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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第2章「般若レディと優雅な目標(仮題)」
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第68話「出直しましょう」

 くろごまの元に向かうと、横になって倒れていた。ということは私のところに来

る前に、あの大きな毒狸がくろごまを昏倒させたってことか。命までは取らなかっ

た・・・んだよな?

「おーいくろごま?大丈夫?」

私は、くろごまを軽く揺さぶった。死んでないよな~?

「む・・ぐ・・・。マスター。すみません。不覚を・・・取りました。」

「まぁしょうがないって。切り替えていこう。ほら、これを食べて。」

 くろごまに薬草を与えて回復をはかる。生きていてよかった。これでくろごまが

死んでいたらあの狸どもは絶対に許さなかった。

「あの狸どもにはなんとか引いてもらったよ。」

「そうですか、それは良かったです。マスターが無事で良かったです。」

 いやいや私はいいんだよ。死んでも復活できるし。それが無理だと思われるくろ

ごまの命のほうが大事なんだよ。まあ出会ってそんなに長くもないけれど、一応慕

ってくれているから、こんなところですぐお別れになるなんていうのは嫌だ。


「これからどういたしますか?」

「私が元来たところに帰るよ。その後またこっちに来ドラゴンフルーツ狩りにをし

にこようかな。あの狸どもの件については不干渉ってことになったし。」

 当然あの狸以外もいるわけだが、毒耐性もついたことだし、これからはがんがん

先に進める勇気がでてきた。ただ現状毒耐性を持っていないのがたけのことだけに

なっているからそこがちょっと気になってるけどね。

 一匹だけ持っていないってことになったら拗ねそうだなあ。なんとかして毒耐性

を手に入れることができないかを模索してみないとね。

「かしこまりました。今回は敗北しましたが、私もマスターを守れるように精進い

たします。」

「うん。一緒に頑張ろう!」

 今回は、運が良かっただけと考えればいいのだけれど、私としてはそういう考え

が好きではない。むしろあの状況であの狸を倒したかったというのがある。という

か次あったら全滅させたいくらいの気持ちはある。私は、ああいう自分が強いと思

っている奴に辛酸を舐めさせるのが大好きなのだ。自分より力量が上の奴を私のよ

うな弱者が倒すことこそ、快感だ。ジャイアントキリングは最高だ。

 強い相手に挑戦するのはゲームならではの楽しみと言える。工夫することで、弱

者でも勝てるようになるという場合があるのもゲームのいいところだ。頭をひねっ

て攻略方法を探り出し、そして勝つのだ。ふっふっふ。その時が楽しみだ。


「ああ、くろごま。また荒れ地を歩くのは大変だけど、大丈夫?」

「薬草のおかげで大分楽になりました。これからいけますよ。」

 帰りも長くなりそうだけれど、なんとかなるかなあ。お腹が空いたらドラゴンフ

ルーツがあるし。荒れ地にあの狸かそれ以上の強敵がでてくる危険性もあるけれど

その時はその時だ、やれるだけやってみないとな。

「む?ところでマスター、その尻尾は?」

「ああ、これね、毒狸の尻尾を手に入れたんだ。これのおかげで毒耐性ができたよ。」

「なんと!おめでとうございます。それでは今後は毒に怯えずに突き進めますね。」

「麻痺とか睡眠とか他にも色々あるかもしれないから油断はできないよ。」

「左様ですか。」

 左様なんです。状態異常というものに苦しめ続けられたことがかなりある。混乱

とか自分で自分を殴ったりするし、ああいうのは勘弁して欲しいし、幻覚が見えて

いる場合は、攻撃が当たらなくなるので嫌なことばかりだ。

 

 今後の冒険の舞台は、間違いなく熱帯雨林が中心となるが、その前に、そもそも

村を作りたいなんて言ってたのでそれをどうにかしたい。現状では村なんて作れる

ような人数も何もないんだけどさあ。

 他のプレイヤーを探して仲間にしたいけど、それも上手くいきそうにないしなあ。

ブッチのようにどこかに閉じ込められているという可能性も十分あり得るから、そ

こら中くまなく探せば1人や2人くらいはいるかもしれないね。

 あぁー帰ったら草原で草刈りをしたいなあ。元々ここまで来るのが目的じゃなか

ったのに、突き進んでしまったからなあ。

 あっ、でもみんな私の事探しているかもしれないんだよね。すれ違いになったら

嫌だなあ。大丈夫かなあ。


「私の仲間が、私の事を探しているかもしれないから、色んなところに行くことに

なるかもしれないけど、くろごまは大丈夫?」

「はい。私はマスターの傍におりますので。」

なんという忠誠心だ。ブッチにはこういう忠誠心を見習わせたいところだな。何か

につけて私にツッコミをいれてくるし、ジョークを飛ばしてくるし、くろごまのよ

うな真面目さを、求めていくことにしよう。もっと厳しくだ。スパルタだ。

「どうしましたマスター。顔が歪んでおりますが。」

「はっ。いやちょっと、仲間の事を思い出してね。」

「仲がいいのですね。」

「どうかなあ。あはは。」


そんなやり取りをしつつ、私達は、熱帯雨林をしばらく歩き、荒れ地に出た。ゲー

ム内ではもう夜になっているが、ある程度まで進んだところで休憩をとり、私はロ

グアウトすることにした。ログアウト前にはくろごまにはドラゴンフルーツをたっ

ぷり渡しておいた。こんなに食べたら飽きるかもしれないと思いつつもそれしかな

かったので、我慢してもらうことにした。

 明日までに食べきれないかもしれないと言っていたけど、大丈夫だよねきっと。

出戻りというオチでした。レベルアップしてちょっと遠出したら

敵が強くて、すぐ帰ったなんてよくあったものです。

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