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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第2章「般若レディと優雅な目標(仮題)」
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第74話「小悪魔」

 先に、残りの宝箱に悪い気配がないか確認をしてみたが、特に変な感じはしなか

った。見ただけで分かるというものでもないと思うが、少し安心した。最後の宝箱

を開ける時に何か問題があるかもしれないので、それは念頭に置いておく。

「よし! では早速残りの宝箱も開けていこう!」

3個目の宝箱を開放する。そして、そこには期待していたアイテムがあった。


メッセージ:鋸を手に入れました。


お、おおっ! なんてことだ。鋸だと。こ、これで自由自在に木を加工できるので

はないか。やったぞ、これで頑張って家を作ってみるのだ。いや、家の作り方なん

て知らないんだけどね。でもこれで第一歩を踏み出したような気もする。


「鋸ですか。武器にするわけではないのですか?」

「あぁーそういう使い方もあるよね。」

そういえば鋸を武器にして戦うこともできるな。というかこのゲームではそういう

使い方をするのが本来の使い方なのかもしれないな。私の場合はそれよりも木を加

工できるほうが嬉しいからね。


「よし、このままじゃんじゃんあけてい・・ん?」

 扉のあたりで何か変な音がした。もしかして閉じ込められたのかと思いきやそう

ではなかった、どうやら来客のようだ。やはり簡単にアイテムを手に入れられると

いうことではなかったんだな。よし、やってやるぞ。

「ふっふっふ。かかってきな!」

 安い挑発から始めてみる。どんな奴が相手だろうと切り抜けてみせるぞ、と思っ

たら目の前にいたのは──。


「きゃ、きゃああああああああああああ!」

「うえっ!?」


いきなり絶叫を上げられた。なんだいどうしたんだい、何か怖い物でも見たのか。

そう、そんな声を上げたのは主の姿は、金髪の女の子で悪魔の恰好をしていた。い

やなんだその恰好は、やたら露出が激しくないかい。なんだっけ、男を誘惑するサ

キュバスとか悪魔がそういうのだっけ。

 しかし、そんな悪魔がどうして私なんかを見てびっくりするんだ。はっ! もし

かして私のファンだったりするのだろうか! 般若レディなんてレアだもんね。


「こ、こないで化け物ぉおおお!」

「はぁ!? 化け物ってそれ私のこと!?」

「こっ殺されるぅううう!」

「いやいやいやいや! 殺さないっての!」


待てい。なんだこの女の子。初対面の相手にいきなり失礼だなあ。化け物とかさあ

こんなか弱そうな、般若レディに向かってさあ。おいちょっと何泣いているんだ。

殺すとかそんな物騒なことをいきなりするわけないだろうに。やめてくれ。


「ああもう、それであなたは何なの?プレイヤーなの?」

「ひっ人に名前を聞くときはまずは自分から・・・。」

「だまらっしゃい! そっちから名乗りなさい!」

 思わず、電撃の鞭を振るって床を叩きつけた。今まで色んな漫画とかで見てきた

展開だけに、イラッとさせられてしまったので、強引に潰すことにした。いいから

さっさと名乗れやと思うのが私だ。そもそも化け物呼ばわりしてきた相手に礼儀な

んてない。


「あっ。うぅ。私は、エリーって言います。」

「そう。私は、ねこます、こっちの黒猿はくろごまっていうからよろしくね。」

「は、はいぃ。」

 何でこの子は、そんなぐずぐず泣いているんだ。


「私の種族は、般若レディ、職業は錬金術士って言っておくけど、あなたはプレイ

ヤーってことでいいの?」

「あ、え!? プレイヤーだったんですか!? てっきりモンスターかと。」

「はいはいプレイヤーですよっと。ってそっちは何? どうせサキュバスとかなん

でしょう?」


「はい。おっしゃる通り種族は、サキュバス、職業は盗賊です。」

何っ!? 種族はどうでもいいが、職業は盗賊だと。罠とか宝箱を開けるとか大得

意なあの。噂をしていればなんとやらじゃないか。というかまさかここで他のプレ

イヤーに会えるとは思ってもみなかったしこれは幸運じゃないのか。


「それで、エリーは、どうしてここに?」

「このゲームを始めてからずっとダンジョンの中にいたんです。そしたら今日にな

っていきなり揺れ動いたものだから、何かないか探し周っていたら。」

「私達と出会ったってことかあ。」

「はい。ようやく他のプレイヤーと出会えました。」

 ブッチの時の焼き増しのせいかあまり感動がない。向こうは感動しているけれど、

こういうのを今後も繰り返すのなら嫌だなあ。

「ここにはいないんだけど、私の仲間にもう一人、プレイヤーがいてね。暇してい

るなら、私達と来る?」

「えっ? いいんですか!? 行きます! もう1人は嫌ですし。」

 明るい笑顔を見せるエリー。サキュバスだけあって可愛いなオイ。妹系って感じ

だぞ。さっきまでは、少し厳しすぎたかもしれないけれど、まぁ可愛ければ許せる

って感じだ。


「新たな仲間が加わったってところで、じゃあ宝箱を開けてみようか、エリーちゃ

ん。」

「えっ!? この部屋、前見た時はこんなもの無かったのに・・・。」

「来た事あったんだ。」

「はい、このダンジョンはかなり回りましたから…。今更塔ってことに気づいたわ

けですが。」

「友達とかと始めなかったの?」

「私だけずっとここに閉じ込められているって話をしたら、嘘つき呼ばわりされて

そのままですよー。」

 ため息をつくエリーちゃん。脱出できない場所を用意するなんて、<アノニマス

ターオンライン>も厳しいことするなあ。


「こういうところに飛ばされるのってもしかしたら種族をそれにしたからかもね。」

「えっ。サキュバスが問題あったんですか?」

「多分ね。私の仲間も洞窟の中から出られなくなってたから。」

「そうだったんですか。サキュバスって可愛いなって思ったらこんなことになるな

んて。」

 可愛さ重視で選んだのか。というかサキュバスねえ。私の時にそんな選択肢って

あったっけ? 無かったような気がするなあ。もしかしたら種族を選べる選択肢は

一人一人違っているのかもしれない。


「ちなみに私は、ノリと勢いでこの般若レディって種族を選んだよ。何かを選択す

るなんてそんなもんだよ。というわけで、宝箱を開けてみよう!どうぞ!」

「あのぅ。いきなり私が開けてしまっていいんですか? 出会ったばかりで申し訳

ないような気が。」

「いいから! 遠慮はいらない!」

「はっはい! ではあけてみます!」

早速開けてもらう。盗賊


「あの、こんなのがありました。マジカルステッキっていうらしいです。」

「ブフッ。」

 思わず吹いてしまった。先端がピンク色のハート形になっている杖だ。なんだそ

れ可愛いじゃないか。狙っているのかこの子。ん? でも盗賊だしそんなもの手に

入れても使えないんじゃないだろうか。


「あっ、一応、魔法を覚えていますよ。」

「ええっ。いいなあ。」

正直羨ましい。そんでもってその杖で魔力が強化されるとかなでしょう? うわあ

いきなり即戦力が仲間になっちゃったよ。上下関係が出来上がって私をゴミを見る

ような目で見てくるようになるかもしれないじゃん。


「マスター。マスターも魔法のようなことができるではないですか。」

「いや、でも魔法じゃないし。」

「うわわわ。お猿さんが喋った!!!!!」

 あっ驚いてずっこけたぞ。ポイント高いなオイ。ようやく出会えた新たなプレイ

ヤーだけれど、なんかドジっこって感じだなあ。むう。私がしっかりと面倒を見て

やってしっかりとゲーマーに育ててあげないとな。

般若レディは思った。ブッチもエリーも露出度が高い系の仲間だな、と。


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