表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
468/473

第468話「大広間の探索」

明日追記します!(多分)

すいません4/5に追記しました!

「ねこます先輩。俺もう飽きてきたっす」

「まだ30分も経っていないっての」

 最近の若者は根性なしなのかなんて言いたくなる。さっき探し回ったばかりなのに、すぐにもう一回探し回るなんて面倒くさくてたまらないんだろうなあ。

「獣王君はせっかちというか、飽き性なんじゃないかと思う」

「そんなことないっすよ! 俺は早くここから出たいだけなんすよ! もうこんな暗くてじめじめしたところからさっさと脱出したいんす! それなのにずっとここで躓いているのが耐えられない!」

 その気持ちは分からなくも無かったんだけれど、ここはじっと耐え忍ぶ場面だろうと思ってしまった。私がプレイしたレトロゲームなんかは特に、忍耐力を試されるものばかりだった。炙り出しを表示させるとかで1時間待たなきゃいけないなんて作品やエスパー能力を鍛えるとか言うゲームはただの運ゲーだけれど、その運がないと何時間も同じ作業を繰り返さなきゃいけなかった。


 あれ、こうして考えてみると私の忍耐力ってゲームで鍛えられたってことなんだろうか。いや、でも待て待て、そこまで私は忍耐強い方ではない気がするし、うーん。

「獣王君はリアル脱出ゲームとか苦手そうだね」

「この状況がある意味リアル脱出ゲームじゃないっすか。自分で実際に体験してみると、出られないって言うのがここまで不安になるものなのかと思っちゃったっす」

「ん? 出られないってのはおかしくないかな。私達この部屋に入ってきたわけだしってあれ」

「ここに来た時の入り口は消えてるっすよ。ねこます先輩今更気が付いたんすか?」

 今更気づいたよ。あっれー? おかしいなあ。なんで気が付かなかったんだろう。何かそういう意識をそらされる攻撃をされていたとかなのかな。んー。分からん。

「つまり閉じ込められているというわけか。私達は」

「そうなんすよ! だからマジで焦るっす」

 なんだか、このゲームをプレイしてきて散々閉じ込められたりしてきたせいか、いつものことじゃないかと思うようになってしまっていたようだ。


 毎回、出られない場所から、いかにして脱出できるかを競うような展開の連続だった気がする。うーん実は私ってこれまで結構苦労してきたんだなぁ。

「私、このゲームやってて毎回閉じ込められてきたから、こういうのは慣れだと思う。そういうゲームなんだよ<アノニマスターオンライン>ってのは」

「いや、それはねこます先輩が不運なだけじゃないっすか?」

 私は沈黙した。獣王君もじっとこちらを見つめて黙っている。ひじきは何も言わない。沈黙。私が不運だと。そんな馬鹿な。確かに勝手に魔者にされて勝手に魔王にされて、勝手にクロウニンから目の敵にされて、勝手に、もうよそう。

 でも、私はそこまで運が悪くもないんじゃないだろうか。こうして生き残ってきているし。確かにここ最近はついていないような気もしているけれどね。

「獣王君。私は運が悪いみたいだしここらで別行動しようか」

「嫌っす。それは嫌っす。」


 そっぽを向くカピバラは可愛かった。おっとそんなことを考えている場合じゃないな。さっさと出口を見つけないと。一回ここに入る事が出来たんだったら、どこかに脱出できるようなスイッチだの隠し扉だのがあるはずだ。

「ねこます先輩は、謎解きが好きなんすか?」

「まぁまぁといったところだよ。とはいえ、謎を解くまで散々苦労したことや、自分じゃ全然何も出来なかった事もあるから、どんな謎でも解けるなんて思ってはいないよ」

 スタート地点から動かず待っているとアイテムが出現するとか、壁の端にいて何秒間待つとか、タイムアップぎりぎりになると扉に入れるようになるとか、そんなの分かるわけないだろうというのも経験してきた。

 勿論答えが分からなかったものに関しては、最後には妥協して人に聞いて頼ったこともある。その時の記憶では、結局私は問題がを解けなかったという後悔が残ってしまったので、出来る限り自分で謎を解き明かしたいと思うようになった。


「例えばさぁ、こういう柱と柱の間を8の字を書くように移動すると、扉が開くなんてことが」

 そこまで話しかけたところで、何かの爆裂音が響き渡った。何だ、何があったんだと周囲を経過するが何も起こらない。ちょっと待て、まさか私がやった八の字の移動が引き金となって、何かイベントを発生させたって事か?

 でも特に何か起きたって感じがしない。なんだろう。何が起こったのか気になるな。もう一回やってみるかな。

「ねこます先輩。やばい音がなったんすから、もうやめた方がいいっす! なんか運よく当てて良かった思うっすが、辺りは何も変わらないっす」

「ああ、そう。はい。」

 もしかして、ただ音がするだけなのか? そりゃあ拍子抜けしちゃうんだけれど。やめたほうがいいとは言われたけれどもう一回やってみたい。だけどまた私がやるのもなんなので今度は獣王君に8の字で移動して貰うことにした。

 危険なことがあるかもしれないということで嫌がっていたけれど、私だけでなるのか検証したくなったのでお願いをした。


 すると、また爆裂音だけが響き渡った。なんだよそれ!? ただうるさいだけじゃないか!

「あれ!? 今度は宝箱がでたっすよ!! やったっす!」

 えー!? 何それ!? 私がやった時は何もでないでなんで獣王君がやると宝箱が出るんだ!?

「…こういうところで手に入るアイテムが実は呪われていましたとかあるんだよ」

 悔しくなってしまったのでこういうことを言うのだった。でも宝箱が危険だとか中に入っているアイテムが呪われているなんてよくあることだしね。まぁ、もし呪われた武器を手に入れてしまったら呪いを解けとか言われそうだなあ。そうなったら当然解くけれど。

「ねこます先輩開けてみるっすか?」

「いやー折角だしここは獣王君が。やっぱり初めての宝箱って嬉しいでしょ?」

「そっすね! でも何か嫌な予感もするのでねこます先輩開けてくださいっす」


「何言ってるの! やっぱりここは獣王君だよ! いい思い出になるって!」

 ここはエレファントボスが作った迷宮だとすれば、自分を倒すのに有利なアイテムなんて出してくるはずがないだろう。もしかしたらそういう設定はないのかもしれないけれど、ありえなくもないので、私はこの宝箱を開けたくなかった。

「なんか怪しいっす。ねこます先輩。この宝箱の中身がやばいもんだって知っているんじゃないっすか?」

「知らないって。何が出てくるなんて全く分からないよ。ってこういっておけばもしかしたら私に譲ってくれるかもみたいな話をしているかもしれないよ?」

 饅頭が怖いと言っておいて、まんまと饅頭をせしめる話を思い出した。今ここでそんなことをやろうとは一切思っていなかったけれど、獣王君に開けてもらうためには、むしろ私が宝箱を開けたがっていると思わせたくなった。

「んー。けど。悩むっす。なんかこう…罠じゃないかと」

 あるある。難易度の高いゲームだとこういうのが罠であることが多いから困るんだよね。


「ここは自分で開けとかないと後悔するよ」

 私だったら宝箱開けちゃうだろうなあ。初めて何か手に入るかもしれないって思った時はやっぱりね。あれ、そういえば私が初めて手に入れたのってなんだったっけ。あ、んー。あれ、妖狐の尻尾だったっけ。なんかもうそういう記憶も薄れてきているなあ。

「よ、よし、それじゃあ開けるっすよ!」

 獣王君はむくりとおきあがり、二足歩行で歩き出した。ああ、そうやって開けるのか。

「…なんで距離を取るっすか?」

 何かあったら怖いからだよとは言わない。

「特に理由はないから。頑張って獣王君!」

 素直に応援する。

「ええい! 開けるっすよ!」

 獣王君は、意を決して宝箱を開けた。すると出てきた者は。

「うひゃああああああ! き、金貨っすよ!? 宝箱一杯に金貨が入ってるっすよ!」

 宝箱の中には黄金色に輝く金貨が大量に詰まったいた。おお、すごいな、ロマンあふれる宝箱だったじゃないか。


「おめでとう! それは全部獣王君のものだよ! 良かったね!」

 私は薬草でお金を集められるので特に必要なかった。これは獣王君のものだ。いやぁ、一番最初にこんな大金が手に入るなんて良かったね。

「あ、ありがとうっす。こ、これ。あのこれ。あ、あ、あのこれって。」

「ん?」

 なんかすごい感動に打ち震えているな。まぁしょうがないか。こんな金貨がいっぱい詰まった宝箱なんて見たら、そりゃあね。そんでもって獣王君は、本物の金貨かどうか確かめるために中からいくつか取り出してみていた。重そうにしているし、偽物ってことはないんじゃないかな。そうなると、すごういなあ。金貨ってこのゲームでどれだけの価値があるのか分からないけれど、こんなに大量に手入ったらすごい金持ちになれるんじゃないかな。

「こ、こ、これ。げ、現実で換金できるんすよね? このゲームって」

「そうらしいよ。この金貨がどれだけの価値なのか分からないけれど」

「お、俺聞いたことがあるんす。金貨1枚で、現実で五千円になるって。でも結構前だから結構価値が下がっているかもしれないっすけど」


 ほうほう。金貨一枚で五千円ね。そりゃあもうやばいんじゃないだろうか。そこそこ大きい宝箱一杯に入っているから、数百万円以上ってことか。

「数百万円おめでとう!」

「ひぃいいいい!? あ、あげないっすよ! あ、記念に1枚とかならいいっすけど!」

「いや、いらないよ」

「だからころさないでってえ?」

「いや、まぁ私も私で稼いでいるから大丈夫だよ」

 まだ現金に変えたことはないんだけどね。エリーちゃんはもう変えていそうな気がするけれど、私はちょっと変えるのが怖かったのでまだ変えていない。

「まじっすか。ねこます先輩欲が無いんすね。あ、でも一枚はマジで記念としてもらってくださいっす」

「そういうなら貰うよ」

 金貨か。おーキラキラ光っているなー。そんでもって重いな。それにしても、ゲーム内のアイテムが現実の金になるって本当に変な感じがするな。


「これ、何回か繰り返したらまたでないっすかね?」

「じゃあ今度はまた私がやってみるかな」

何か良い物出て欲しいところだな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ