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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第2章「般若レディと優雅な目標(仮題)」
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第66話「毒狸」

「くたばれブス!!」

 20分ほど樹海を歩いていたら、大きな声と共に、狸が1匹襲い掛かってきた。

全長で60cmくらいでずんぐりとしていて可愛らしかった。が、それとは裏腹に

爪は鋭く正に危険物というような感じだった。


 ってなんだ。こいつ今なんて言った? ひとまず電撃の鞭で応戦したが、軽

くかわされた。私の攻撃命中率低くない? 毎回初手でかわされてる気がする

んだけれど、なんでいつもこんなひょいひょいかわされるんだ。

 そもそも鞭を使う練習なんてしたことがないから当然と言えば当然だけど、

こう毎回当たらないと、そろそろ使い方を覚えないとなあなんて思ってしまう。


「私は、こいつの相手をするから、くろごまは他の奴を警戒して!」

「わかりました!」

「ブスは黙ってろ!ブス!」


 なんだこの狸!? もしかして毒狸ってそういうことなのかオイ!? そんなの

聞いてないぞ。いや、まだ分からない。それがフェイントで実は、爪や牙に毒が仕

込まれている可能性は捨てきれない。

「うるさい!」

 なんか腹が立ったので、ひたすら鞭を振るうが当たらない。素早い動きで私を翻

弄してくる。獣の骨も投げつけてみるが、これも上手く命中しない。やっぱりここ

を出たら本格的に鞭の練習をするか。

「どうしたザコ!? そんなもんか!? 雑魚は何やってもだめだな!」

 煽ってくる毒狸。いやいやそんな沸点低くないですから私は。さっきはちょっと

攻撃が当たらないからイラついただけですから!


「うっわ!相当キモメンだなお前!キモキモ!」

「何だとこの野郎!」

 私を馬鹿にするのはまだいいが、こいつ、般若レディを馬鹿にしやがったな。も

う絶対に許さんからな。生かして帰さん!

「逃げるだけしか出来ないのか?たぬきくーん!」

 威圧を放ってびびらせる作戦で行くことにした。ちょこまか動くのがうざいので

これで少しでも足止めを狙う。


「よっし!オラッ!」

「おっ!?頭悪いなーブス!」

 威圧をくらったふりをしていたようで、すかさず爪を立てて飛び掛かってきた。

頭が悪いのはお前だ、むしろ私がこれを待っていたんだよ!


「浮遊!」

ふわりと毒狸の体が浮かび、速度が押し殺された。そのままじたばたするが、ま

だ浮遊の効果は残っているため無力化されたも同然だった。

「往生せいやあああああああああ!」

当然、その隙は逃さず、全力で電撃の鞭を振るった。


「ギギギギギギギギ!?」

 大分効いているように見える。これがフェイントの可能性もあるので、何度も

鞭で叩きつける。私は、攻撃の手を緩めなかった。他の狸もいる可能性が高いの

で、この1匹だけに集中しすぎないようにはしている。


 くろごまの方はといえば、なんと別な毒狸と戦っていた。向こうも何か話して

いるようだが聞き取れない。一応これで2匹でてきたのは分かったが、最低2匹な

ので他にもいるかもしれない。


「ブスと言ったことは許さん!謝れ!謝るんだ!」

「ゴメンナサイバカヤロー!」

「それのどこが謝っているって言うんだ!おいこら!」

 なかなか威勢のいい毒狸だ。既にこちらの手中にいるというのに、この態度か。

これは、自分より上の存在がいるから自分は大丈夫と思い込んでいる奴の特徴だ。

多分毒狸のリーダー格がどこかにいるはずだ。ならばこいつを見せしめにしてや

るとしよう。私に逆らったらどうなるのか思い知らせてやるのだ!

「キモメンの癖に!くたばれ!」

 まだいうのかこいつ!可愛い顔して本当に腹が立つ。毒狸という種族だか

ら毒舌を吐くという意味の狸ってことなのだろうが、ここまでうざいのか。

それにしてもまた捻くれた種族がでてきたもんだな。誰だよ毒狸なんて考え

ついた奴は。


「反省しろ! 反省しろ! 反省しろ!」

「ギャア!! バカアホマヌケ! ギャア! キモイクサイ! ギャア!」

 こいつ、やっぱり本当は、ダメージがあまり通ってないんじゃないのか。

何度も鞭で叩いているのに、まだ言ってるよ。反省するという考えがないの

か。それともリーダー格の奴に日頃こういう扱いを受けているとかいうこと

じゃないのか。「ごめんなさいと言ったら許してやるぞ!」

「誰が言うもんか!お前こそ土下座しろ!」

 分かった。こいつらはこういう種族なんだ。素直になるということができ

ないってことなんだろう。そういう設定のモンスターなんだ。だからもうこ

いついにはあの世に行ってもらうことにしよう。ここからは無心でひたすら

鞭を振るうことにした。


「・・・・・!」

「ギャアアアアア!やめろブス!ギャアアア!バカヤロー!」

「・・・・・!」

「ギャアアアアア!ブスのくせに!ギャアアアア!クソヤロー!」

「・・・・・!」

「ギャアアアアア!た、たすけてーおかーちゃーん!」

「マザコンじゃねーか!」

思わず突っ込んでしまった。なんだこの毒狸。母親がいたのか。おいおい、

ちゃんとしつけておいてくれよ。


「母ちゃんを頼るのは甘え。」

「う、うるさい!ブスはだまギャアアア!」

「泣くのも甘え。そんでちょっと黙れ。」

 電撃の鞭で何度もたたくのはやぶさかでないのだが、いい加減面倒くさくなって

きたので戦い方を変えることにした。電撃の鞭で叩いた後に背中を上にして地面に

押しつける体制に変えた。毒狸はじたばたともがくが、上からのしかかり動けない

ようにしているので、何もできない。ここで私は少しばかり脅すことにした。


「この鎌とかこの棒で一本一本爪を割っていくけどどうする?」

「!?!?」

反応はあるが、声にならない声だった。

「多分、お前のかーちゃんとやらがここに来るんだろう。私としてはお前は倒した

いけどお前のかーちゃんとやらとは戦いたくない。そこで、かーちゃんを呼ばない

ことを条件に見逃してやるがどうする?」


 毒狸の少し顔を浮かせてやり話せるようにしてやる。

「か、かあちゃん助けてえええええええええええええええ!」

瞬間、毒狸は絶叫を上げ、助けを呼んだ。こいつ、やりやがったな。こいつのかー

ちゃんとやらはリーダー格の奴に違いない。そして、今すぐにでも現れるかもしれ

ないのでこちらとしてはまずい状況だ。さてどうしようか。


「とりあえずお前は人質ならぬ狸質だな。お前のかーちゃんとやらを待ってやるよ。」

「それは心配に及ばないよ。もう来たからね。」

あー。やっぱり来たか。早かったな。そして私結構ピンチだよなこれ。


毒の意味が違いました。最初の予定だと本当に毒だったのですが・・・。

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