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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第2章「般若レディと優雅な目標(仮題)」
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第53話「浮遊」

 崖から落ちた瞬間、私は、この間浮遊を覚えたじゃないかと思い出した。まるで

走馬灯のようだ。慌てていたせいですっかり忘れていた。しかし飛行じゃなくて浮

遊といううのが気になる。が、ここで迷っている暇はない。使い方はよくわかって

いないが、とりあえず気合いをいれて使ってみる。

「浮遊!!!」

しかし何も起こらなかった。私はそのまま落下していく。どういうことなんだ!こ

こで使えなきゃ意味がないだろう!そして私は上空を見た。そして驚愕した。

たけのこを抱えたブッチと、だいこんがふよふよと浮いており、ゆっくりと地面に

向かって降りていくところを。

「ふ、ふざけんなああああああああああああああああああああ!!!!」

私は、絶叫した。浮遊というのは私以外のものを浮遊させるようで、私自身には一

切効果がないようだ。なんて分析している場合じゃない!

「じゃ、じゃあこのリュックに浮遊!浮遊!あああああ」

 まるで効果がない!うあああああああああああ!あっ!?木!電撃鞭!上手く引

っかからないかと振るってみたが、鈍い音を立てて枝は割れてしまった。なああ!

そんな攻撃力持ってどうするよアホが!!!!うあああああ!

 私は、とにかく焦る。まもなく地面に激突する。だから、火薬草を思いっきり投

げつけた。

 そして、爆風が私を吹き飛ばした。般若レディ死すなんてわけのわからない自虐

をしたくなった。ブッチたちは、どうなったのだろうかと気にする余裕は全くなか

った。口の中に含んでいた薬草を飲み込み、回復する。そして最後はやはり無防備

に地面に激突するのだった。

「うぐぐぐぐぐ。ふざけるな・・・!」


 浮遊って言ったら普通は自分が浮くだろう?それが自分だけ浮くことができない

なんて誰が考えるよ。完全に予想外だった。多分みんなは、私の浮遊で助かったん

じゃないかと思うが、途中で効果が切れてたり落ちたとしても知らない。

 私が、こんな辛い目にあったんだから、ちょっとくらい苦しんでくれてもいいじ

ゃないかと思ったからだ。

 それにしても、やっぱりとんでもないなこのゲームは。いつもいつも先の読めな

い展開ばかりかと思えばありきたりの展開があって、またこれだよ。普通に浮遊し

て助かりましたじゃだめなのか。あー腹が立つ。

「んで…。ちょっとここはどこなんだよ。」


 起き上がってあたりを見回すと枯れ木と岩ばかりの荒れ地だった。なんだかゾン

ビでもでてきそうな場所だ。みんなとははぐれてしまったが探しに行くかそれとも

ここで待つか。いや待たない。こういう時に救助が来るゲームなんて100%ない。断

言する。

 脱出ゲームでは当然自力脱出を求められてくるし、その他のゲームにしたって待

機していたらいつまで経っても話が進まなかったし。例外と言えば救助ではないが

実際に1時間待つことで、あぶり出しされるアイテムとかあったっけ。

 そんな理由から、私はこの周辺を歩き回ることにした。初めてログインした時以

来の完全な一人プレイになった。

 <アノニマスターオンライン>を始める前は、ほとんどのゲームで一人でプレイ

していたが久々に一人になったので少し寂しさを感じた。たけのこに会いたい。も

ふもふしたいという欲求がでてきたがいないものはしょうがない。


 こういう荒れ地とか、悪そうな奴の根城になっていることが多いので、もしかし

たら強い敵がでてくるかもしれない。地面からいきなりゾンビがでてくるなんてい

うのもよくあるゲーム的展開なので足元にも注意する。

 武器は、電撃鞭を構える。これなら中距離で攻撃できるので便利だ。 

 それにしてもああ、こんなとぼとぼ一人で歩いていると仕事帰りみたいでうんざ

りしてくるなあ。この荒れ地の景色もいただけない。殺風景だ。何か面白いことで

もあればいいと思うが、そんなことは起こらない。

 ひたすら歩くだけだ。そうそう、枯れ木にも注意しないといけないと思い出した。

こういう木の正体がモンスターだったりすることもある。あるので、木の近くを

通らなきゃいけないときは、先に電撃鞭で一発攻撃してからにする。

「おいしょーほらしょー!」

ビシバシ鞭を打っていく。この木たちが意思を持っていて、とても温厚で攻撃され

ない限りは攻撃してこないようなタイプだったら素直に謝ればいいかと思ってむち

打ちをしていく。


「ギャアアアアア!!」

木が叫び声を上げた。やっぱりモンスターだったんじゃないか!やっぱりな!私は

分かっていたんだよ!怪しいと思っていたんだ!

「ギャアアアア!」

目の前から人面樹が迫ってきた。そこへひたすら電撃鞭を打ち付ける。

「うるせーーー!木が立っているんじゃねえ!!」

うん。私は「気が立っている」ので更に人面樹に電撃鞭を打ち付ける。

「ギャアアアアアア!」

「ぎゃあぎゃあうるさいなあ!こっちくるな!」

鞭で人面樹を何度も何度もたたきつけるが、怯む様子なく私に向かってくる。なん

だよ。またタフな奴かよと思ったが、ここで木なんだしと思って

「狐火!」

燃やせばいいというか多分火が弱点だと思ったので口から狐火を吐く。

「アヂイイイイ!」

おっ。燃えているぞ。やっぱりかなり効いているようだ。よし、さっさと燃え尽き

てしまえ。こうして人面樹は、火には抵抗ができず、そのまま燃え尽きた。そして

燃え尽きた跡に近づくと。


メッセージ:木炭を手に入れました。


 おおっ。新たなアイテムを手に入れたぞ。木炭か。湿気とるのにいいんだよな。

後は水を浄化してくれたりだっけ。詳しい使い方とかよくわかってないんだけど、

色々使い道はあったと思うので集めるとするか。

 少しだけここに来れたことを嬉しく思えた。だけどここから戻る方法を探さない

とな。荒れ地だけにずっといたら薬草がなくなってしまいそうで不安だ。

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