第51話「アイテム確認」
そういえば、蜂蜜を手に入れたのを思い出したのでさっそく舐めてみた。何か特
別な事は無く、普通の蜂蜜だった。ただ甘いだけだ。一応みんなにも舐めてもらっ
たが、甘い美味しい!という感想だけだった。この蜂蜜の中に、薬草でも漬け込め
ば何か効果が得られないのかと思い、入れてみた。すると…。
メッセージ:蜂蜜薬が完成しました。
出来てしまった。しかし効果はよくわからない。だけど、蜂蜜の巣がレアアイテム
らしいから、これも実は結構いいアイテム名じゃないだろうか。今回の予想として
は回復力アップみたいな感じになっているかもしれない。1日1個しか手に入らない
ので、これはボス戦専用になりそうだ。
「どっせい!よっと!」
気が付くと、ブッチが丸太を運んでいた。丸太はそこそこ集めてもらっているけれ
ど、そこらへんに置いてもらうだけで、今のところ大きな使い道はないんだよね。
「俺もう、木こりみたいなもんだよなあ。モーニングスターで木を切り落とすとか
なんかあれだけどさぁ。」
あんなもんで切り倒せるというのがすごい。パワー系はやっぱりすごいな。
「この丸太でいかだでも作れれば川下りが楽しいんだろうけどねえ。」
「よくある展開だと、滝の上から落ちてわー!ってなるやつか。」
「嫌なオチやなぁ。」
本当だよ。見る分には面白そうなんて思うけれど、自分が体験は絶対にしたくない
な。おっと、こんなことを言ってるといつか現実になってしまうのでなるべく言わ
ないようにしよう。
「それにしても川下りかあ。川沿いからどんどん下ってみてもいいかもしれないね。」
今は特に行先を限定していないのでどこでも行きたいところにじゃんじゃん行こ
うと思っている。ただし、減ったアイテムなんかを沢山集めてからだ。現在の消耗
している状態では、何かあったときに対応できないので、ひたすら作業をしている。
薬草集めに火薬草作り、たまに洞窟行ってゴブリン退治して薄汚い布やゴブ棒を手に
入れる。そんで川に水洗いしに行ったり、本当にもう地味な作業ばかりだ。
私のやり方は、効率的にゲームをプレイする人とは違う。本当に効率的な人なん
かは、データの全ての記録をとっていたり、最大限の効率を出すために色々と調査
を頑張っている。<アノニマスターオンライン>でもそういうタイプのプレイヤー
がいるのかもしれないなあ。
昔、プレイしたオンラインゲームだと、超効率的で凄まじい時間プレイをする所
謂、廃人なんて呼ばれるプレイヤーがいたっけ。私もゲームに夢中になると長時間
やりこんでしまうことはあったけれど、睡眠時間を削りまくってプレイする意欲は
素直にすごいと思う。私はやりたくないんだけれどね。
「ブッチは、廃人プレイとか好きそうだな。」
「何を言うんだ。俺は、そんなことしないよ。まったりだよ。」
出ました!まったり!私の中ではこのまったりという言葉は、ゲーム狂という、
イメージしかない。長時間プレイしているのに、まったりなんて言う人がいるがそ
れのどこがまったりなんだ!ええい!嘘をつくな嘘を!
「正直に言うんだ。まったりっていうのはな。1日に瞑想を2時間とかやるような
タイプの事を言うんだ。違うだろうブッチは?」
「おっ俺!瞑想やるよ!瞑想やれば、神の力が覚醒するんじゃないかと思うし!」
あっこいつはただの馬鹿だった。うん。こいつは、そんなことしないな。
「ハイハイ、分かった。それで川下りだっけ。実際に川は下らないけど川沿いを
進んでみようかなあって思うんだけどどう?」
「ワタシハ、ウサギガタベラレルノデソノアンニサンセイデス!」
うむ、いつも通りのたけのこだな。最近は、森で豚狩りをしてもらっているが、た
まには別なものも食べたいだろう。
「ええと思うやで!草刈り以外もやらないと勿体ないで!草刈り以外も沢山やるべ
きなんやで!」
だいこんは急に騒ぎ出した。なんだよ。どうしたよ。
「まぁある程度集まってから移動するから、まだまだだけどね。」
「え?薬草ってどんくらい集まったの?」
「まだ、たったの6500個だよ。火薬草が3000個で、えーっと。ん?」
なんだお前ら、なんで黙る?
「ねっこちゃんは、いくつぐらい集める気なんだい?」
「可能なら、薬草は3万くらい。5桁持てるかは分からないけど。」
「おかしいやでおかしいやでおかしいやでおかしいやでおかしいやで。」
「確かにちょっと少ないかもなあ。」
「あっはっはっは。そうだねえ。まぁでも、その時間ばかりが経っちゃうし、少し
川沿いを散歩するくらいはいいんじゃないかなあ?」
「ねこますサマ。タマニハイッショニブタヲカリマショウヨ」
そういえばたけのこと一緒に活動していないなあ。そうだよね。たけのこと一緒
に狩りして美味しい物を食べるのはいいよね。
「そうだね。美味しい物を探しに行くっていうのはよさそうだね。気分転換にも
なるし、それが終わったらまたみんなで薬草集めしようか!」
薬草集めをしないとサボってしまいそうなのでやらないとね。
「あ、ちょっとだけ、草刈りしてくるからみんなは準備運動でもしてて。」
「うん。分かった。」
ブッチが頷いたので、私は、もうちょっとだけ草刈りをしに行くのだった。
「姉御は、薬草の申し子やで。というかなんでみんな薬草狩りしたくないって言わ
ないんやで!ブッチニキお願いや言ってくれや!」
「無理無理!!あんな楽しそうに薬草狩りしているところにもう飽きたよこんなの
やったら気が狂いそうだよなんて言ったら俺がやられちゃうよ!」
「だいこん。キサマガイエバイイダロウ。」
「無理に決まってとるやろ!いや、ワイもう疲れたやでって言っても、疲れたなん
て言葉が吐けるうちは余裕なんだよって言われたんやで!!」
「・・・この草原がなくなったら、ねっこちゃんどうなるんだろうな。」
「イカリデ、ボウソウシソウデス。」
「姉御は怒ったら怖いんやで・・・。元々怖いんやけどな。」
「蜂の羽が生えてから威圧感が増した気がするしなあ。ねえ?」
「ハイ」
「やで。」
「まぁ、そういうの含めて面白いのがねっこちゃんだからね、ちょっと色々とぶっ
飛んでいるところもあるけど、大目に見ていこうよ。」
「ハイ!」
「わかったやで!」