 

 黙々と突き進む。今のところ、道中にはモンスターが1匹もでてこない。このまま

のペースを保てればいいのだけれど、エリーちゃんが知っている道が終わればそう

上手くいかなくなってくるだろう。

 

 塔内は、平坦な道が続くだけで、部屋は見当たらない。隠し部屋的な所もあるん

じゃないのかと、エリーちゃんに確認してみたが、それらしいところは見つられて

いないらしい。ここで私から気になったことを聞いてみた。


「罠に引っかからないと先に進めない場所っていうのが過去にプレイしていたゲー

ムではよくあったんだけれど、エリーちゃんはそれっぽい罠は見ていないよね?」

「えっと・・・。すみません。落とし穴はありました。そういう可能性については

考えてなかったので、これからはそういう場所については報告しますね。」

「いやー。あくまでそういうのがあるかもってだけだから。実際に落とし穴に落ち

てみるなんてことするのは最後の手段にしたいし。」


 他に道がなければ、そういう所から移動しないといけないことになっていると思

う。それだけならいいんだけど、1番嫌なのは、そういう罠でもダメージは受ける

設定だった場合だ。まぁいつもの通り、薬草を口に含んでおくけどね。

 エリーちゃんは空飛べるし、くろごまもイエロードローンがあれば飛べるから問

題ないだろうけれど、私はそれができない。


 浮遊があるのに自分に浮遊が使えないのが本当にもどかしい。

「あのーねこますさん。もし落とし穴に行かなければいけないときは、私に捕まっ

てもらえれば、多分少しはなんとかなると思いますので・・・。」

 

 これが翼と羽の違いってことなのだろうか。蜂女王の羽ってなんか偉そうな感じ

なのにこんなもんなのが悲しい。


「マスター。何か不気味な気配が漂っています。」

「む。モンスターかな。気を付けよう。」

「確かに何かいますね。数匹程度、何かがいそうです。」


 出来れば弱いモンスターだと助かるんだけどなあ。そう上手くはいかないかなあ。

「弱ければ戦って、強そうなら逃げよう。」

そして曲がり角を通り過ぎると


「チュウー!!!」

 鼠数匹に遭遇した。なんだ結構大きいな。50cmはあるんじゃないのかこの鼠共。

そしてこいつら、ぬいぐるみのような鼠だ。ちょっと可愛らしさがあるので簡単に

狩れそうだ。よし、それならここは、


「威圧!」

 鼠に向けて威圧を発してみた。兎はこれで死んだりしたんだから鼠にも同じよう

に聞くのではないかと試してみた。すると


「ヂッ!? ヂュウウウ!」

 全身を振るわせた後、一か所に集まり、がくがくと震えだした。おお、効いてい

るようだ。じゃあ、後は電撃の鞭で。


「かっ、可愛いですねこの子たち。初めて見ましたよ。」

 エリーちゃんが女子力の高い発言をしている。でもそんなこと言っても、この鼠

達は、油断させようとしているだけかもしれないしここは、倒さないと。


「え。た、倒しちゃうんですか? かわいそうじゃないですか?」

「問答無用!ここで倒さなきゃ私達に明日はないの!!」

 雑魚は、蹴散らすのに限る。こういう弱そうな奴を沢山倒して地道に攻略してい

くというのが重要な事だ。そういう基本的な事をせずに闇雲に突っ込んでいると後

で痛い目に遭うし。

 そんなわけで、エリーちゃんの訴えは敢えて無視してこの鼠達に電撃の鞭を振る

った。効果があったのか、全員、数発程度でのびてしまった。


「ねこますさん容赦ないんですね~。」

「こういう可愛いのに仲間呼ばれて上に乗っかられて窒息させられるなんていうの

がよくあるからね。」

「すみませんでした。」

「オーケイ。」


 可愛さをうりにしているモンスターなんて沢山いるが、中にはそれが演技であり

裏でこそこそと卑怯なことをしていたりする奴もいる。可愛いものだからって弱い

とは限らないので、危険があるならすぐに倒すべきだ。


「チウ~チウ~!」

ん?なんだ。1匹だけ起き上がってきたぞ。私の目の前まできたけど、この流れは

もしかして


「仲間にしてチウ~!」

やっぱりこういうオチだったか。

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