表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第2章「般若レディと優雅な目標(仮題)」
48/473

第48話「蜂の大群-電撃蜂-」

 私達が駆けつけた時、ブッチは電撃蜂の顔のあたりに乗っかかり、凄まじい勢い

で張り手を打ち込んでいた。そして何か大声で叫んでいた。

「触角を動かせないと電撃は使えないのは分かっているって言ってるだろ!?体を

くねらせて俺に針を当てようとしても当たらないのも見せてやったろ!?」

見ると、電撃蜂は全身に痣のようなものが散見された。ブッチがひたすら張り手で

叩きつけているからだろう。一発一発は耐えられるようなものであっても、何度も

攻撃し続ければそのダメージが蓄積されていく。ブッチは、ただ愚直に攻撃を繰り

返しているだけなんだろう。

「バチバチバチ!」

「俺がちょっとずつ羽を引っ張っているのが分かるか?そのうちこれをもいでやる

ぞ!おっ!?今噛みつこうとしたな。牙も全部へし折ってやるからな!」

 なかなか怖いことを言っているブッチだった。キャラが違い過ぎと言うか入り込

み過ぎているじゃないか。いや、楽しそうなのは見ていて分かるんだけど。

「ボスならここで第二形態だろ!?なあ!それとも奥の手がないのか!こっちには

張り手しかないから何万発でも打ち込んでやるけどな!」


 ブッチは、パワーを活かした単純な攻撃が取り柄だが、逆に言えばほぼそれしか

ない。肉弾戦を強いられているため、体一つでなんとかしなければならない。だが、

他の事が出来ない分、そのパワーは尋常ではない。

「ああああああっしゃああああああああ!」

「バチバチバチバチバチ!!!????」

 電撃蜂が悲鳴のような絶叫を上げた。ブッチが、電撃蜂の触角をブッチ抜いたか

らだ!おっとつまらないギャグを飛ばしてしまった。ってあれがなくなったらあの

蜂、もう青白い光は使えないってことか?

「ねっこちゃん!火薬草を頂戴!」

そんな折、ブッチが私に声掛けしてきた。

「おっ?いいけどどうすんの?」

 爆発はさせないように、ちょっと近づいていくつか渡した。つうか近くで見ると

やっぱりこの電撃蜂でかいな。そして気持ちが悪い。早く消えて欲しい。

「ねっこちゃんを見習ってこうすんの!」

 ブッチが電撃蜂の口の中に無理矢理火薬草を詰め込んだ。おいまさか!?

「仕上げは、この丸太だ。」

ボロボロになった丸太が近くに置かれていた。


「バチバチバチバチ!?」

「飛べないよ。羽は何度も殴りつけり踏みつけたし。」

情け容赦のないブッチだった。

「そんじゃああまあこれでも食らえ!!!!」

丸太を思いっきり、電撃蜂に投げつけるブッチだった。そして、大きな爆発が起こ

った。体の内部から爆発させる作戦か、私の窒息作戦よりえげつないんじゃないか。

これで終わらないと予想しているブッチは、モーニングスターを構えた。私は、ま

だ戦おうとするブッチに畏怖の念を抱いた。


「ブッチまじこえー。」

「そうだよね。やっぱり俺怖いよね・・・。」

「でもやるときは徹底的じゃないとな。あっ。もうちょい火薬草投げていい?」

「ブッ。」

「おいどうした、何笑っているんだよ。」

「いや、俺よりもっと怖い人がいたなあって。流石般若レディだよ!」

「ブッチニキは大概やで。」

「ブッチドノモねこますサマトドウルイデスナ。」

 二匹とも何を言っているんだよ。私とブッチのどこが似ているというんだ。私は

単に、ここで第二形態とかになる前に、いやなるかどうか分からんけど、その間に

も攻撃を加えておこうっていう魂胆なんだよ。

 もういい加減終わらせたいんだよ。


「ブッチ!蜂もだけど、私たちを狙っている奴がいるかもしれないから警戒!」

「マジで!?」

「ボスを倒した後に不敵な笑いをしてくる奴とかいるでしょ!」

「あーいるいる!意味深なことほざいて、ここは引くとしようとかいう奴でしょ!?

でてきたら笑っちゃうよね。プップップ。」

おい、そこまで言うことないんじゃないか?出るに出られなくなっていたら可哀想

だろう。いや面白いか。

「電撃蜂はここで終わりそう?」

「第二形態くらいあると思ったんだけど、多分ねっこちゃんが、最後にさっさと

火薬草投げつけちゃったから、ないかもねえ。」

オイコラ、私のせいにすんな。

「まあ、俺がとどめさしているし。既に完全勝利していたよ。」

復活はないってことか。本当にそうなのだろうかと考えたが、実際に復活すること

はなかったのだった。電撃蜂は燃え尽きた。これで勝利だ。


「んでー!?出てくるならさっさとでてこいよー!!!見ているんだろどっかの誰か!

俺た、いや般若レディを甘く見るなよ!」

 あっくそこいつ!私を生贄にしやがった!私を囮にして、敵を引き付けて戦う作戦

なのか!あーもういい加減これで終わらせてくれよ頼む!

「声が響いただけで何もでてこないね。もしかして、ここで出たら寒い感じになるか

ら出られないよびえーんってことなのかなあ?」

 なんて考えたけれどそんなことはないよねえ。そんなにかっこつけて登場したい奴

なんていると思えないし。

「フッ。実は俺が黒幕なんだ。」

「フッ。実は私がブッチの生き別れの姉なのだ。」

「まじっすか!姉御ってよばせてくださいっす!」

「ブッチニキだめやで!それはワイの呼び方なんやで!」

 というジョークは置いといて、本当に何もいないようだ。でも怪しいなあ。こっち

が油断している時に、何かやってくるんじゃないのか?


「とりあえずさぁ、電撃蜂から何か手に入らないかだけ確認してみようよ。」

「そうだね。」

 電撃蜂の燃えカスを確認する。何か手に入らないだろうか?

 

「うぉっ!?」

「どうしたブッチ。」

「麻痺耐性を手に入れた。」

「素直に羨ましい!」

 毒も麻痺もきかないなら、薬草でひたすら回復しまくれるじゃないか。いいなあ。

「何その、毒も麻痺も効かないなら薬草で回復できていいなああって顔は。」

「言い当てるなボケ!」


「私には何か手に入らないかなあ。」


メッセージ:電撃の鞭を手に入れました。

ほえ!?なんか手に入ったぞ!?

「電撃の鞭が手に入ったって…。」

「む、鞭ってまたすごいね!」

「ちょっと取り出してみる・・・・・・。」

真っ赤な鞭だった。でも短くないかこれ?もしかして

「おりゃっ!」

鞭を振るうと、青白い光を纏って2メートルくらい伸びた。射程距離あっていいなこれ。

使った時だけ伸びるとかもすごいいい機能だ。よし、これで私も強くなったぞ!


「ジャージで背中に蜂の羽が生えていて、狐の尻尾があって、鎌と鞭と火薬草を手に

戦う般若レディってすごいよね。怖い。」

「怖いのはブッチじゃん!電撃蜂をボコボコニしてたし!」

「いやいや、どう考えてもねっこちゃんのほうが怖いよ。跡形もなく吹っ飛ばすのを

躊躇しないし!」

「ねこますサマは、カンペキナノデス。ダカラツヨイノデス!」

 常に安心を求めているだけなんだよ。それだけなんだよ。

「はぁー。とりあえずもう何もでないのかな。そろそろログアウトしたいんだけど。」

「俺もそうしたいんだけど」

「何か?」

「ねっこちゃんがむしろこの戦いの黒幕かと疑ったんだけど違うの?」

「ちげーっての!私もブッチが実は黒幕じゃないかと思ったんだけど。」

「クックックック。実はその通り。我こそがサイコロプスのマブダチ!」

「ブッチドノハミドリイロジャナイデスカ?」

「えっ!?あっ!?うん。えっ!?そこかぁ!たけのこちゃんのツッコミは!」

「ワイが黒幕やで」

「お前は白いだろ!!」


やれやれ、とにかくいつもの調子になったんだけれど、なんかしまりがないよな。

毎回毎回、やったぜうおー!みたいな勝利ならいいんだけどなあ。


「何はともあれ、みんなお疲れ様。今日は休むわ。じゃあね。」

「俺もーじゃ二匹とも気を付けてね。」

「ハイ!」

「わかったやで」


こうして森の奥地から続いた戦いは終わりを告げたのだった。

最後まで気を抜かない、最後でも気を抜かないが鉄則ですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ