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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第2章「般若レディと優雅な目標(仮題)」
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第57話「誰かがいる?」

 私は、黒猿のくろごまを連れて荒れ地を歩く。ここ最近はだいこんに乗せてもら

って移動していたことが多かったのでこんなに徒歩で移動するのは久々だった。

 思えば、これまでプレイしてきたゲームでは、様々な乗り物があった。馬車や船

に気球や潜水艦など様々だった。そうした乗り物があると移動時間の短縮をはかれ

るが、このVR空間では特に重要だと思えた。現実とほぼ同じように移動するのだか

ら当然と言えば当然だが。

「それで、なんとなくこっちの方向に来ているんだけど、くろごまの言う恐ろしい

モンスターってどこにいるの?」

「どこからともなくやってきて襲い掛かってくるのです。その正体はよくわかって

おりません。」

 もしかして私みたいなプレイヤーじゃないのか。どこからかきて去っていくとい

う表現であるなら、その可能性が高い気がする。ここら辺一帯を牛耳っており、自

分のレベルアップのために、沢山狩りをしているかもしれないな。

 だけどモンスターか。モンスターからモンスターと言われる人間とはなんだか不

気味な感じがする。人は、欲望の塊だし、そうなってもおかしくない輩は沢山いる

とは思うけれど。


 それにしても、この辺り一帯の荒れ地にずっといるのだろうか。もしやとっくの

昔に去っている可能性もないのだろうか?

「最近、そいつに襲われたことはあるの?」

「最近とは言えませんが、二か月ほど前には暴れまわっていたと思われます。そい

つは、気性が荒く、近づくものに対して無差別に攻撃を繰り返していました。私も

そいつから蹴りのような攻撃をくらいまして、その後、意識を失いました。」

「つまり、その後から私に倒されるまでは意識がなかったと?」

「その通りです。助けていただきありがとうございました!」

 モンスターを狂わせる攻撃をするモンスターなのかそれともプレイヤーなのか。

正体は不明のままだが蹴りか。もっと詳しく聞いてみるか。

「そいつは何か喋ったりしていた?」

「何か喋っていた気もしますが、すみませんが分かりません。」

 

 武術の達人的なプレイヤーか、それとも私が戦ったしまうまみたいなモンスター

のどちらかになってくるな。姿が良く見えなかったということから速度が速いんだ

ろうな。いつもの通りになるけれど一撃必殺でやられなければ勝算はある。とにか

く薬草で回復できるから。薬草を使う前にやられたらどうしようもないが、そうじ

ゃないなら耐久力には自慢がある!危惧しなきゃいけないのは素早い攻撃だな。油

断しないようにしよう。

 気がかりなのは、狂わせてくる攻撃か。強制的に発狂というのが気になる。これ

 はもしかして、たけのこやだいこん、あるいはあのしまうまが暴れていた原因と

いうのはそいつにあるのではないかということだ。

 つまり、今までの戦いの黒幕の可能性があるということだ。これは少し面白くな

ってきた。そもそもたけのこはなぜあそこにいたのかが分かっていない。だいこん

も同じだ。そしてこの猿、くろごまも同じような感じだ。


 一連の事件がそいつの仕業かもしれないと思うと、つながってくるな。単なる偶

然なのかもしれないが、そういう展開は嫌いじゃない。むしろ好きだ。ここでそい

つを倒せば色々と分かることが判明するかもしれない。

 私がそいつを倒せるのかどうかは別としてだ。今ここには、私と、仲間になった

ばかりのくろごまの即興コンビだ。これでなんとかするのはむず。いや待て!やっ

てやろうじゃないか!こういう負けイベント的な展開で勝つのが私は大好きなんだ

よ!

 強い敵が出て来たら、実力を見せつけてきて、雑魚めとか言って去っていった後

に強くなって倒すんじゃなくて、その状態で倒して辛酸を舐めさせてやるくらいじ

ゃないと嫌だ。

 あと、今回は様子見だみたいに去っていく奴も絶対に逃がしたくない。倒したい。

そういうお決まりの展開が大嫌いでレベルを上げまくって倒したら、結局イベント

は負けたと判定されて進んだけれどね!あれは悔しかった。


「くろごま、そのモンスターってのは私が絶対にぶっ倒してやるよ!」

「お、おお!流石マスターです!お供いたします!」

 般若レディの力を思い知らせてやるのだ。こんなところで狂気をまき散らすよう

な輩は退場させてやる。他のプレイヤーであっても、私より強くても私は諦めたり

しないのだ。ふっふっふ、こういう自分が弱者である時こそ燃えてくるものだ。

「でも、この辺りにでるかもしれないってだけなんだよね?」

「そうですね。必ず出てくるというわけではないので」

 ストレス発散をここで行っている可能性もあるのかなあ。私の草刈りみたいなも

のかもしれないのでそこはなんとなく分かるっちゃ分かるけど。

「じゃあしょうがないな。とりあえずどこか行こうかと思うけど、くろごまはよ

誘うな所しらない?」

「ここから少し遠いですが、熱帯雨林があります。そこで色々と食べ物が取れます。」


何ぃ!?熱帯雨林だと!くろごまなんでそんな賢そうな用語を知っているんだ。もう

猿じゃなくて立派な人間みたいな感じだろ。って違う違う。熱帯雨林。うーん。イメ

ージがバナナって感じしかしないけどつまりくろごまの好物ってことなんだろうか。


「よっし、じゃあ行く当てがあるわけじゃないしそこを目指してみようか」

「おおっ!行きましょう!キキッ!」

キが嬉って漢字に脳内変換されたよ。では行くとするか。

…それにしても最初からどこ行くかくろごまに聞いておけばよかった。やれやれ。



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