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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第2章「般若レディと優雅な目標(仮題)」
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第64話「ドラゴンフルーツ狩り」

 結局、煙が出なくなるまで30分ほどかかった。敵に襲われることがなかったのが

幸いだが、時間を無駄にしたことは残念でならない。が、これはこれで収穫があっ

たように思える。というのも、口を開きっぱなしであれば、30分も煙で視界を塞ぐ

ことができるので、使い方次第では、役に立ちそうだからだ。

 何の役にも立たなそうな道具が後で重要なアイテムだったなんてことは、ゲーム

をやっていればよくあることなので、何もいいことがなくてもアイテムは、とりあ

えずとっておいたほうがいいというのがある。勿論、本当に何の役にも立たないと

いうアイテムだってあるにはあったけど。

「ようやく消えたし、先を急ごうか。」

「はい。では行きましょう。」

 一応けむり草はいくつか採取しておいた。私も錬金術士ではあるのでこういうア

イテムは調合用にとっておこうと考えている。今は何か作れるわけじゃないけどね。


 さて、そこからもやはり警戒しながら進んでいった。主な目的は、ドラゴンフル

ーツなので、珍しそうな物があっても、後回しにする。当然何か凄そうな物だった

らきちんと確認はする。

 しかしモンスターには全く遭遇しないな。どこかに潜んでいる隙でも伺っている

んじゃないのだろうか。それとも、自動で威圧が効果を発揮した結果、何も出てこ

なくなっているのだろうか。何からも襲われないというのはそれはそれで凶悪なモ

ンスターでもいるのではないか。

 影に潜んで確実に私たちをやれる機会を伺っている可能性は十分にあるな。とに

かく、けむり草を食べた失敗のようなことがないように気をつけねば。


「マスター。あそこがドラゴンフルーツの群生地です。」

 草木をかき分け歩いていくと、くろごまが指をさす先に、ドラゴンフルーツが大

量に実っていた。おおっ。ここが正に楽園ではないか。これが沢山あれば、回復し

放題だ。よし、さっそく刈ってみるか。


メッセージ:ドラゴンフルーツを手に入れました。

 

 やったぞ。これでひとまず目的は果たした。これを沢山集めまくって、スキルを

使い放題になってやるのだ。あれ? でもちょっと待てよ。これ結構サイズ大きい

よなあ。これって1個食べきらなきゃダメってことか? それだと薬草みたいに手

軽に食べて回復ってわけにはいかないような気がする。鎌で切った物だけでアイテ

ムインベントリに収納できないんだろうか。


メッセージ:ドラゴンフルーツは、ドラゴンフルーツ(カット)になりました。


 おっ!? いけたじゃないか! やったね。まさかこんな機能があるとは思わな

かった。だけどこれって、使い勝手を良くするためにはどんどん切っていかないと

いいけないってことじゃないか。あと、サイズが小さくなっただけなので結局1個

分食べないと、だめってことにもなりそうだぞ。そのあたりは少し面倒くさいかな。

 スキルを使うエネルギー、この場合スキルポイントとでも言えばいいのかな。そ

れを回復できる分には有効なので、今後色々研究していかないといけないな。1個

分でどれだけ回復するのかとか食べてスキルを使っていけば自分の力が見えてくる

だろうし。

 アイテムインベントリに入るなら、とにかく沢山集めまくる。カットにするのは

後でいくらでもできるので、ここではまずひたすらドラゴンフルーツ狩りをするこ

とに決めた。他の果実などもあるかもしれないが、それは、また後日でもいいだろ

う。ブッチたちと再会すればもっと効率よく行くはずだし、あまり無理をしないよ

うにする。

「沢山刈ろう刈ろう。ふっふっふ。刈ろう刈ろう。」

「マスターは、ドラゴンフルーツが好物だったのですね?」

「ん? まあそうだね。やっぱり回復できるアイテムって最高だよ。」

 

 回復アイテム収集が趣味のような感じなので、ここでひたすら集められるのは最

高だ。薬草の時と同じように、いくらとってもすぐに出てくる。私のアイテムイン

ベントリは、薬草と火薬草が一杯詰まっているが、その中にドラゴンフルーツも追

加されていく。こういう設定についてはなかなかい感じだなって思うね。

 ゲーム的な部分がなかったら、それこそ、重い荷物を背負って冒険しなきゃいけ

なくなるわけだから、そうじゃなくしたのは本当にいい設定だと思う。持ち物の重

さとかで、行動速度が変わったりするゲームなんかもあったので、そういう完全な

リアル指向なのも嫌いではないんだけどね。

 世の中には、事細かな設定が好きな硬派なゲーマーがいる。その人たちはたまに

とんでもなく拘ってしまうあまりに見境なく文句をつけたりすることはあるけれど

どっぷりはまれるような作品だと、目の色を変えてやりこむからすごいと思う。

 

 それだけゲームが好きなプレイヤーもいるので、万人に好かれるゲームと言うの

は無いと思っているけど、自分の好きなゲームをやればいいだけだからね。私は、

この<アノニマスターオンライン>のアイテム設定はいいと思っている。

 あっ、火薬石弾くらいはサービスしてくれてもいいなじゃないかなぁなんて思っ

たけど、そこはまぁしょうがないのかな。

 っと。そんなことを考えながらひたすらドラゴンフルーツ狩りをしてしまった。

ん?くろごまがなんかこっちを見ているがどうしたんだろう。

「何かした?」

「いえ、ドラゴンフルーツを絶滅させる勢いでしたの放心しておりました。」

「あっはっは。そんな簡単に絶滅なんてしないよー。目標としては9999個は集めよ

うと思っているんだけどね。」

「は?」


 ん? どうしたんだ、くろごまが目を丸くしてこっちを見ている。

「え?どうかした?」

「9999個とは正気ですか?」

「うんまぁちょっと少ない気もするよね。」

「充分な気がしていますが。」

 一度、充分というほど集めてみたいものだなあ。アイテムをいくつ使っても永久

に無くならないって言うのだったらいんだけど、そこまでいかないだろうからなあ。

沢山集めても、結構すぐなくなっちゃう気がするよ。薬草とか本当にあっという間

になくなることが多いから、常に在庫を持っていないと不安でたまらないよ。


「ああ今回はそこまで集めていかないよ。けど最低でも1000個くらいは集めるよ。」

「わ、分かりました。このくろごまもマスターのためにお手伝いいたします!」

 おお、やったね。効率的に手に入れられるね。一人よりも二匹だもんね。


 こうして、私とくろごまのドラゴンフルーツ狩りが始まったのであった。


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