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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第2章「般若レディと優雅な目標(仮題)」
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第73話「門の中」

 門の扉を開けば間違いなくボスが出そうな雰囲気が醸し出されている。戦いの準

備は、とっくにできているのだが、いくつか覚悟を決めておく。

 この門をくぐり抜けたら、一定期間出られなくなる可能性が考えられる。そこで

扉が勝手に閉じないようにしたいと思い、扉の破壊を試みたが、びくともしなかっ

た。ということは、壊して脱出はできないということだ。

 とりあえず、つっかえ棒としてしまうまの杖を差し込んでおこうと思う。勿体な

いと言われるかもしれないが、これは意外と頑丈な杖なんだけれど、いまいち他の

道具と比較して役に立ってない気がするのでここで使っておこうと考えた。

 死闘を繰り広げて手に入れたアイテムだけに腐らせておくほうが嫌だったし。あ

とは・・・いくつかゴブ棒も置いておくかな。壊れそうな気がするけど。


「扉を開けたらこれを床に置くよ。ここから出られなくなるかもしれないから。」

「私だけ先に向かうというのは?」

「却下。ここで私が扉が閉じないように抑えていて何かあったらすぐ助けられない

し。あと私が先に進みたい!」

「では逆に私がここを抑えていくのは?」

「一蓮托生なのでだめ。」

「かしこまりました。」

 くろごまを信用していないわけではないのだけれど、扉を抑えている間に攻撃さ

れるかもしれないことを考えると、それも嫌だ。

 ふぅ、それにしても私も些細なことが気になってしまうプレイヤーなのかと思っ

てしまうな。ブッチみたいにもうちょっとあっけらかんとした感じになりたいけど。

どうしてもこういう仕組みが気になってしまう。

 現実でも、エレベーターが開く瞬間に銃撃されるかもしれないから、死角に隠れ

ようとか考えてしまったことがあるけど、ある意味病気かもしれないなあ。


「そういうわけなので、じゃあ行こうか。」

 こうして門をの扉を押して開こうとしたが、びくともしない。あれ? 見たとこ

ろ鍵をさすところもないし、私の力が足りないだけか? ぬおおおお。開かない。ど

うみても観音開きしそうな扉だよなこれ。左右に取っ手が付いているし、おいおいま

さか勘弁してくれよ?


「せーの・・・!」

取っ手を持って右に動かしてみると、容易く開いた。

「そういうのいいから!? ねえ真面目にしようよ!こういうオチはいらないよ!

なんでそういうことするの!」

 <アノニマスターオンライン>はこういうひねくれたところがあるよな! それ

ともこういう所を作った運営の誰かの趣味なのか。いや、きっとそうに違いない。

あのコマンドといい、そういうゲーム好きがやっているのだろう。あー腹が立つな

あ。


「イライラしてきたのでさっさと行こう。とりあえず、つっかえ棒は置いて。」

「大丈夫ですかマスター?」

「うんまぁ、こんな門をくぐり抜けるだけで無駄な時間を使った気がするよ。」


ようやく部屋の中に入ってあたりを見回す。そして

「うあああああああああああたっ宝箱だあああああああああああ!」

 私は、思わず絶叫を上げてしまった。本物の宝箱だ。宝石が装飾されていてこの

箱自体に価値がありそうな、こんなの、どうみても宝箱しか考えられない。

「きたよきたよきちゃったよ!これで罠とかだったら絶対許さんぞ!」

「マスター。すごいはしゃいでますね。」

「うん! だって、こんなお宝らしいものがあるなんて思わなかったし。!?」

1個だけじゃない。宝箱は12個あった。こんな沢山!? すごい! このゲーム

をプレイしてきて初めての衝撃だ! 宝箱が12個円を描くように並んでいるのは

少し気になったが、さっそく開けてみることにした。もう何がでてきてもいいと

いう勢いが今、ここにあった。だって、これこそ王道じゃないか!


「さぁ何がでるかなっ!」

まず一番奥にある宝箱から開いていく。そして


メッセージ:フロストジャッカルの耳飾りを手に入れました。


フロストジャッカルって名前的に氷の狼ってことだろうか。とりあえず装備してみ

るか。


メッセージ:フロストジャッカルの耳飾りを装備したことで「氷耐性」を得ました。


 おおっ。また耐性がついたぞ。この耐性ってどこまでなのかが分からないのが困

るので今後確認できる環境があったら検証してみないとな。ああっ。それにしても

この楽しみがあと11回も楽しめるのか。最高だな。ここに来てよかった。

「くろごまも開けてみようか!」

 一緒についてきてくれるくろごまにも開けてもらう。ブッチがいたところの洞窟

では開ける人によって中身が変わるような感じだったから、くろごま用に何かでて

くれるかもしれないし。あ、モンスターはでないで欲しいけどね。

「よろしいのですか?」

「おっけーおっけー!あけちゃって!」

「分かりました。では!」

右隣にある宝箱を開けるくろごまだった。中に入っていたものは、1メートルほどの

長さの黒い棒だった。

「これは、棒ですな・・・。」

肩を下すくろごま。いや待てよ。これをくろごまから受け取ってみる。


メッセージ:黒如意棒を手に入れました。


 やっぱり如意棒じゃないか。西遊記で孫悟空が使っていたとされる武器じゃない

か。これは長さを自由自在に変えられる強力な武器のはずだ。というわけで、これ

は、当然くろごまに使ってもらうことにした。


「これを持って、伸びろって言ってみて」

「はい。伸びろ!」

 一瞬にして3メートル程度の長さまで伸びた。どこまでも伸びるというわけではな

いのか。いやあ新しい武器のお披露目っていいね。こっちまで楽しくなってくるよ。

 この後、少し試してみたが、縮めというと元の長さにまで戻ることを確認した。時

間経過で元に戻るかもしれないけれどその検証は後回しだ。残り10個も楽しみが待っ

ていると同時にここで少し冷静になる。

 こんないいものばかり手に入っていいのだろうかと。だからこそ、何か危険なこと

が起こるかもしれないので残り10個は慎重に開けることにした。

 え? 結局全部開けるのかって? 当然だ!

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