第8話「強敵現る!」
「グアアアアアア!」
なんじゃあこいつ。熊でもでたと思ったのにさ、姿を見てあっけにとられたよ!
だってこいつ!しまうまじゃん!それなのになんだよこの鳴き声!
もっとこうひひ~んとかさぁ!納得がいかないっての!
こいつ、どうやら気が立っているみたいだ。こっちの気配とかに気づいていそうな気もする。
ここはどうするか、やはりいつも通り奇襲か、いやどれくらい強いかよくわからないのが不安だ。
たけのこが兎とか鹿がいるっていうからアタリをつけていたのに、意外な展開だ。
「グゥゥゥ!?」
うわーめっちゃ警戒しとるわ。こりゃあ気づかれるのも時間の問題だな。
もうやるしかない。やってやる。この気概でたけのこも黒豚もボコってやったんだからやれる!
私はやればできる子って子供の頃から言われてきたから多分やれる!こんなしまうま風情!
そして奇襲として、しまうまに向かって、獣骨を思いっきり投げつける。
「グアッ!?」
当たったー!って大して怯んでない!
「たけのこ行くよ!」
「ハイ!ウガァァァ!」
私とたけのこのタッグでしまうまに向かっていく。むこうは一匹、こっちは一人と一匹!
勝てないわけがないんだよ!
「グボゲボゲラー!」
だからなんだその鳴き声は!こんのしまうま!お前その鳴き声は絶対ゴブリンとかだろ!
!?ってかはええええこいつ!
「っつーーーー!?」
しまうまの体当たりを思いっきり食らって私は吹っ飛んだ。
こんにゃろう。絶対に許さんぞー!なんとしてもぶっ倒す!
その前に薬草!薬草!むしゃむしゃ!回復!
「ガゥゥウウ!」
たけのこが向かっていくがしまうまの野郎め、軽やかに回避する。
くそー、スピード系かこいつ。
「いったん隠れようたけのこ!」
「ハイ!」
私とたけのこはなんとかしまうまの隙を見て茂みの中に隠れた。
まず、攻撃を当てられなければどうしようもない。いったん立て直す。
そうだ、私にいい考えがあるのだ。なーんてね。隠れながら戦うってだけ。
獣骨を投げて当てる。隠れる。投げて当てる。隠れる。
ヒットアンドアウェイだ。そんでもって、落ちた獣骨を回収してまた当てる。
地道にちまちまと削っていく。じわじわと相手にダメージを蓄積してやるのだ。
「それいけっ!」
獣骨を投げつける!ああっかわされた!でもまとめて投げれば
「グガア!」
ふふっ、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるの考えで当てていく。
そして隠れる!投げる!隠れる!拾う!投げる!隠れる!
必勝パターンだ!これで勝てる!
たけのこもたまに攻撃に加わり、獣骨を回収してくれる。
獣骨の数はそこまでないので大助かりだ。
私もたけのこも薬草を食べながら戦っている。まったく無傷というわけにはいかない。
だがしかし!薬草は800個集めているんだ。負けはしない!
確実に削っていってるはずだ。しまうまも鼻息を荒くしている。
絶対にいけるはずだ。なんとかいけ・・
「グガガガガガアアアアアアア!!!」
!?こいつっさっきより早くなった!怒り状態でパワーアップか!
っくうううう!逃げないと!
「ねこますサマあぶない!」
「たけのこ!?」
たけのこが私をかばって吹っ飛んだ。こ、こいつよくも・・!
たけのことは出会ってそんなに時間がたってないけどやられたら流石に腹が立つ。
「あぁぁぁぁぁぁああああ!」
私はしまうまに向かって突撃した。怒りで我を忘れているが、許せなかった。
こいつにはもう獣骨は通用しない、後はもう真っ向勝負しかない。
残り持っている獣骨全部を投げつけて威嚇する。
怯んだタイミングで私は、
しまうまの上に乗っかってやった。
「このやろ!このやろ!」
「ブボゲゴガブゲガガガガ!!!」
暴れるしまうまの背に乗り、鎌で斬りつけながらも振り落とされないよう堪える。
「よくも!たけのこの分をくらえ!シマバカヤロー!」
何度も何度も攻撃しているのにしまうまにはまるで効いていないように見える。
怒りで防御力など上がっているかもしれない。だけどこのまま負けたくはない。
何か、何かないのか・・・こいつを倒す方法は!?
絶体絶命の中、私は天才的なことを閃いた。
もうこれしか方法はない!
「これでも食らえええええ!」
私は、しまうまの口の中に思いっきり薬草を押し込んだ!
「そら食え!食え!大好きな草だぞ!食えええええ!」
私は馬の口の中に薬草をどんどん押し込んでいく。
「ブゲ!?ブボボボボ!?」
回復されようが知るものか!これでこいつの口を塞ぐ!
「ゲボァ、ゲボ」
さらに、鼻の中にも薬草を詰め込んでいく!
「どうしたしまうま風情がぁあああああ!私の薬草が食えないってのかー!?」
これぞ薬草で窒息させる作戦!
ウマくいくかなんて分からない。けどもうこれしか思いつかない。
ひたすら薬草を押し込んでやるしかない。薬草全部を使い切る勢いで!
「くたばれえええええええええ!」
「んぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ!」
そして・・・。しまうまが茂みに倒れこんだ。
私も一緒になって倒れる。
・・・・ど、どうなった?
しまうまは体をピクピクさせていたがやがて動かなくなった。
様子を伺う。死んだふりかもしれない。
突然動き出すかもしれない。どうだ、どうなった?
しまうまは白目をむいていた。
ま、まさか。し、死んだか!?
本当にか?どうなんだ?
本当にた、倒したのか?
お、お、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
か、勝ったあああああああああああああ!
嬉しいいいいいいいいいい!ああああああああああ!
そうして感激したあとで、一応、鎌で何度か斬りつけてみた。
しまうまが復活することはなかった。
「はぁ、はぁ」
まさか、薬草で倒せるとは思わなかった。すごいなあ薬草。
集めておいてよかった。そして薬草の在庫を確認したら
全部なくなってしまった。こんなぎりぎりで勝利できるなんて
すごいな<アノニマスターオンライン>
やばい。なんか嬉しくて、な、涙がでてしまった・・・。
うううう、はっ、そうだたけのこは!?
私は急いでたけのこの元へ向かった。
オンラインゲームをプレイしていて、強い敵に勝った時は格別の感動がありますね!